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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

世代の勇者「短編シリーズ」

◯再来の英雄「ゼキエル」

作者: グミ

再来の英雄「ゼキエル」この物語は現勇者候補。TOP[エデン]の親友に関する短編小説です。



[再来の英雄]と呼ばれた彼は、過去にどんな事があったのか…

悲鳴が響き、俺はひたすらに涙を流す。仲間を失い、家族を失い…親友に裏切られた。


「お前は…お前だけは違うって…俺は…」

ただひたすらに破壊を繰り返す。何のためにここまで来たのか。


「大切な人を守りたいから」

「カッコいいでしょ?。」

「お前を信じたから」


みんなの声は…もう届かない。


差別。イジメ。不平等。生きてく上で、どこに行っても存在する"絶対的な悪"。


その為のエデン。


みんなが笑って過ごせるような。そんな世界を、楽園を…



            な

            の

            に



子供を庇う親子殺し、頭を擦り潰す。


「もう誰も…信用出来ない」

見せかけだけの笑顔。失い続ける大切な仲間。信頼した友達。全てに裏切られた。


「楽園…そうだ…裏切りも、憎しみも、憎悪も悲しみも!!存在しない楽園!!!」

その為に…


「みんな殺せば良いんだ!!」

簡単な事。この世界の所有権を持つのは俺だけ。一緒にいた親友は、俺を残して消えた。




      再来の英雄「ゼキエル」





13年前。当時10歳だった俺は、青く澄み渡る空の下で血だらけの子供に出会った。


「う…うぅ。」

「…」

こんな事が当たり前の日常。力の無い者は、ボコされ奪われる。命があるだけマシな世界。それでも俺は…


「大丈夫か?」

「ぅ…ぅん。」

そんな世界に抗いたかった。


「名前は?」

「…り、リーン。」

「リーンだな?俺はゼキエル!…痛いだろ?おんぶしてやるよ」

「大丈夫…。」

この出会いが、俺達の人生を変えた。ただのガキだった俺達が、世界に抗う為に身に付けた護身術。それが…



--------



「印?。」

「おう!昔話で聞いた事があるだろ?始まりの英雄が使ったと言われる護印!!倒す為じゃなく、守る為の力!!」

当時15歳の俺とリーンは、魔人が住むと噂の洞窟に訪れていた。


「必要あるの?。今の僕達に。」

「大アリだ!!で!護印を持つ魔人がこの洞窟の主らしい!!」

「大丈夫かな…魔人なんでしょ?。」

「だったら何だ?魔人にも良い奴はいるだろ?」

「…うん。そうだね。」

「だろ?」

その後、現れた魔人と一悶着。話を聞くには、現魔王の娘だったらしい。悪事を嫌う彼女は、魔王軍から離れ、この洞窟の中で閉じこもっているそうだ。


「大変だったんだな…」

この言葉を聞いた彼女は、涙を流し蹲った。たった一人で逃げ出して、魔人界と人間界から差別と偏見を受ける。長い間一人で過ごし、命を狙われる恐怖を抱えたまま、一睡も出来なかった。


「大丈夫?。」

「うん…大丈夫…大丈夫…ありがとう…本当に…ありがとう…」

「…」

なぜ彼女が、こんな思いをしなければならないのか。ただひたすらに、疑問と苛立ちが襲う。力が無いから?理解されないから?恐らく…そんな簡単な話では無いのだろう。もっと…難しく、深く黒い話。


      

