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時空の掌握者~クロノティウム・インぺリウム~  作者: 棚からぼたもち
第1章
5/22

第5話 ラピスの休日

今回はラピス視点になります。

 私の名前はラピス。

 グロリア王国の第四王子であるアーテル様の専属メイドです。

 今日は久しぶりにお休みの日。


「・・・もう太陽があんな位置に。随分と寝過ごしてしまいました。」


 お休みの日だからこそ、こうやって布団の上でだらだらできます。

 そう考えると、アーテル様はずるいですね。

 普段、ずっと布団の上でごろごろしていたり、部屋でボーッとしていたりできるのですから。


「起きてしまいましたし、どうしましょう。」


 私が休みを取ることはかなり少ないです。

 なぜなら、アーテル様は王城での立場がかなり悪いからです。

 国王陛下も皇后陛下もアーテル様のことを可愛がってはいます。

 ですが、理の印(ノーマ・シグナム)がないというのはやはり致命的でした。

 理の印(ノーマ・シグナム)はあって当然の物、それも強者や英雄の血族である王侯貴族がそれを持っていないとなると、差別されるのも当たり前です。

 実際、国王皇后両陛下もアーテル様を庇いきれていません。

 そのフォローをするために、私がアーテル様の専属メイドになったんですけどね。

 それもあって、私は休みを取りづらい状況にあります。


「なんですけど・・・アーテル様はそれを分かってらっしゃるのでしょうか?」


 今回のお休みはアーテル様の命令によるものです。

 「いつも助かってるよ。たまには休みがいるだろ。明日くらい休め。」とアーテル様が昨日言ってくれました。

 アーテル様は本当に5歳なのでしょうか?

 年齢を偽っているのではないかと思う発言をすることが多々あります。


「アーテル様のことですから、それぐらい察していそうですけど。それに自分で自分の世話ぐらいしていそうですね。」


 アーテル様のお部屋は非常に綺麗です。

 他の王族とは違い、自分の服は自分で着れますし、多分ですけど、お部屋の掃除も自分でやっているのではないでしょうか。

 「物が少ないし、まず物を動かすことがないからな。」と言っていますが、それでもほこりは溜まるものです。

 もちろん、私が毎日掃除をしているからというのもありますが、やはり部屋が少しきれいすぎる気がします。


「さて、せっかく休みをもらったことですし、だらだらするのももったいないですね。」


 それに今日はいい天気ですし。

 私は久しぶりに城下町の方に出ることにしました。


「ご飯はどうしましょうか。」


 朝ごはんというには遅いですし、昼ご飯というには少し早いです。

 せっかく城下街に行くので、屋台で売っている物を食べ歩きでもしましょうか。

 それをアーテル様に自慢してあげましょう。

 アーテル様は時々、城下町の方へ出たがっているので。


「少し、いじわるですかね?」


 謝れば、アーテル様なら許してくださるでしょう。

 アーテル様は普通の王族よりも庶民に思考が近いようですので。

 いつの間にか、休みにも関わらず、私はアーテル様の事ばかり考えています・

 まるで恋する乙女ですね、と私は少し笑いました。


「さて、行きましょうか。」


 私はタンスの肥やしとなっている私服から、服を適当に選んで、外に出ました。

 私は王城の中にあるメイド寮に住んでいます。

 王城の中と言っても、王城の内部ではなく、ただ敷地内に建てられている建物ですけど。


「クリック様。」


「どうも、ラピスさん、お出かけですか?」


 クリック様は王城の門番を統括しているお方です。

 子爵で近衛兵であるにもかかわらず、仕事熱心で、こうやって門番の仕事もしています。


「はい、久しぶりの休暇ですし。天気もいいですから。」


「そうですね。いつも仕事お疲れ様です。今日はゆっくりしてください。」


「はい、そうさせてもらいます。」


 クリック様はアーテル様を侮辱しない数少ない人の1人です。

 もしも門番がクリック様でなければ、「無印(ニヒル・シグナム)に仕えて大変ですね。」とか「やめたらどうですか?」と言ってきます。

 そうなると、せっかくのお休みが台無しです。

 今日の門番がクリック様で本当に良かったと思います。


「さてと、小腹が空きましたので、何か買いましょうか。」


 貴族街を抜けて、中央広場の付近に移動すると、屋台やお店がたくさんあります。

 どれを食べるか迷っていると、どこからか、とてもいい匂いが漂ってきました。

 はしたないかもしれませんが、その匂いにつられて移動すると、1つの屋台にたどり着きました。

 何かのタレを垂らして、ジュージューと串肉を焼いています。


「あの~すいません。」


「はい、らっしゃ・・・」


 私が声をかけて、肉を焼いていた男性は顔を上げると、ビシッと硬直しました。

 お肉が焦げそうでもったないです。


「お肉が焦げますよ?」


「は、はい!」


 私が再び声をかけると、男性は顔を真っ赤にして慌てて、串肉を火から離しました。

 ちょっと焦げているようですが、それでもとても美味しそうです。


「これは何のお肉ですか?」


「は、はい!な、ナパリの肉です。」


「これがナパリですか・・・タレが随分と特殊なようですね・・・」


 ナパリというのは鳥の一種で卵の方はおいしいのですが、お肉の方はそこまでおいしいものではありません。

 パサついてて、味もそこまでとあまり食べられるようなものではないのですが・・・このナパリの串肉はとても食欲がそそられます。


「それを1本ください。」


「はい!すぐに用意します!」


「あまり急がなくてもいいですよ?」


 男性はまた顔を赤らめて、作業に没頭し始めました。

 なんで顔を赤らめるのでしょうか?

 お肉を焼いているので熱いのは確かですけど、急に赤くなることはないと思うのですが。

 それはそうと、あのタレはいい匂いです。

 出来れば、作り方を無理なら、少し分けてもらいたいところです。

 アーテル様へのお土産になりますね。


「や、焼けました。1本なんで、小銅貨8枚です。」


「安いですね。はい、小銅貨8枚です。」


 お金は値段が低い物から順に、小銅貨、銅貨、大銅貨、小銀貨、銀貨、大銀貨、小銀貨、金貨、大金貨、国金貨となっています。

 小銅貨10枚で銅貨1枚という形で、硬貨10枚とその硬貨よりも1つの上の価値の硬貨1枚が同じ価値になっています。

 普通の串肉なら、銅貨1枚と小銅貨2枚ほどすることから考えれば、かなり安い金額でしょう。

 私は串肉を受け取った後、邪魔にならないように道の端に移動しました。


「んんっ!おいしいですね。思っていたよりも薄い味付けです。」


 タレがべったりとついているにもかかわらず、味が濃いわけではありません。

 ナパリでこれなら、他のお肉に使えば、どうなるのでしょうか。

 ますます、タレのことが気になってきました。


「ふぅ~、おいしかったです。」


 私は理の印(ノーマ・シグナム)を使って、水を発生させて、さっとタレでべたついた手を洗い流しました。

 私は水属性の理の印(ノーマ・シグナム)である水の印(アクア・シグナム)を持っています。

 これのおかげで、こうやって水をさっと出して、操ることができます。

 アーテル様はこれがないせいで、差別を受けているので、少々複雑ですが。


「さて、他にも掘り出し物がないか、探し見ましょうか。」


 串の方は近くにあったごみ箱に捨てて、私は何か美味しい物がないか探し始めました。

 もちろん、掘り出し物というのは食べ物だけではなく、道具とかもです。

 別に食い意地が張っているという訳では・・・本当ですよ?

キャラの個性を保つのって難しいですね・・・。

ラピスのキャラが不安定だ・・・。

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