誰と誰が同じ部屋で寝る?
「すごい美味しいです。この味、一生忘れられそうにないです」
俺が、作ったカルボナーラを食べながら幸せそうな顔をしている美鈴ちゃん。
「大げさだな。市販品の同じ物を使えば家でも作れるよ」
「そんなことないですよ!塩加減とか絶妙ですもん」
「黒胡椒のかかり具合も最高だと思いますよ?」
「ありがとうございます!」
お互いがお互いの良いところを褒め合ったところで、夕飯を食べるのを再開する。
「今日は本当にありがとうございます」
「電車動いたら送っていこうか?」
さっき少年くんに提案したことを美鈴ちゃんにも聞いてみる。
「いえ、友達の家に泊まってる事になってるので、ご迷惑かと思うのですが泊めていただけると助かります」
「俺は全然大丈夫だけど。親にバレて怒られないかってほうが心配だよ」
「それは、大丈夫だと思います。たまに夏休みに泊まりに行ったりしてる子なんで」
学校で恋を応援してくれている友達とは、とても仲がいいってことなのかな。
「でも、今年は受験シーズンなわけだし」
「CがB判定には上がってきているんですけどね」
「俺が、教えられる事があればよかったけど勉強苦手なんだよね」
ブレットをかじりながら苦笑気味に答える。
「少年くんは、頭良いほうなの?」
「はい。彼は、どこの大学を受けるのか知らないですけどA判定だと思うので」
少年くんは、東大とかに行くのかな。
「あの、大学に受かったら、次のデートしてくれるんですよね?」
「そうだね。俺と一緒にいるせいで大学受からなかったら、それこそ親に怒られちゃうからね」
「むむう…」
美鈴ちゃんは、パスタを食べながら黙ってしまった。
C判定からA判定までの差がどれくらいあるのかが分からないけれど、受験を頑張って欲しい気持ちはある。
先に食べ終わってしまった俺は席を立つことにした。
「それじゃ、部屋の片付けをしてくるから、テレビでも見ていたらいいよ」
「あ、充電借りてもいいですか?」
「その辺のコンセントさしといていいよ」
俺は、自分の部屋に行き、ベットに消臭剤をかけたり、明日の洋服を取りにやってきた。
少年くんが使うタオルケットみたいなものも必要だろうか。クローゼットを開けたり閉めたりする。
ところで、少年くんはどこで寝てもらったらいいんだろうか?二人は同じ塾だって言っていたけど、そこまで仲がいいわけでもないのかな。
でも、少年くんは美鈴ちゃんのこと好きなんだよね?きっと。とか、思いながらリビングに返ってくると、2人が仲良くテレビを見ていた。
ピピーッと選択乾燥が終わる音がする。お風呂場の洗濯機から、美鈴ちゃんの制服と下着と靴下を取り出す。
「(………お父さんに下着触られたくない。みたいな世代な気がするんだけど大丈夫かな」
制服の上下の間に下着を隠しながら、明日のタオルなどを置いておく。
少年くんの制服は洗わなくて本当にいいのかな…そのまま寝たらシワになりそうだけど。
キッチンで皿洗いをしながら、2人に問いかけてみた。
「2人は仲良しさんだから、同じ部屋で寝るの?」
「え?」
「(恋のアシスト下手くそかよ)いや、畑谷がオッサンの部屋で寝たら?」
どうやら、べつに少年くんは美鈴ちゃんと一緒に寝たいわけではないらしい?
「ややや、お兄さんがお兄さんの部屋を使ってください。申し訳ないです…」
全員が全員、譲り合いの精神だされても俺が困るんだけど………
「うーん、いまどきの高校生が何時に寝るのかも分からないけど、学校の宿題とかは夏休みでもあるの?」
「塾の課題とか受験勉強でだいたい1時とかまで起きてますよ」
「へぇ」
俺が、聞きたいことがなくなって話に詰まっていると、少年くんが見かねて話しを続けてくれた。
「そうだ、畑谷の勉強オレが一緒に見るよ?こんな機会でもなければ教えられる時もないだろうし」
「わ!助かる!!」
テレビを消して、2人が再びテーブルへと帰ってきた。
美鈴ちゃんがカバンから分厚い参考書を取り出してきた。
「あーそれ、オレも去年使ってた」
「そうなんだー?何からやったほうがいいのか、よくわからなくて…」
「過去問は?終わってる?」
受験生らしいやり取りを隣で聞きながら俺はなんのこっちゃ分からん。って感じだ。
テーブルの椅子以外の丸椅子をどこからか持ってくると向かい合っている二人の間に腰掛けた。
…なんだこれ、記号か。邪魔にならないように黙って二人のやり取りを聞いていたんだけど、徐々に眠たくなってきた。
あーでもない、こーでもない。と、ノートに記号と数式が書き込まれていく中、俺はすっかりテーブルの端で眠りについてしまった。
少年くん「オッサンが先に寝んのかよっ」
美鈴「疲れてるのかもよ。大人だし」
少年くん「(畑谷は、マジでコイツのどこが好きなの??」




