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魔法少女ビビット・マジカ  作者: 雪音月華
魔法少女ビビット・マジカ〜出会いと旅立ち〜
17/42

第17話〜守るべき日常と解けない不安〜

「どうしたらいいんだろう、私だけじゃ敵の拠点を発見して強襲するのは無理…」


 自警団での面会から戻った私は、焦りと苛立ちを抱えながら街を歩いていた。リーゼが危険な状況に置かれているのに、何も進展がないまま時が過ぎていくことが、胸を締め付けていた。どうすればリーゼを助けられるのか…その答えを見つけられず、途方に暮れていた。そんな時、ふと後ろから声がかかった。


「ルナちゃん、どうしたの?」


 振り返ると、アリナさんが買い物袋を抱えて私に近づいてきた。私は少し心が軽くなった気がして、これまでの経緯をアリナさんに打ち明けた。


「ギルマスの助けで自警団に書文を出したんだけど、あまりいい結果が出なくて…」


 アリナさんは私の話を静かに聞いてくれて、しばらく考え込んだ後に提案してくれた。


「それなら、冒険者協会に相談してみたら?冒険者たちが力になってくれるかもしれないわ」


 その提案は確かに的を射ていた。冒険者たちは日々、危険な任務をこなし、仲間を守るために戦っている。彼らの力を借りれば、ヘルメス教団に対抗するための大きな助けになるかもしれない。


「ありがとうございます、行ってみます。そういえばアリナさんはどうしてここに?」

「私?私は夕飯の買い出しね。お姉ちゃんと交代で受付のお仕事だから食事でもってね?」

「そうなんですね、私もお腹減りました」


 私はアリナさんと共に冒険者協会へと向かい、協会内で冒険者たちに助けを求めることにした。しかし、協会に到着してみると、そこは普段の賑わいが嘘のように静かだった。


「あれ?今日は随分と静かですね。お姉ちゃん、何があったの?」


 アリゼさんに声をかけると、彼女は申し訳なさそうに答えてくれた。


「みんな北の街アストライアへ行ってるの忘れちゃった?剣闘士大会があって、それを見に行ってるから今日は人少ないのよ?」

「嘘…」

「ルナさんごめんなさい。私、忘れてました」

「泣き言言ってられません!今いる冒険者さんに声かけてきます!」


 アストライアでの剣闘士大会…毎年行われる大規模なイベントで、多くの冒険者や剣士が集まるという。今日はまさにその影響で、協会にはほとんど人がいない状態だった。私は落胆しそうになったが、ここで諦めるわけにはいかない。片っ端から声をかけに向かった。


「すみません!私の友達、そして教会の子供達を助けてくれませんか!」

「ルナちゃんか。どうした?何かあったのか?」

「いいぜ、誰でもないルナちゃんの頼みだからな!」


 少数ながらも手を貸してくれる冒険者たちを集めることができた。最終的に集まったのは約二十名、決して多くはないけれど、リーゼを助けるためにはこれだけでも十分だと思いたかった。


「集まってくださってありがとうございます」

「いいってことよ!」

「私たちの力で子供達を助けましょう!」


 集まった仲間たちと共に、早速作戦会議を始めることになった。作戦は単純だが、リスクの高いものだった。教会に網を張って誘拐を仕掛けに来るヘルメス教団の団員を捕らえ、彼らを尾行して本拠地を突き止め、そこで一気に叩く。それしか方法がない。


「リーゼを、リーゼが守れなかった子供達を助けるために!」


 そう言った私の言葉に、仲間たちは力強くうなずいてくれた。



 そしてその夜、私は教会で待機することになった。しかしただ待つだけではなく、教会でできることを手伝うことにした。修道士たちが忙しそうにしているのを見て、何か自分にできることはないかと尋ねたのだ。


「何かお手伝いできることはありませんか?」


 すると、修道士の一人が微笑んで言った。


「では、夕食の準備を手伝ってもらえますか?子供たちが楽しみにしていますので」


 私は厨房へと案内され、修道士たちと一緒に食事を作ることになった。野菜を刻み、スープを煮込み、パンを焼く。慣れない手つきではあったが、修道士たちは優しく教えてくれた。子供たちのために、心を込めて料理を作ることで、少しだけでも焦りや不安を忘れることができた。


「ふう、出来た。みんな出来たよ!」

「わあい!ルナお姉ちゃんありがとう!」

「お腹減ったあ」


 夕食ができると、子供たちがわいわいと集まってきた。食卓には笑顔が広がり、その光景を見ていると、リーゼのことが頭をよぎった。あの子たちと同じように、今頃どこかで不安に震えているのではないか…そんな思いが胸を締めつける。


「リーゼ、大丈夫かなあ」


 心の中でそう祈りながらも、今できることをしっかりやろうと決意を新たにした。


「お姉ちゃん、今日の夜は一緒にいて欲しいの。私たち、怖くて…」

「えっと…警備に周りたいんだけど」

「えええー!いいでしょー?」

「ルナさん、お願いします。ルナさんの御伽話はきっと喜ばれるでしょう」


 夕食後私は子供達に読み聞かせを頼まれ、私は少し迷っていたが修道士たちが後押ししてくれたことで思い切って彼らに物語を読み聞かせることにした。


「それもそうだね、じゃあどんな話がいいかな?」

「ハッピーエンドな御伽話がいい!」

「それじゃあ、今日は特別なお話をするね」


 私は昔、母から聞かせてもらった物語を思い出しながら語り始めた。とある配管工の兄弟が邪悪な魔王に囚われてしまったお姫様を救う為、仲間の力を借りて魔王を打ち倒すという古典的な物語だ。子供たちは目を輝かせて聞き入っていた。その姿を見ているとほんの少しだけ心が温かくなった。


「魔王は自らの間違いに気づき、配管工の兄弟とお姫様に謝って良い魔王になるべくやり直しの旅を始めるのでした」


 物語が終わる頃には子供たちは静かに寝息を立てていた。私はそっと布団を掛け直し、彼らが安心して眠れるように祈った。


「おやすみなさい、みんな」


 教会の静寂が戻った後、再びリーゼのことを思い出す。彼女が今も無事でいるのか、その答えはわからないけれど、絶対に助け出すという決意だけは揺らがなかった。


「リーゼ、待ってて。必ず助けに行くから」


 私は冷たい夜の中で覚悟を決め、変身する。光属性の衣装を身に纏うと夜の警備をする為に子供達の部屋を後にするのだった。

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