第12話 ネタばらし
『皇后』というのは違うみたいなので、『王妃』に修正しました。
俺が取り乱してから数分後、ようやく落ち着きを取り戻すことができた。
俺と父上と母上とラピスは謁見の間から、空いている応接室の方へと移動した。
俺と父上と母上はその部屋でゆっくりとしている訳なのだが・・・そんな中、ラピスは普通に座ってくつろういでるのはどうなんだろうな?
ちなみに、ガルトナーは俺の一撃で鎧がへこみ、あばら骨とかボキボキに折れていたので、時間を戻して治しておいた。
ただ、気絶したままだったので、他の近衛騎士に後は任せて、放置してきたが。
「さて・・・アーテルは、理の印を持っているということで間違いないな?」
「えぇ、国王陛下。持っていますよ。」
父上のことを国王陛下と呼んだのは、せめてもの仕返しだ。
何故、仕返しになるのかはすぐに分かる。
「ちょっ!?アーテル、せめて、父上と呼ぶようにと、やくそ・・・」
「いいえ、国王陛下。いくら息子と言えど、陛下を欺いていたのは確かです。信賞必罰は世の常、反省の意を込めて、国王陛下と呼ばせていただきます。」
俺は昔、父上のことを陛下と呼んでいた。
周りを真似ていたというのもあるが、王位継承権を持っていない俺が父上などと呼ぶのはあまりよろしくないと考えていたからだ。
だが、俺を溺愛している父上にはそれが耐えがたかったらしく、父上と呼ぶことと約束させられた。
ちなみに、母上は俺の本当の母親である第三妃と仲が良かったらしく、そのこともあってか、俺のことを溺愛していたため、王妃陛下と呼ばれるのを嫌い、母上と呼ぶよう約束させられた。
「あ、あのな?俺自身がいいと言っているのだから・・・」
「陛下、俺という一人称はよろしくないかと思います。」
うろたえすぎて、父上が素を出してしまっている。
目論見通り、仕返しになっているようだ。
「そうよ、あなた、あれはアーテルが怒っても仕方ないわ。」
「いえ、怒っておりませんよ、王妃陛下。国王陛下に怒るなど、恐れ多くてとても。」
「え?私もその呼び方なの?」
母上も父上を注意したはいいが、自分自身も俺の怒りの対象にいるとは思っていなかったみたいだ。
俺にかしこまった呼び方をされて、おろおろとしている。
そして、最後にこの場にいるのはもう1人、
「さぁ、ラピス。なぜ、くつろいでいるんだ。僕の後ろで控えていろ。」
え、私もですか?という顔で紅茶を飲みながら、ラピスは驚いている。
いや、それよりも、お前、何、紅茶飲んでゆっくりしてんだよ、国王と王妃の前だぞ?
俺がじろっと睨んだのを見て、ラピスはいそいそと立ち上がり、俺の後ろに控えた。
「失礼いたしました、国王王妃両陛下。僕の専属メイドが失礼な態度をとったことを謝罪いたします。」
「アーテル?冗談だよな?冗談と言ってくれ。」
「そ、そうよ。アーテル、そろそろ・・・」
「いえ、陛下の御前で、近衛騎士副団長に殴り掛かるという暴挙を犯したこと、誠に申し訳ございません。反省の意として、国王王妃両陛下を父上、母上と呼ぶ権利を返上いたします。」
あくまでも、反省の意として、返上している形だ。
俺は間違っていないし、何ら問題もない。
「・・・俺達が悪かったから、名?悪かったから、その呼び方をやめてくれ。」
「そ、そうよ、アーテル。私達が悪かったから。」
父上と母上は俺の態度におろおろしている。
ここらが潮時だな、これ以上やりすぎるのはあまりよくないだろう、多分。
「分かりました、父上、母上。」
2人はあからさまにほっとしたような表情を見せている。
そもそも5歳の子供がこんな対応をとっていることをまず気にかけて欲しいのだが・・・この親バカ達には無理だろうなぁ・・・。
「そ、それでだな、アーテル。理の印を持っているのは分かった訳だが・・・どの属性なのだ?」
「現存する属性ではないです。」
時間と空間、つまり時空を操る属性なんて、存在しない。
というか、こんな化け物じみた能力がボコボコあっては困る。
命属性が特殊枠として、存在するが・・・。
「何?」
