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時空の掌握者~クロノティウム・インぺリウム~  作者: 棚からぼたもち
第1章
7/22

第7話 救出と身バレ

ラピス視点続きます。


「それは困るな。とても困る。」


 突然、男の者ではない声が聞こえたかと思うと、私の視界に移る景色が変わっていました。

 先程までは、影に持ち上げられていたはずなのに、影による拘束から解放された状態で地面に寝かされていました。


「俺の影が!?」


「ふぅ、やれやれ。」


「ガキ!お前、何をした!?」


「何って、ただ近くに行って、影を引きちぎって、ラピスを救出しただけだ。」


 そう言って首をかしげているのは、アーテル様と同じ黒髪の少年でした。

 歳はアーテル様よりも7~8歳程年上でしょうか、12歳程に見えます。

 不思議と雰囲気がアーテル様に似ているように感じます。


「ふざけんな!無印(ニヒル・シグナム)が何をしたぁっ!」


 それにアーテル様と同じく、理の印(ノーマ・シグナム)がありません。

 ですが・・・剣のような武器を持っていない状態でどうやってあの影を切ったのでしょうか?

 あれ?ちょっと待ってください・・・そういえば、確か・・・。


「それは企業秘密だ。」


「くそっ!喰らっ・・・うっ!」


「悪いな。時間がないんだ。」


 私の近くに立っていたはずの少年は一瞬で男の懐に移動して、腹を殴っていました。

 男は気を失い、ずるっと少年の方に倒れこみますが、少年はひょいっと避けました。

 がつんっ!と結構な音が鳴っているので、起きた時には、きっと大きなたんこぶが出来ていることでしょう。


「「・・・。」」


 男の仲間である子供2人は男を倒した少年に向かって、攻撃をしようとした瞬間、突如、がくっと地面に倒れこみました。

 どうやら気絶しているようで、触れもせずどうやって気絶させたでしょうか。

 とても不自然です。


「さてと、で、大丈夫か?」


「えぇ、大丈夫ですよ。アーテル様。」


「それはよかっ・・・いやいや、俺はアーテルっていう名前じゃないぞ。」


 私の言葉にとてもうろたえています。

 やっぱり、予想は正しかったようです。

 ただ、状況が状況ですので、合っているかどうか不安でしたが。


「もう、分かっていますよ。私が何年、アーテル様の専属メイドをやっていると思っているんですか?」


「いや、まだ1年くらいだろ。」


「ほら、やっぱりアーテル様ですね。」


「はっ!しまった!」


 少年、いえ、アーテル様は頭を抱え込みました。

 アーテル様のこういう反応を見れて、ほっとしました。

 さすがに誘拐されそうになったのは、ちょっと怖かったので。


「なぜ、アーテル様がいるのか、そして、その姿はどういう訳なのかは明日にでも聞かせていただくことにしましょう。今は部屋にお戻りください。衛兵の方がこちらへと向かっているようですので。」


「忘れてくれるとありがたいんだけどな。まぁ、それじゃあ、明日。」


「えぇ、また明日です、アーテル様。」


 別れを告げると、アーテル様は一瞬で姿を消しました。

 どう考えても、理の印(ノーマ・シグナム)の力を使っていますね。

 それも第三段階以上の物を。


「これは明日が楽しみですね。」


 遠目に近づいてくる衛兵への対応が少し憂鬱ですが、明日のことを考えれば、多少は我慢できます。

 ふふっ、本当に明日が楽しみです。


―――――――――――――――


【アーテル】


「まさかバレるなんて・・・」


 俺は帰ってきてすぐ、布団の上に寝転がって、頭を抱えた。

 もう既に元の5歳の姿に戻している。


「明日になって、すっとぼけてみるか?」


 絶対無理だ。

 何より、父上や母上に言われたら、まずい。

 ラピスには多分、その手段があるはずだ。


「俺の馬鹿!」


 隠しきれなかったことよりも、ラピスに隠し通せると思っていたこと自体が馬鹿だったのかもしれない。

 素顔をさらしていたのがまずかったのかも・・・いや、ないな。

 ラピスは最初は半信半疑くらいだったはずだ。

 髪の色を変えるべき・・・まず、その手段がないな。


「あ~!どうすればよかったんだよ!?」


 まず、助けに行かないという選択肢はなかった。

 衛兵に言えば、よかったか?

 いや、あの状況だと、その前にとんずらされるし、もし衛兵が間に合ったとしても、倒されるか、エリオム兄さんの命令で逃がされるかもしれなかった。


「あれが最善手だったとは思うけど・・・」


 それで俺の秘密がバレてしまったのは誤算だ。

 助けてすぐにさっさと逃げ出してしまえば、よかったかもしれない。

 それでも、勘づいたラピスに問いただされて、ボロが出て、バレたかもしれないが。


「・・・まぁ、いいか。」


 事情を話せば、ラピスのことだから理解してくれるはずだし、いずれは俺から言うつもりだった。

 それが早くなったと思えば、うん、まぁいいだろ。


「・・・俺はラピスと離れたくないんだ。」


 俺のこの異常な理の印(ノーマ・シグナム)のことを知って、ラピスが離れていかないのか心配だ。

 ラピスのことだから、大丈夫だとは思うが・・・万が一ということもある。


「俺、もしかして、ラピスの事が好きなのか・・・」


 男女の意味で好きなのかもしれない。

 王国の面汚しなどと差別を受けている俺に優しく、そして普通に接し、味方となってくれているのだから。

 好きになっても仕方のないことではないだろうか。


「あぁ、くそっ!なんかもやもやする!」


 前世でも感じたことがない感情に俺は戸惑う。

 前世は恋愛経験0だからな。

 明日、ラピスと会えるのが嬉しく思えるのと同時に、ちょっと憂鬱だ。

どうでしたかね。

個人的にはいい感じだと思うんですけど。

未だにブックマーク1人で、感想もレビューもないというのは非常に悲しいです。

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