デート?2
「あ、そういえば、シマさんが…」
俺の学生時代の話しをしたので、シマの名前があがったらしい。
「シマがどうかした?」
「こないだお話したんですけど」
シマと女子高生がいつ話す機会があったんだろうか?と疑問に思ったんだけど、それを追求するときっと尋問みたいになってしまうから、とりあえず黙って話の続きを聞くことにした。
「お兄さんが元ホストだって聞いたんですけど、本当ですか?」
「…………いや?(なんの話だ?」
生まれてこの方ホストという職業に就いたことはない。
「地元で人気のホストって」
「うーん?……シマが地元でカフェバーを経営していて、そこで1日臨時でバイトしたことがあるくらいかな」
なにか、いわれもない容疑がかけられているのだろうか?
「それも、ビール瓶を積んだりホールの料理を作る裏方だったんだけど?たまたま、その日にシマのカフェバーで働いている人が風邪で休んでホールに立ったといえば立った?けど??」
「なるほど」
どうやら、誤解が生じていることに大して、向こうは納得してくれたみたいだ。
「とくに、俺が自ら進んでホストになりたかったわけでは…ないかな」
「シマさんがナンバー1で、お兄さんがナンバー2だった。とか、言うからビックリしちゃいました」
女子高生がほがらかな笑顔を見せる。
「それに、シマの店なんだから、シマがナンバー1になるのは当然かと」
「たしかに!(やっぱりこないだの話は、嘘だったのかなぁ」
シマも女子高生狙いなんだろうか…。オーナーといい、シマといい、やっぱり今日女子高生を連れ歩いてしまった俺もおおよそ同罪ということなのだろうか…。
「けっこう俺達の27才、28才あたりで自分の店を起業する人が多いんだよね」
「そうなんですか!すごい!」
「高卒でお金貯めてたら夢とか叶えられる時期なんだろうね」
他の人と違って俺には、そんな夢とかないけど。起業をすること自体は自分も羨ましいと思わなくはないけど。
「へぇ」
高校生は、大人の世界に目を輝かせている。その起業でさえ、続けられる人はほんの僅かだとは思う。
夢を叶えられても現実が厳しい事も知ってしまっている大人からすると、夢も希望もない話なのだが。
「はい!おまたせ♫白桃とマンゴーだよー」
そこへお店の店員がかき氷を運んできた。
「ちなみに、この人も高校生時代の知り合いで起業家のひとり」
「へぇへぇ」
「そんなに褒めてもアンタのにバニラは足さないよ」
しれっと店員は、俺の方に伝票を置く。
「なんでだよ」
客を連れてきたんだからサービスしろよ。
「写真撮ってもいいですか?」
「いいけど、早くしないと溶けるよ」
女子高生は、ワッとか言いながら、鞄から急いでスマホを取り出している。きっと、チェキスタに上げる画像なんだろう。
「アップ完了。食べます!わーフワフワだぁ」
ここのかき氷は天然氷を使っている。シロップもお店のお手製だ。もたもたしていると30分放置したら、ただの色水になってしまう。
「あ、あの、なんで今日ここへ連れてきてくれたんですか?」
「お礼」
かき氷を食べながら、何のことか分からない女子高生が首を傾げた。
「文通でもらった便箋と同じ物を駅前の本屋さんで見つけたんだ。わざわざ俺なんかのために高校生にお金を使わせてしまったのが、申し訳なくてね」
まさか、自分が購入した便箋を発見されると思っていなかったのだろう。見つけちゃったんですか??という顔をむけられる。
「2千円もしないですよ?!それに、少しでも自分を可愛く見せたかっただけですから、ここまでしてもらわなくても」
「俺とのデート嫌だった?」
「そんなわけないです!!あまりにも眠れなくて早めにきちゃいましたもんっいつもと違う服装のお兄さんが見れたのも嬉しかったです(これ、ちゃんとデート扱いなんだ」
「それは、よかった」
高校生の受験勉強の合間の休息になってくれたらいいくらいの気持ちだ。
文通のやり取りをしているからといって、そこまで仲がいいわけでもないし。
お互いがかき氷を食べ終わると、俺は会計をすませた。
「ありがとうございます!」
「また、友達連れておいでぇ」
お店の店員がヒラヒラと女子高生に手を振る。
お店をでて振り返る。たった1時間のデートは、なんだか名残惜しかった。
「それじゃ、もう塾行くんだよね」
「はい。今日は、その…ありがとうございます。」
女子高生は、俺に向かって深々と頭を下げた。
高校生「あの!また、デート行ってくれますか?」
俺「受験終わったらね?」
高校生「…………え」