       それが当たり前だから



ふと、彼女に聞いた。

「名前は?」

「…何故ですか?」

「?。お前の名前が呼びたいからだよ」

「!!…カミラです…」

「カミラ…綺麗な名前だな!突然で悪いが…って?!」

「?!。大丈夫?!。」

「はぃ…ぁぁ。何故でしょう。私には貴方達が…とても眩しく見えてしまいます…」

涙を流すカミラは、俺の背中に顔を埋めた。この日から、俺達三人の旅が始まった。


「…流石に別室の方が良いんじゃ無いのか?」

「僕は一緒に寝たいかも。」

「わ…私も…良ければ…」

「そっか?」

二人とも甘えん坊で、身体をくっ付けて寝る。頭を撫でながら、緑色の月に照らされる部屋の天井を眺める。


「…みんなと…幸せに過ごす為に…」

「…」

後日出発の準備をしていると、リーンがカミラに聞いた。


「カミラはどうして護印を覚えたの?。」

「…大切な人を守る為ですよ。弟が居まして…お二人は何故旅をしているのですか?」

「ん?そうだな。世界を変えたい…てのは最後か…!英雄になる為だ!」

「英雄ですか?」

「おう!リーンもそうだろ?」

「うん!。カッコいいでしょ?。」

「…そうですか…」

その時のカミラの表情に疑問を持たなかった俺を、今でも憎んでる。三人で旅をし、3年が経ったある日のこと、俺は国王の息子に呼び出された。


「…ふざけんなよ」

「大真面目だ。魔王の娘と共に冒険しているだと?その娘が、魔王軍のスパイであると、何故気付かん!!」

「それはお前らが!!脅威だと決め付けて、批判し拒絶した魔人が!!洞窟で一人孤独に過ごし、ただ怯えるだけの女の子だったって事を知らないからだ!!!なんで事実を見ようとしない!!噂だけ取り入れて!!だから偏見なんてものが生まれるんだ!!」

「…もし被害が出るようであれば…」

「出さねぇよ!!カミラはそんな奴じゃ無い!!」

「…そうか」

「…どうせ国民の噂だろ?…国王の息子がこれなら、あの国民たちの悪態にも納得が行く。」

「…貴様!!黙って聞いていれば!!」

隣に立つ騎士が俺に槍を突き付ける。瞬時に[物理無効の印]を結んだが、国王の息子が手を挙げ、槍を下げる。


「…勝手な真似をするな。…こちらの勘違いが招いた結果だ。詫びを渡そう。」

「いらねぇよ。話は済んだか?じゃあとっとと帰してくれ」

「…承知した。騎士の無礼は、私に対しての忠誠だと思ってくれ。問題は私にある。」

「興味ねぇ。早くしろ」

「…すまなかったな。」

「…」

悪気が無いのは分かってる。ただそれ以上に、仲間を侮辱された事が、ただただ憎い…


「くそっ…」

「あっ!。ゼキエル〜!!。」

「おかえりなさい!」

「…おう。」

「何の話だったの?。」

「ん?俺たちの行いが評価されたんだってさ!」

「本当!!。やったねカミラ!。」

「はい!やりましたね!」

「…」

二人の笑顔が、二人の声が。耳に入るたび、俺の心まで嬉しくなる。でも…そんな幸せは突然消えた。



3年前の国家殲滅事件。



俺達は世界を変えようと、魔王軍に乗り込み、話を付けようとした。魔王城はカミラの案内により、戦闘を行う事なく魔王のいる部屋まで辿り着いた。息を呑み込み、俺とリーンで扉を開ける。カミラが部屋を覗くと、目を開け固まった。



扉の奥で、息子の頭を噛み砕く魔王が映る。瞬間。カミラの上半身から上が消し飛んだ。


一瞬の出来事。殺意?絶望?そんな感情すら湧かないほど…一瞬だった。無意識に印を結び、戦闘を開始する。時間にして五時間。俺とリーンは魔王を撃ち倒した。動かないカミラを拾い、俺はゆっくり歩いた。


