早くオトナになりたい
(女子高生目線)
お兄さんの家に止まってしまった…。なんだか、とても大胆な事をしでかしたような気がする。のに、なんだろうか…このなにも無い感じは……。と、思いながら、塾の自習室でノートを広げる。
そこには、いつもメモで見慣れた文字が『頑張れ』とだけ三文字書き込まれていて、たったそれだけの事なのに、1日が華やかに思えるのはお兄さんの存在があってこそだ。
お昼になって、高校の親友からメールがきた。
『ねぇねぇ、それで昨日はどうだった??』
「それが…………」
と、友達が想像してる風になにもならなかったことを伝えると私以上に友達が怒り始めてしまった。
『その塾のヤツ……なんなの?!』
「いや、うーん、でもさ。お兄さんと二人っきりより緊張しなかったし、よかったと言えばよかったかも?だけど」
自分もドキドキがあるだろうと期待してしまっていた分、朝になってお兄さんが居なくて、もしかしたら泊まりに来たこと事態が迷惑だったのかもしれない。って思い始めていた。…むしろ、だから塾の男の子も一緒に呼んだのかも?だし。受験に集中しないといけないことは確かで、その両立なんて自分には出来ないことはよくわかっている。
でも、立ち止まってしまったら、大人であるお兄さんは、きっと私以外の綺麗な女の人と付き合ってしまうかと思うと、手紙のやり取りを無くすことも出来なくて、それしか命綱がないみたいで不安に浸かっていた。
「どうしたら、子供扱いされないんだろ」
『私服を見せられたのは1回しかないんだもんね。花火大会とかに誘えればいいのにね』
「でも、私浴衣なんて着れないし(塾に浴衣来てくるわけにも行かないし」
たとえ、浴衣を着ていても子供は子供って言われそうな気もする。実際に昨日そう言っていて少し傷ついてしまった。
どうしたら大人になれるんだろう。
どうしたら対等に扱ってもらえるんだろう。
そこへ、塾の先生がやってきた。
「畑谷さん、最近頑張ってるね」
「ありがとうございます。あの、変なこと聞いてもいいですか?」
塾の講師の先生は、なんだい?と言いたげにコチラをむいた。
「?」
「子供が大人に見える瞬間ってありますか?」
「そりゃー講師としては受験受かった瞬間じゃない?」
「そうですよね(そういうことじゃなくて………」
最近、なんで受験受験言われないといけないんだろう。大学生になったところで、結局まだ学生のままなのに……
「なにか、悩み事?」
「いえ、このままCかBのままなら大学諦めるべきですか?」
「結構、夏に伸びる子とか多いから、そこまでヘコむ必要はないと思うよ?」
「はい…………」
結局、恋の伸ばし方はよくわからないな。
大人の人って、どんなことをしたら喜んでくれるんだろうか。
どこかに相談できる相手っていないのかなぁ…シマさん?は違う気もするし…。と、考えていてふと、ある人の顔が浮かんだ。
私は、今度は1人で古民家カフェを訪れた。
「いらっしゃい!って…あれ?みーちゃんの彼女さん?」
「あの!こんにちはっ」
今日も笑顔いっぱいの店長さんが私をカウンターへ案内してくれた。
「どうしたの?」
「それが、実は…私…お兄さんの彼女じゃないんです。すいません」
私は本当のことを口にした。
「ん?なんだ、そんなこと?」
店長さんは、私がまだ何も注文していないのに、お水とドーナッツをテーブルに差し出してくれた。
「みーちゃんいろんな人と付き合ってるから、どれが彼女かなんて分かんないよ」
「ですよね…」
私が落胆して下を向くと、店長さんが慌てて訂正した。
「だけど、好きじゃなかったらココには連れてこないと思うけど?」
「違うんです。好きなのは私の方で、一方的な想いなんです」
「それで行き詰まってココへきた?と」
「はい…」
店長さんは、フッと笑うとドーナッツをすすめてきた。
「悩んだ時は立ち止まってみるのもいいかもよ?ドーナッツを食べてひといきするの。ついでにレモネードも付けてあげる♫」
「あ、あの!すいませんっそんなにお金持ってないです」
店長さんは、私に大丈夫!とウインクする。
「みーちゃんに払わせるから!」
「えぇ!怒られちゃいますよ!」
「アイツは女子に怒ったりしないからwそうだなぁー2人が仲良くなる方法かー自分がしてもらって嬉しかったことを相手にもしてあげたら?」
私がしてもらって嬉しかったことは…こないだの料理かな。でも、料理が趣味な人に料理を返すってどうなんだろう?
「なにをしたら喜ぶかってゆーか、自分が何をしてあげたいか。で、いいと思う。バレンタインと同じよーどんなチョコが気にいるかを永遠に悩むんじゃなくて、どんなチョコでも貰ったら嬉しいもんだから結局」
「そうでしょうか…」
つまり、出来がどうとか、料理の腕前がどうとか考えなくてもいいってことかな。まーたしかに、そう言われてしまうと、逆に自分がされてみたら、そうかもしれない。私の恋が進まない理由は、踏み出す一歩が足りないってことなのかな。




