私の大切な人
私は夢を見ていた。私が純一を友達から異性として意識して間もない頃の夢だった。
中学1年生の時の9月。まだ暑さが抜けきっていなくその日も暑かったっけ。
私はその日も日課にしてたランニングを純一としていた。純一が野球を始めた事もあり自然と一緒に走ろうか?って言って始めたランニングだった。その時から純一は私の事好きだったのか今考えると。そりゃ1回も遅刻とか嫌な顔せず走るよね。好きな人の前なら全力全開でやるよね。
「ん?今日ペース少し遅くない静?」
確かあの時私の調子の変化をすぐ見抜いたっけ純一。何度も一緒に走っていたせいかペースの乱れに気が付いたようだった。私は全くそんな事を思っていなくてこう返したと思う。
「え?いつも通りだよ?体力ついてきたんじゃない純一?ペース上げようか?」
「え、そうなのかな?大丈夫このままでいいよ」
「そ」
その後も走り続け自分の調子がおかしいって感じたのは走り始めて3キロほどたった時だった。頭痛を感じ始めてその場に座り込んでしまった。
「静!?大丈夫!?」
「ごめん、ちょっとくらってきた。少し休んでいい?」
「全然いいよ、ちょっと待ってて水買ってくる!」
純一は私の体調を気遣って近くの自動販売機からスポーツドリンクを買ってきてくれた。
「はい、これ以上続けるのもあれだし今日はもう帰ろ」
「うん、ごめんね」
やばい、、、頭痛が酷くなってきた。風邪かな。ちょっとしばらく動けそうにないや。
「純一、ちょっと動けそうにないや、、、」
そこで私の意識はぷつりと切れた。
目が覚めたのは自室のベッドの上だった。
「あれ、確か私ランニングしてて体調崩して、、、って純一!?」
私のベッドに突っ伏して寝ている純一の姿があった。
「あ、静。やっと目覚めたのね。貴方熱中症で倒れて家まで純一君がおんぶして静流さん!静が!静が!って大泣きして連れてきた時はびっくりしたんだから。純一君起きたらちゃんとお礼するんだよ。体調の方はどう?」
「え!?あそこからおんぶで!?体調の方はもう大丈夫だよ。お母さん心配かけてごめんね」
「そーよ。それで静が起きるまで横にいさせてくださいなんて言うんだからほんと素敵な男の子じゃない純一君。ちゃんと大切にしなさいよね」
「え、う、うん」
多分この時から純一の気持ちお母さんは気付いてたんだなって思う。笑ってたし。
しばらくして純一が起きて私の顔を見てまた泣いてなだめたっけ。それで男の子らしい1面見せられてから単純だけど異性として意識し始めたんだよね。
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「天谷さんの彼女さんですよね?」
あ!?いけない寝てた。ゆかりは何故か横にはいなかった。トイレにでも行ったのだろうか。
「あ、はいそうです。それで純一は!?」
「私達医師としては全力で治療致しました。ですが、、、天谷さんはまだ目を覚ましておりません。いつ目を覚ますかわからない状況で油断ができない状態になってます。しばらく入院してもらうことになると思います。本当に申し訳ありません」
今日が山だってゆかり言ってたよね、、、いつ目を覚ますかわからないってことは、、、
「あの、目を覚まさなさいってことも、、、」
その瞬間医者の目が曇ったのがわかった。
「はい。このままずっと寝たきりになる可能性ももちろんあります、、、」
「嘘、でしょ、、、」
「すみません、失礼します」
そう言うと医師はその場をあとにし私は我慢していた大粒の涙を流した。
「なんでよ!なんで純一が!なん、で、、、うぅ、、、」
「静ちゃん」
「純一のお父さん、、、」
「まさか、俺が海外に行ってる間にこんなことになるなんてな。ほんと勝手な父親で周りに合わせる顔がないよ。本来なら試合だって見に行って応援してなきゃいけないのにな」
確かにそうかも知れない。でも本当に酷い親なら起業中の海外から仕事を放り出して帰ってくるなんてことはしないはずだ。だから私は純一のお父さんにこう返した。
「そんなことないと思いますよ、こうやってすぐ飛んできてるじゃないですか。それより純一のお母さんと私の両親は来てないんですか?」
「ありがとうねフォローしてくれて。今医者から話聞いてるよ」
「そうですか、、、」
「せっかく付き合い始めたばっかなのにあいつも馬鹿なやつだよほんと、、、静ちゃん泣かせるなよな」
「ホント馬鹿ですよ。だから目覚めたらぶん殴ります。私は純一が目を覚ますのいつまでも待ちますから」
「ありがとう、俺もしばらく日本にいるよ。海外の事は静流さん達に任せることにした。だから静ちゃんと菜華ちゃんはしばらくうちにいなね」
「わかりました」
「そろそろ遅いから帰ろう。また明日学校終わったら送ってくから来よ」
「そーですね、帰りますか」
病院から出ると駐車場には私の両親と純一のお母さんがいた。
「お母さん、、、」
たまらず私はお母さんに抱きついた。口では目を覚ますと思っていても中身は違った。このまま純一が目を覚まさなかったら、、、って思ってしまう自分がいた。今回で私がいかに純一に依存してそれがなくなろうとするといかに弱いかがわかった。きっと私が倒れた時の純一もこんな感じだったんだろうな、、、
お母さんは優しく抱きしめ返してくれた。
「大丈夫よ、貴方が信じ続ければきっと純一君は目を覚ますわ。私も3日は日本にいるし今日は北原の家に帰りましょ」
「うん、、、」
私はお父さんが運転する車に乗り家へと帰った。家に着くと菜華が目を真っ赤にして私に飛び込んできた。
「おねぇ!じゅんにぃは!?大丈夫なんだよね!?」
私は隠さず真実を菜華に話した。いつ目を覚ますか分からないこと。最悪目を覚まさない可能性があること。
それを聞くと菜華は壊れたおもちゃのように泣き続け私とお母さんでずっと菜華を抱きしめた。私は涙を出し切ってしまったのか心は悲しいのに泣けなかった。
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