三人の不思議な日常
私・・・桜城 いまよ 大学一年生女子。
【プロローグ】
鳥のさえずり、生い茂る葉の音。過ごしやすい今の時期が一番好きだ。昔からそうみたい。
実は今年度から地元を離れて大学に通っている。地元がまあまあの田舎だったせいか、こんな東京にくると毎日圧倒されっぱなしだ。大学では不安が多いが今のところ楽しいキャンパスライフを送っている。あの自己紹介のおかげか友人はすぐにできた。
「えー…と、桜城いまよです!地方から来ました。好きなものはウサギとかかわいいものです!
よ、よろしくお願いします!」
【虚無感】
入学してから1.5か月たったとはいえ、毎日寂しい。「いってきます」の返事、「ただいま」「おかえり」の会話、引っ越して一人暮らしだから帰ってくると虚無が待っている。母が、なにかあったらこまるからね、と大きい部屋にしたのも虚無感を引き立ててしまっている。友達と電話をつなぎながらゲームをしたって寂しさの一時しのぎに過ぎない。どうしたらいいのかを考えながら眠りに落ちるのが日課になってしまった。
「今日も疲れたな…。あの子のストーリー可愛かったな(笑) 明日は休みだしゆくっり寝よう…」
【変な夢】
朝起きると体がふわっとしている。これがなんなのか疑問に思っていると、話し声が聞こえてきた。おかしい。私は一人暮らしなのに。
「まさか、泥棒っ!?」
とかってに小声でしゃべってしまっていたが、話し声が近づいてくる。思わず私は毛布にくるまり、まるで誰もいないかを装うようにぴたーと体を平らになるように固まった。声色的に女の子がいるのはわかる。ただもう一人、いわゆる、おねえさん……的な声が聞こえる。もう何が何だかわからない。
「えーすごい!おねえさんいい香りする~。うーんでも私なんだよね?何て呼べばいいの?」
「うーんそうね…。そのままおねえさんがいいかな。なんか嬉しいから(笑)よろしくね、小さい私。」
いったん冷静を取り戻した私がこの会話を聞いても理解に困る。ここからどうしたものか。
「私~。私~。うーん…。いまよ~。怪しくないから~。」
明らかに私が呼ばれている。自分から怪しくないと言うのは本当に怪しいと相場が決まっている。でも気になる。気になりすぎる。
「あ、いたよ!」
と少女の声が間近で聞こえてきた。もう出てくるしかないのか。そう思って思いっきり毛布から出てきてみた。そこには二人。一人はなぜか見たことがある。もう一人は完全にわからない。だれだ。そうか一人はわかった。
「わ…私?」
少女は自慢げに手を腰に当て仁王立ちしている。そこで気づいた。これは夢なのだと。安心した。これがリアルだと脳が追い付かなさ過ぎて大変なことになっていた。これが夢ならこっちもやりやすい。少女が元気に話した。
「そうだよ!どうすごいでしょ!このおねえさんの力で夢にでてこれたってわけ!」
「へ、へぇ・・・」
例え夢だとしてもさすがに理解するのに難しい。
ただ、もっと理解に困るのはこの“おねえさん”だ。
「その…、おねえさんはどちら様で……?」
おねえさんは、優しい声で言った。
「そうね、驚くかもしれないけど私は未来のあなたよ。もしかして、気づいてた?」
うーん…。気づいてたかと聞かれると首を横には振れない。雰囲気が違うが奥底に何か通じるものがある。
「えーーと。うーん。ますますよくわからない・・・」
と困窮していると
「まあ、これからよろしくね!」
とおねえさんは言った。なんのことかさっぱりだ。
「えっ!? ちょどういうこと!」
その二人におやすみといわれたかと思うと、また眠くなり寝てしまった。まったく変な夢だ。