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再開

「純一!純一!目覚ましたの!?」


私は病室の出口から全力で純一が寝ているベッドへと向かった。


私は布団に眠っていた純一の顔を覗き込んだ。


「あ、あぁ……よかった…ほんとによかったぁ!!うわぁぁぁん!!」


そこにはしっかりと目を開けてこっちを見て微笑む純一が寝ていた。


「静うるさい…って抱きつくな!濡れるから!」


「そんな事言ったって!どれだけ心配したと思ってんのよ!このバカ!」


「あの…そろそろ宜しいでしょうか?」


すっかり忘れていたが看護婦さん来てたんだった。


「すみません、純一この通り目覚ましたみたいなんですけど…」


「え、えぇそうみたいですね。天谷さん体調の方はどうですか?」


「ちょっと頭が痛いぐらいで他は何も無いですよ。俺、ピッチャー返しくらって…あ!試合はどうなりました!?」


「なら明日検査をしますので今日はゆっくり休んで下さい。試合の結果は彼女さんに聞けばわかると思いますよ、それでは私はこれで。彼女さんも出来るだけ早く帰って下さいね」


「わかりました。おい静…そろそろ起きろって…もう俺は大丈夫だから」


「ほんとに?どこか痛いとかない?」


「大丈夫だよ。まだ打球当たったとこが少し痛いぐらいだから。それで試合はどうなったんだ?」


この試合結果を純一に伝えるのは酷かと思ったが私は事実をそのまま伝えることにした。


「あのまま4-3で負けちゃったよ…」


「そっか…ほんとごめんな心配かけて」


「ほんとよ。もうほんとに死んじゃうんじゃないかって思ったんだから…」


「わーごめんごめん!もう泣くなって!お詫びになんかして欲しいことあったらなんでもしてやるから!」


「じゃあキスして」


「はぁ!?どうしたんだよいきなり」


「いいから!」


私もなんでこんな事を言ったのかわからない。でもそれだけ純一が目を覚まさない間胸が張り裂けそうな気持ちになるしご飯は喉を通らないしでずっと心配してたんだからこのぐらいしてもバチは当たらないよね。


「わかったよ…じゃあこっち来て」


「ん」


「静、ほんと心配かけてごめんな。これからは絶対傍離れたりしないから」


「約束だからね」


「ん…ん!はぁ…ちょっと誰が舌入れていいって言ったのよ」


「しょーがねーだろ、男ってそういうもんだよ」


「まったく…じゃあまた明日来るからね。おやすみ」


「おやすみ」


こうして私は純一の病室を後にした。


ホントによかった…目を覚ましても記憶喪失とかになったりして私の事忘れちゃったりしないかなって心配だったけど、純一は起きてすぐに私の名前を呼んでくれた。ホントに嬉しかった。それでまた泣いちゃったけどね。検査終わって帰ってきたらまたご飯作ってあげるから早く退院してよね!


---------------------

純一side(静が目を覚ました純一に気付いた辺りからの視点になります)


「純一また来るからね」


なんだろう…静の声が聞こえた気がした。っていうかここはどこだ?確か俺は試合中に…そーだ。ピッチャー返し貰って頭に打球当たって…それでここはどこだ?


「いって…」


頭に激痛が走る。恐らく寝てるっていうより倒れてる時って言った方がいいか。痛覚が麻痺してたんだろうけど意識がはっきりした今だからわかる痛みがそこにあった。まぁその痛みはよくある打撲程度の痛みだったからたいしたことはなさそうだけど。


それより今静の声がしたような…くっそ、体がずっと寝ていたせいか上手く起こせない。声が届くか分からないけど俺は喉の奥から絞り出すように声を出した。


「しず、か」


一生懸命に絞り出すように出した言葉がこんな情けない声量かよ…こんなんじゃ仮に静いても気が付くわけないじゃん…まぁ体調回復待つしかねーか。


「純一!純一!?目覚ましたの!?」


嘘だろ?ほんの小さな声量で聞こえたって言うのか?


足音がだんだんと俺が寝ている場所に近付いてくる。そして……



心配そうな顔でこちらを覗き込む静と目が合った。ほんとにいたんだ…よかった幻聴とかじゃなくて。それにここ病院だよな?お見舞いとか来てくれてたんだなって思うと少し嬉しかった。


そんな軽く考えてた俺とは違い静は俺の顔を見ると…



「あ、あぁ……よかった…ほんとによかったぁ!!うわぁぁぁん!!」


静!?俺は今まで静と付き合ってきててこんな大泣きして子供のような静は見たことがなかった。俺はそれだけ心配かけてたのか…


「って抱きつくなよ!濡れる!」


いつもの静なら有り得ない行動だった。自分から俺に抱き着いてきて思いっきり甘えるような風に体押し付けてくるなんて事はなかった。ほんとどれだけ心配かけてたんだよ……


予想通り静の口からは本当に心配したって言われてしまった。俺も今は特に少し頭が痛いぐらいだから大丈夫って返しておいた。これ以上静泣かせたら菜華ちゃんに怒られちゃうしね。


試合の方は負けてしまったみたいだった。本当に途中で抜けて申し訳ない気持ちで沢山だった。


静はまだ元気がなさそうだったから話の成り行きとは言えなんでもしてやるからって言う俺の発言に対してキスしてって言われてほんとに焦った。お家デートした時だってしなかったのにこうも突然言われるとめちゃくちゃ動揺するんだなってことがわかった。俺だって男だ。彼女からキスしてなんて求められて断るわけがない。ちょっと調子に乗って舌入れて怒られるかな?って思ったけど静は満更でもない表情だったから大丈夫だよね。


静が病室から出たのを確認して俺はまたベッドに横になった。


「天谷さん、彼女さん本当に心配してましたよ。明日の検査が終わって無事退院したら彼女さんめいっぱい可愛がってあげなきゃダメですからね」


おばさん看護士が冗談混じりに俺に話しかけてきた。もしかしてさっきの見られてた…?


「もちろんですよ。もう金輪際あいつ泣かせたりしませんから」


「ほんと熱々ね、それじゃおやすみ天谷さん」


「おやすみです」


こうして俺は無事峠を超え翌日の検査も異常無しで1週間後に退院が決まった。




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