「…ゼキエル?。」

「……。……。」

「…ゼキエル!!。」

「…。ごめん。」

俺の心は、壊れ始めた。


王国に戻ると、火の海で埋め尽くされ、魔王軍が腹いせに王国を襲撃していた。逃げる国民から泣きながら訴えられる。


「お前らのせいだ」

「お前らが魔人を仲間にしていなければ」

「お前らが産まれてこなければ」

「…」

言い返すことすら…出来なかった。

その日から、リーンは笑わなくなった。国民に刺された左眼には眼帯をつけ、現実を見ないように…目を閉じた。

毎日毎日…隣の部屋でうめき声が聞こえる。部屋に引きこもり、カミラの事だけを考える。その感情は次第に、怒りへと変わった。


「悪いのは魔王軍の方」

「俺達は悪く無い」

「いっそのこと…」

みんな殺してしまえば…


「?!」

突然部屋の扉が叩かれた。恐る恐る扉を開けると、見覚えのある男が笑いながら話しかけてきた。


「ひどい顔だな。少し話そうか。」

彼は国王の息子だった。


「今回の件だが…」

「…」

「はぁ…そうビビるな。俺はこの事件…お前達のせいだと一ミリも思ってない。」

「…え?」

「当たり前だ。この前俺の前で断言したろ?被害は出ねぇって!」

「…」

「あの女は死んだのか?」

「…はい」

「そうか…俺も親父が死んだ。王国が大変な今。次魔王軍が攻めて来たら、次こそ土地を奪われる。…お前達の力が必要だ。」

「…なんで…俺達なんかに…」

「あ?んなもん。お前を信じたからに決まってるだろ。」

「!?!?」

「俺とお前も…やる事は同じだ。世界を救う。そうだろ?英雄様?」

「…ありがとな。国王様。はぁ…やるか!」

「おう。国民には俺から言っといてやるよ。全て、全部片付いたら!世界の所有権をくれてやる!」

「任せろ。」

部屋から飛び出し、リーンの部屋をノックする。扉を開けると、リーンが荷物を纏めていた。


「…行くんでしょ?。魔王軍の所に…。」

「おう!!俺達揃って英雄だ!!…来てくれるか?」

「当たり前。」

あぁ。そうだ。俺達二人で始めたんだ。誰もが笑って過ごせる世界を。だからカミラ…待っててくれ。俺達で必ず…作ってみせるから!!



そんな勝手な理想も…時間が経つごとに薄れていった。



ただひたすらに敵を倒す。朝も夜も一睡もせず。国を守る為に。傷を負い、悲鳴が響き、返り血を浴びる。懇願する魔人。子供を守る魔人。種族が違うだけで、人間も魔人も同じ生物なのだと、心の底から思う。流れる涙。血。何故こうも…無抵抗の魔人を殺せるのか…


涙を流しながら…首を切り落とす。俺達が求めた英雄は…一体何だったのか。


「大切な人を守る為…」

誰の声だろう。もう長い事思い出せない。声の主から教わった[護印]で、魔人を殺す日々。休憩の為に王国に戻ると、「国王は罪人を守った」として、処刑されていた。新たな王と寄生して生きる国民は、俺とリーンに罵声を浴びせる。


誰のために…

こんな辛い思いをしないといけないのだろう。


新たな国王は「証明は結果で残せ」と言い。俺達に王国へ侵入禁止を命じた。


憎しみを魔人にぶつけ、無抵抗の赤ちゃんを殺す。リーンと口を聞くのも、一ヶ月に多くて1回きりになった。



魔人殲滅開始から1094日。俺達は成し遂げた。開き直った国民は、俺達を笑顔で受け入れる。[世界の所有権譲渡]。これは前国王が処刑される前に隠した契約書だ。久々に訪れた名前も知らない墓場の横に置かれていた。


扉の前に立ち、リーンと話す。パチパチと聞こえる騒音が、我慢して来た怒りを増幅させる。


「恩方々に[再来の英雄]の称号を与え、この世界の所有権を授与する。」

「ありがとうございます。」

「…」


負のオーラを出すリーンを横目に、笑顔で所有権を受け取る。リーンを部屋に連れて行き、疲れ切った体を倒す。


「やっと終わった…でもまだだよな。」


       物語の始まりは…


俺はリーンの部屋に行き、夢の内容を話した。

長い間話さなかったリーンに、受け入れて貰えるかどうか。不安で押し潰されそうだったが、リーンは笑いながら承諾してくれた。


「俺は……リーンにどれだけ救われたんだろうな…」

緑色の月が部屋を照らす。突然睡魔に襲われ、目を閉じる。ふと、誰かの声が聞こえた気がした。聞き馴染みのある、優しい声。涙が頬を流れ、ゆっくりと目を開ける。緑色の月をカーテンで隠し、リーンに明日の予定を話そうと、扉をノックした。

しかし、





________________________________________


扉を開け、俺は地面に膝を突く。世界の所有権を持ち、リーンと約束した[エデンの楽園]。扉の中には誰もいない。


受け入れられない現実に、ただただ絶望する。


「なんで……俺はただ…」


悲鳴が響き、俺はひたすらに涙を流す。仲間を失い、家族を失い…親友に裏切られた。


「お前は…お前だけは違うって…俺は…」

ただひたすらに破壊を繰り返す。何のためにここまで来たのか。


「大切な人を守りたいから」

「カッコいいでしょ?。」

「お前を信じたから」


みんなの声は…もう届かない。



「どうした?」

「…。ううん。何でも無いよ。」

「…[俺]に嘘は通じないぞ。言え。あと謝るな」

「…ごめん。」

「…」

「昔の仲間を思い出してた。」

「…そっか。で?いつになったらコイツは目覚めるんだ?」

「…分かんない。…ライシって」

「黙れ。それ以上言うな」

「ごめん。」

「はぁ…すぐ謝んな」



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