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魔法少女ビビット・マジカ  作者: 雪音月華
魔法少女ビビット・マジカ〜出会いと旅立ち〜
18/42

第18話〜囚われた姫との隻腕の騎士〜

 「今日も…来るはずだよね?」


 私は教会の大広間で、周囲を警戒しながら心の中で呟いた。昨晩の作戦会議で決まった通り阻止し、彼らの本拠地を突き止める。そのために私はわざと囮になることを決めていた。


 ——その時、足音が響いた。


 「…来た!」


 私は緊張を振り払うように軽く息を整え、扉の方をじっと見つめた。暗い影が揺れると、何人かの男たちが教会の中へ忍び込んできた。黒いローブを纏ったその姿。間違いない、ヘルメス団の団員たちだ。


 「今日の餌は私だよ」


 自分の声が静かに教会内に響いた。男たちが私を見て、ニヤリと笑う。


「おい、今夜はこれだぜ」

「見ろ、あの娘、待ってたみたいだな」


 私は恐怖を抑え、微笑みを浮かべた。彼らは私を疑うことなく、すぐに誘拐しようと近づいてくる。私はあくまで冷静を装いながら、彼らの言葉に従って手を差し出した。


「さあ、連れて行って。その代わり、他の子達には手を出さないで」

「いいだろう。他の連中には手は出さないでおいてやる。おい。周りに伝えて回れ、今日の餌は取り終えたとな」

「おいっす!」


 彼らは私を縛り上げ、強引に教会の外へ連れ出していった。けれど、私は焦らなかった。周囲の影に隠れている冒険者の仲間たちが、私の後を尾行していることを知っていたからだ。



「なかなかいい女を持っていけそうだ。親分も喜ぶだろうぜ」

「これで親分の研究も進めばいいんだが」


 彼らの馬車に乗せられ、どこかの森を抜けていく。揺れる馬車の中、私は心臓の鼓動が早くなるのを感じていた。人と競い合う為の戦いとは違う。純粋な人同士による殺し合い、私に出来るのだろうか。


「おい、着いたぞ女。とっとと降りて歩け」


 そして、馬車が止まると、目の前に現れたのは古びた建物だった。見張りが何人もいる。彼らの本拠地…!ここで、一体何が行われているのか確かめなければ。ヘルメス団の団員に連れられて中に入った。そして、すぐに目に飛び込んできたのは、恐ろしい光景だった。


 「……っ!」


 私よりも年下の子供たちが、錬金術の実験として苦しめられている。彼らの苦しむ声が私の耳に響き、胸が締め付けられた。怒りが爆発しそうになる。


 「嘘…こんな…ひどい…」


 けれど、その瞬間、私の首に掛けていたペンダントがわずかに光を放った。リーゼが持っているはずのペンダントと同じ力だ。この光が、リーゼが近くにいることを教えてくれている。リーゼがここに捕らえられている…!


「お前の部屋はここだ。お前の分の薬を持ってきてやるから待ってろ」


 暗い暗い牢屋のような部屋に連れてこられ、私は恐怖をする。ここに来る途中にも似たような部屋に子供達が奴隷同然に捕まっていた。


「いやあっ…。助けて…!」

「ふはははっ!流石はガキ、ママのおっぱいを吸いたいお年頃ってやつか?笑えるぜ」

「と、思っていたの?」


 動くなら今しかない。ステッキを取り出し、敵の顎に向かって魔弾をぶっ放す。


「うわあっ!」

「何事だ!」

「汝、言霊の精霊。裁きの剣で敵を殲滅せよ!フォトン・スラッシュ!」

「うわあああっ!」


 集まってきた雑魚的を光剣で一掃し、急いでリーゼの反応が示す場所に向かって走り出す。階段を駆け上がり、いくつかの部屋を通り抜ける。


「お前何者だ!ここから先は通さないぞ!」

「邪魔!」


 しかし途中で何人ものヘルメス団の団員が立ちはだかる。彼らは容赦なく襲いかかってきたが、停滞させていた六本の光の剣を射出して返り討ちにして進んでいく。


「ここの部屋だ…」


 やがて、私は奥の部屋にたどり着いた。そこには檻に入れられた子供たちがいた。檻の中で泣き叫ぶ子供たちの中に、リーゼの姿があった。彼女は傷だらけの身体で、必死に私に向かって手を伸ばしてきた。


「ルナさん!来てくれたんですか!?」

「リーゼ、大丈夫。もうすぐ助け出すから」


 私は檻の鍵を探しながらリーゼに状況を聞いた。


 「地下通路に繋がる道があるんです!そこから逃げられるかもしれません!でも、鍵が…」


 私は焦りながら、どうすればいいか考えた。この場所を仲間たちに知らせるために何をすべきか。その時、足音が響いた。


 「ふむ、君は何者だ?」


 振り返ると、そこに立っていたのは長身で冷酷な笑みを浮かべた男だった。黒いローブを纏い、左腕には奇妙な紋章が刻まれている。


 「私はベディヴィア、ヘルメス教団の次期円卓議会候補だ」


 私は警戒しながらべディヴィアを睨んだ。彼の圧倒的な力が周囲に漂っているのを感じる。


 「ここで戦って、子供たちに危害を加えたくはないだろう?」


 ベディヴィアは私の視線を読み取ると、そう言って冷笑を浮かべた。


 「もし君がこの檻の中で戦えば、彼らが巻き込まれるかもしれない。どうだ、地下通路の入り口まで私が案内しよう。そこで、私と戦うのはどうかな?」


 私は歯を食いしばりながらも、ベディヴィアの提案を受け入れるしかなかった。子供たちを守るために、地下通路での戦いを選ぶしかないのだ。


 「わかった、行こう」


 そして、ベディヴィアに導かれながら、私は地下通路へと向かうことになった。闇の中で待ち構える運命を感じながら、私はその先で戦う覚悟を決めていた。


 「リーゼ、待ってて。必ず、全員を助け出してみせるから…」

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