「特殊枠にある命属性でもありません。といっても、おそらくですが。」
命属性は黄色の印だし、それに命や生物に関係する能力である。
時空は全く関係ない。
「う~む、確かにそうだな。目に見えないのは何故だ?」
「印の色が透明だからです。」
「なるほど・・・だからか。確かに現存する属性に透明のものはないな。そもそも、見えない印とは初めて聞いた。それで、どんな力があるのだ?」
どこまで話したものか・・・。
俺の能力は規格外すぎるし、もちろん空間もだが、特に時間の方は、為政者に教えるには危険な力だ。
だがもう隠し切れない。
さっきの動きの問題で言えば、空間の力だけでもどうにかなりそうだが・・・いや、父上と母上を信じてみよう。
「・・・時間と空間の操作です。」
「時間と空間の操作?時間の方は分かるが、空間の操作とはどういうことだ?」
そういえば、そうだった。
ラピスもそうだったが、この世界の人は空間の操作と言われても想像できない。
「例えば、距離を広げたり縮めたりできます。」
「距離を縮める?広げる?というのはどういうことだ?」
「口では説明しづらいです。曖昧なので。」
「ふむ・・・仕方ない。後回しだ。時間の方は?」
「時間は単純に時間を早めたり、遅くしたり、戻したりする力です。」
「あの動きやパンチの威力は時間を早めたということか?」
「まぁ、おおまかにその通りです。」
さすが、父上、理解力が高い。
母上は分かっていなさそうな表情だが・・・あとで父上に教えてもらえばいいだろう。
「なるほど・・・危険だな。1つ聞こう。人を蘇らせることはできるのか?」
やっぱり、父上もそこに気づくか。
「いいえ、無理です。生物は死んだ時点で魂がなくなります。つまり、体の形自体は元に戻せても、命自体を戻すのは無理です。ただ、死んでさえいなければ、時間を戻して、傷を治すことは可能です。」
1度、近くで死んでいた虫にやってみたことがあったが、無理だった。
虫が動いていた過去に遡っても、命自体はもう既にないものだから、戻しようがなかった。
「そうか・・・アーテル、お前はどの段階まで覚醒している?」
「今は第三段階です。」
「うちの子は天才だな。」
「えぇ!そうですね!」
「父上?母上?」
今、その話は違うよな?
急にシリアスが壊れて、親バカ要素が出てきたぞ?
「そ、そう怒るな。で、アーテル、覚醒の方法は知りたいか?」
「それは・・・もちろん、第五段階までの覚醒方法は知りたいです。」
第三段階でこれなら、第五段階だとどうなるのか。
非常に楽しみだが・・・覚醒を失敗して死んでしまっては元も子もない。
「ただ、今、教えるのは・・・そうだな、アーテルが学園を卒業した後に教えよう。」
「学園ですか?」
そんなものがあったとは知らなかったが、よく考えれば、教育機関があるのは当たり前だ。
まぁ、外には出ないし、外の情報が入ってこなかったので仕方ないのだ、多分。
「そうだ。学園は12歳に入学し、3年間、様々な学問を学び、理術を使用した実践訓練などを行う教育機関だ。貴族の子供はほぼ必ず、学園に通う。」
「え・・・15歳までお預けですか?」
後10年も待たないといけないなんて・・・そんなの嫌だ。
「本来なら、5歳で覚醒するのはあり得ないし、体によいことではない。まだ未成熟な体で覚醒すると何かしら、異常が発生する可能性がある。だが、15歳ともなれば、もう成人だ。教えても問題はないだろう。」
「・・・分かりました。」
悔しいが理にかなっている。
失敗すれば、重傷あるいは、死の可能性があり、成功したとしても激痛が走る覚醒を子供の頃に行うのは確かに危険だ。
だが、まだ5歳の俺にとっては、今の年齢の2倍の年月を待たないといけないのだ。
その年月の長さにため息をついたのは仕方のないことだった。
これにて1章は終わりの予定です。
次はちょっとしたお話を1話ほど投稿して、2章に入ろうかと思っています。
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