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時空の掌握者~クロノティウム・インぺリウム~  作者: 棚からぼたもち
第1章
10/22

第10話 呼び出し

また短いです。

ちょっと忙しくて・・・。

 プロムスに案内されたのは、家族で過ごすような部屋でも、食事の場でもなく、謁見の間だった。

 これだけでも、嫌な予感が倍増しているのだが。

 それに加えて、近衛騎士団の副団長であるガルトナーが傍に待機しているというのも、不安を煽る要素だった。

 今から話すのは、プロムスと父上と母上とガルトナーを除けば、謁見の間には誰もいないので、内々で済ます重要案件、おそらく、エリオム兄さんが犯罪組織の方にコンタクトをとったことだろう。

 それだけだと思いたい。


「さて、アーテル、エリオム。急に呼び出して悪いな。」


「いえ。」


「いいえ、父上。いくらでもお呼びください。」


 本当に気味の悪いレベルでエリオム兄さんが従順だが、父上や母上の前ではこれが普通なのである。

 ちなみにレイ兄さんの時は、敵視しているのか、露骨に睨んでいることの方が多い。


「さて、エリオム。まずはお前に話がある。」


「はい。父上。」


「エリオム・・・やりすぎだ。犯罪組織の方に直接コンタクトをとったな。」


 冷たい視線がエリオム兄さんを貫く。

 あの傲慢なエリオム兄さんがびくびくおどおどしていた。


「い、いえ、それは・・・」


「分からないとでも思っていたのか?それとも、許されるとでも?」


「・・・。」


 エリオム兄さんが言い訳をしようとした瞬間、父上が追い打ちをかける。

 さすがのエリオム兄さんもだんまりだ。


「今までも目に余った行為はあったが、自ら気づき、反省してくれると思い、見逃していた。だが・・・今回の件は見逃すレベルをはるかに越えている。第二王子エリオム・グロリア。グロリア王国国王レイガル・ド・グロリアの名において、お前の王位継承権を取り上げることを宣言しよう。余程の功績がない限り、お前に継承権が戻ることはないと思え。」


「そ、そんな!父上!待ってください!」


 エリオム兄さんは父上が言ったことを信じられないのか、父上に向かって歩き出そうとする。


「ガルトナー、つまみ出せ。」


「はっ!」


 ガルトナーはひょいっとまるで猫のようにエリオム兄さんの襟首をつかみ、持ち上げる。


「お、おい!ガルトナー、放せ!僕を誰だと思っているんだ!」


 エリオム兄さんはバタバタと暴れて抵抗しているが、筋肉むきむきのガルトナー相手では、何の意味もない。

 最終的にはポイッと謁見の間から放り出されて、謁見の間の外で待機していた騎士に連れていかれていた。

 さて、問題はこれからだ。

 ここに呼んだ理由が、父上が俺を心配して、ということなら問題ないが・・・どうもそういう雰囲気ではなさそうだ。


「さて・・・次はアーテル、お前にだ。」


「なんでしょうか。父上。」


 いつもなら砕けた口調を望む父上だが、今は違う。

 父としてではなく、王として、俺に対応していた。


「これだ。」


 父上がガルトナーに視線をやると、ガルトナーはポイッと何かを投げ、俺の目の前にパサッと落ちた。

 それはメイドが頭につけているカチューシャやヘッドドレスのようなもの、いわゆるホワイトブリムだった。

 ただ、普通の物ではなく、()()()()()ものだった。


「これは・・・?」


 俺は自分の予想が正しくないことを望んだ。

 どの想定も否定したかったが、今落ちているものがその想定を裏付けていた。

 遊びならいい、からかいなら、別にいい。

 だが、これはそうではない。


「珍しく、察しが悪いな。誰の血か、分からないのか?」


「・・・父上、これは何の冗談ですか?」


 この問いかけで分かった、いや、分かってしまった。

 今日、ラピスが俺の部屋に来るのが遅れていたのは、たまたまでも、エリオム兄さんが来ていることを察知したからでもない。


「ガルトナー、連れてこい。」


 ガルトナーが王座の横にある謁見の間から見えない通路から()()()を引きずってくる。

 それは血だらけになっているラピスだった。

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