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プロローグ【汚れた体との別れ】


 「あ、こんなところに汚れが。」


 俺は(うらら) 総司(そうじ)

ほんの少し綺麗好きな高校2年生。


 今も、登校中に気になった電柱の汚れや点字ブロックの汚れを()いているところだ。


 キーンコーンカーンコーン…。


 朝礼のチャイムが鳴った。

 

 (しかし今は、長い時間をかけて丁寧(ていねい)に拭くことに集中だ。)



 キーンコーンカーンコーン...。


 何度目かのチャイムが鳴り、汚れを綺麗(きれい)にし終わった俺は学校へ向かった。


 (な、なんであんなところに!)

 

 俺は目の前の道路に置いてある、中身の残ったペットボトルジュースに気がついた。


 取りに行こうとしたが、まだ赤信号だ。


 (まあ、ここの道路はあまり車も通らないし、信号が青になってから取りに行こう。)


 そう思った矢先に、トラックがやってきた。


 (やばい!このままじゃ中身の残った|ペットボトルジュー ス《彼(彼女)》がトラックに引かれて、ここの道路がベチャベチャのアマアマになってしまう!)


 そう考えた俺はペットボトルジュース(彼(彼女))に向 かって走り出した。


 「間に合えぇぇぇえ!」


 ヘッドスライディングをしてペットボトルジュース(彼(彼女))を手に持ち、とにかく前に投げた。



 そして、俺が無駄なヘッドスライディングをしたせいか、トラックの運転手は俺に気づくことなく、こちらに向かって猛スピードで直進してきた。


 (あ、このトラックの汚れ拭きてぇ…。)


 ードンッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「…し、もしもーし」


 脳や体に響くような声で俺は目が覚めた。

 

 (…は!…ん?ここはどこだ?)

 上下左右真っ白で先の見えないような部屋の真ん中に、ヘッドスライディングの体勢(たいせい)のまま、俺は目が覚めた。


 俺の目の前には、もし存在するのなら女神のようなオーラのある女性がいた。


 

 (誰だこの女性は。俺の体はどうなっている?これは夢か?)


 俺が疑問を次々と増やしていくと、目の前の女性は言った。


 「初めまして、私は女神のリーフルと申します。これから順を追って説明しますね。」


 リーフルという女神は俺が心で思っていた疑問の答えを次々と説明し始めた。


 「まず、ここは天界(てんかい)です。前の世界で亡くなった人達の案内をしています。…そして、亡くなった総司さんの体がこちらです…。」


 リーフルがそう言ったあと、俺の目の前にモニターのようなものが現れた。



 (な、なんたこれは…)


 画面には、モザイクがかかった死体があった。


 「これは総司さんの死体です…。」



 身体(からだ)中に衝撃(しょうげき)が走った。


 (俺はモザイクをかけられるほど汚い死に方をしたのか…!)



 もちろん俺は死ぬのなら血が出ない、モザイクがかからないような綺麗な死に方をしようと思っていた。



 「それから、総司さんが(すく)った()()()」のペットボトルが…こちらです。」


 画面が切り替わり、俺が()()()ペットボトルが(うつ)し出された。


 (な、なんだこれは…)


 その画面には、道路や店の窓に飛び散ったジュースと、歩道の上にある(から)のペットボトルが映っていた。



 あまりのショックで放心状態になった俺にリーフルは話しかけた。


 「私もこんな死に方はきたな…可哀想(かわいそう)だと思うんです。」

 「…なので、汚れすぎて困っている異世界があるので、そこに転生して救って欲しいのです。」

 

 『汚れ』

 それは放心状態の俺の心を取り戻すには十分すぎる言葉だった。


 「詳しく教えてくれ。」


 俺は即座(そくざ)詳細(しょうさい)を求めた。



 「総司さんには、異世界の汚れの原因『魔族』を掃除(消滅)していただきたいのです。」

 「掃除(消滅)し終わり、汚れがなくなったら、あなたの願いが1つだけ(かな)います。」

 

 「…元の世界に戻りたい!って願いも行けるらしいですよ。」

 リーフルが耳元で(ささや)いた。


 「…なるほど、分かった。」


 俺が理解すると、リーフルはすぐに転生の準備を始めた。



 

 「…よし!出来ました!」

 五分ぐらい()ち、リーフルは準備を終えた。


 「それでは総司さん、目をつぶって力を抜いてください。」


 リーフルはそう言うと、俺の(ひたい)に手を当てた。



 《…力譲渡(じょうと)加護(かご)譲渡、職種(じょぶ)譲渡、確認。》


 リーフルの手を経由(けいゆ)して、脳内に流れてきた。



 「もう目を開けていいですよ。」

 リーフルがそう言ったので目を開けた。


 「詳しいことは向こうの人が知ってるはずです!」

 「…では、神のご加護があらんことを。」


 リーフルが言い終わると目の前が徐々(じょじょ)に白くなっていった。



 (さっき目を開けた時、部屋に汚れがあったな…。)

 

 後悔している間に、目の前の白さが消えてきた。



 そして俺は、異世界のキレイな屋敷(やしき)で新しい生を受けた。



 それからすぐに、潔癖症(けっぺきしょう)という病気(理由)で、汚い・(くさ)いの2Kな地下刑務所(ちかけいむしょ)の中に捨てられた(放り込まれた)

 


この異世界じゃ子供が産まれたら、まずはステータスを見るらしい。

潔癖症がなぜ病気扱いになったかはそのうち…。

Twitter→@aktns_04

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