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ピッチャー返し

今回少し重たい話です。

『8回の裏ベリーベリー学院の攻撃は6番ファースト青山君』


点取った後のこの回だ。せっかく1点差になったのに俺が点取られたら意味無いからな。


タカとのサイン交換が終わり第1球を投げた。


カキーン!



!?



「純一ぃ!!!!!」



何が起きたのかわからなかった。


俺が最後に目にしたのは走ってこっちに来るタカだった。



---------------------


私は5回の表から友達の八神祐希と共に百合山高校の野球部の応援に来ていた。


「あ!あの子でしょ!最近静が仲良くなったっていう後輩ちゃん」


「あ、ほんとだ!頑張れ薫ちゃん!」


私もスポーツをしているためスポーツ観戦などする時はめちゃくちゃ応援する派だ。やっぱりスポーツは燃えるよね。


その変わった薫ちゃんが6回裏まで無失点で抑えついに純一が出てきた。


「お、出てきたね純一君」


「そーね。頑張ってね純一。あんたが抑えるしかないんだからね」


「大きな声でダーリンファイトー!って言わないの?」


「言うかバカ。純一!絶対抑えなさいよね!!」


純一はその回制球に苦労するも私が教えた蘇生法で何とか事なきを得る。


「あのバカハラハラさせてほんとに、、、」


「まぁ野球よくわかんないけど抑えてるならいいっしょ」


「まぁね、あ、純一からじゃん」


「あ、ほんとだ純一君打てぇ!」


スタンドの祐希の応援に応えるように純一はツーベースを打った。その後まさかの2者連続ホームランがあり私達の周りの応援団もボルテージがMAXになった。


そして8回裏。そこで二度と忘れない出来事が起きた。


「天谷頼むぞー!!」


「純一君任せたよ!!」


その初球だった。


カキーン!ベリーベリー学院の先頭打者は初球を真芯で捉え打球は、、、


純一の後頭部に直撃した。



「嘘よ、、、純一ぃ!!!!起きて!立ってよ!!」


私の声は虚しくも純一には届かず担架でベンチ裏へと運ばれていった。


私はその場で泣き崩れた。人生でこんなに泣いた日は無かったと思う。まだ純一の安否はわからないにしても泣いた。好きな人が心配になるなんてこんなに辛いと思わなかった。私がどんなに悪口を言っても笑って答えてくれた純一。初めてのキスの時の時も、抱きしめあった日もどんな時でも純一は笑っていた。でも担架で運ばれる純一は苦痛の表情を浮かべていた。


「祐希、、、ごめん。私これ以上ここにいられない。病院調べて純一のそばにいたい」


「わかった。でもその涙はふいちゃいなよ」


「うん」


試合の結果はと言うと4-3でベリーベリー学院の勝利となった。百合山ナインは涙1つ流さずにそこにいるはずだった背番号11の容態を心配して一目散に監督に詰め寄っていたらしい。



病院を探す時間はそんなにかからなかった。RINEでゆかりが教えてくれたからだ。私は一目散に駆け出した。



病院に付くと手術室の前でゆかりが目を真っ赤にして待っているのが見えた。


私は何て声をかけていいかわからずにゆかりの横に座った。


沈黙を嫌ったのか初めに口を開いたのはゆかりだった。


「純一君、まだ意識が戻らないみたい。医者が言うには今夜が山だって。今夜中に意識戻らなければ最悪植物状態になる可能性もあるって、、、ねぇ静、私人生で初めて泣いたよ。好きな人が傷つくのがこんなに辛いことだなんて知らなかった」


「私もだよ。スタンドでずっと泣いてた。でも泣いてるだけじゃ意味無いと思ってここに来たの。純一は絶対に目を覚ますよ。なんたって私があんだけ調教して痛みにはなれてるはずなんだから」


軽い冗談を交えて話さないと私のメンタル的にしんどかった。今夜が山だって聞いた瞬間意識が遠のいてまた泣きそうになった。でも今は泣いてる場合じゃない。純一を信じてここで待つだけ。



それから何時間待っただろうか。私とゆかりはずっと手術室の前で待ち続けた。その間に百合山高校の野球部全員が来て、それから相手校の人が謝りに来て、、、


気付けば私とゆかりは精神的疲労もあり寝てしまった。

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