抽選会とデート前夜
日にちは進んで今日は午後から夏の大会の抽選会の日だ。各高校この大会の為に頑張ってきたと言っても過言ではない。
俺たちは授業が終わると野球部全員で2駅離れた抽選会場へと向かった。
「ついにこの時が来たな、、、」
キャプテンで背番号7の高橋さんが緊張した顔で言う。
俺達も緊張のせいか抽選会場まで誰一人として喋らなかった。
『ただいまより第87回神奈川県大会の抽選会を開催致します。各高校の代表選手は壇上までお願いします。まずは1~50番の札をお持ちの高校の方宜しくお願いします。』
神奈川は高校の数も多く300校近くあるので何回かにわけて抽選をする。俺達百合山高校はシード権を持っているので最後の組の抽選だ。
どんどん組み合わせが決まっていき場内にどよめきが生まれていた。そしてついに俺達百合山高校の抽選が始まった。
「出来ればdに入りたいな、強豪校0だぜ周り」
横の席のタカが小声で話しかけてきた。
「お前言うなや、俺も思ってたけど口に出したらやな予感しかしないよ」
「へへ、わりー」
『私立相模原大学付属高校dシード』
「ほらみろ。よりにもよって去年の準優勝校が楽なルート行っちまったじゃねーかよ」
「ちぇー、お、高橋さんが引くぜ」
俺達は高橋さんの引いたくじをじっと見つめた。
『神奈川県立百合山高校aシード』
「まじかよ、、、」
「高橋やっちまったな」
部員達から悲鳴が上がっていた。aシードの前の1.2.3回戦で上がってくるチームが8割型分かっていたからだ。去年の夏の覇者の聖ベリーベリー学園。最近出来た新設校だが各地から選手を引き抜いてたったの創立2年で甲子園と出場し優勝したチームだ。しかも去年主力だった2年が3年になって隙が無いチームに出来上がってるという記事を見た。
「別に負けたわけじゃないじゃないですか。それにいきなり決勝やれるみたいで良くないですか?自分はそう思います」
「純一言うじゃねーか、そーだなやってやろーぜ」
俺の一言でチームがまとまったらしくちょっと照れくさくなった。しかしまとまっただけでは勝てないのが高校野球。実力はもちろんのこと運もなければ甲子園には行けない。
『全高校がくじを引き終わりましたので抽選会を終了します。起立、礼。それでは各高校退場して下さい』
俺達はアナウンスに従って外へと出た。
「すまん!まさか初戦でベリーベリーと当たるなんて、、、」
「何言ってんだよ高橋、初戦からやれるなんてラッキーだろ。事実上の決勝みたいなもんだろ?諦めてどーするよ絶対勝つぞ」
「お、おう!みんなごめん暗いこと言って!じゃあ学校戻って練習すんぞ!」
一同「おぉ!!」
学校へと戻った俺達はいつも以上に集中して練習へと取り組んだ。試合を想定したケースノックを中心にやってこの日は練習を終えた。
「じゃあ明日は大会前の最後の休みになるから皆ゆっくり休むように!解散!お疲れ!」
一同「お疲れ様でした!」
「はぁ、疲れた、、、それにしてもベリーベリーか。俺の球で抑えられるのかな。そもそも出番あるかわからんけど、、、」
「いーやお前に出てもらわなきゃ困るよ」
「ん?タカなんで?」
「去年のデータ見てたんだけど各打者皆直球にめちゃくちゃ強いんだよ。だから相川のストレートが下手したら打ちごろの可能性まであるんだよ。正直緩急使える薫ちゃん使った方がいいレベルまである。見てみ?ストレートに対するデータまとめたものゆかりさんから貰ったから」
ゆかりさんデータとかもまとめてほんとにすごいな、、、
タカから渡された各打者のデータを見るとまず打率がやばい。1番は打率356の出塁率が5割を超えていた。クリーンナップの3.4.5は全員4割近くのアベレージを持っていて去年の甲子園では各打者2桁ホームランを打っている化物揃いだ。えっと、ストレート、変化球に対する打率はこれか、、、
「マジ、、、?」
「残念ながらマジだよ」
なんとストレートだけの打率なら5割を超えていた。相川のMAXの球速は確か151キロ。それでも抑えられるか心配なレベルだ。変化球はお世辞にも曲がるとは言えないし緩急使えるチェンジアップもコントロールに不安があり大事な場面では使いたくない。対する俺はMAX143の変化球はスライダーにフォークにチェンジアップ。緩急ならそれなりに扱える。後は薫ちゃんだけどいくら変則的なサイドスローとは言え球速に難あり。もしかしたら低速になれてなければ十分通用するはず。
「こりゃ相川に試合までにチェンジアップ完成させてもらえないと困るな。館山さん!ちょっといいですか?」
タカが近くにいた今夏の大会のスタメンマスクを被る予定の館山さんに声をかける。
「ん?どうしたタカ?」
「館山さんもデータ見ましたよね?ベリーベリーの直球に対するデータ」
「あー見たよ。あれはやべーよ。正直先発は薫ちゃんか純一の方がいいかと思ってるぐらいにね」
「やっぱりそう思いますよね、、、なんとか相川にチェンジアップ完成させるように言ってもらえませんか?」
「了解!」
「ありがとうございます!」
なんとか館山さんには伝えたもののそれを相川がすんなり聞き入れるかどうかが問題だな、、、
「まぁ帰ろーぜ。今から慌てても仕方ねーよ」
「そーだな」
俺とタカは不安が残る中帰宅した。
「ただいま」
「あ、やっと帰ってきた!ちょっと大変なのよ!純一も早く電話出て!お母さんから!」
「え、おう」
すごい慌てぶりで俺に電話を急かす静。何かあったのか?
『もしもし?』
『あ、純一君?久しぶり!静とは仲良くやれてる?』
電話の相手は静のお母さんの静流さんだった。
『お久しぶりです。仲良くやらせてもらってますよ。どうしたんです突然?帰国は明後日のはずですよね?』
『いやぁそれがね、もう少し帰れないかもっていう連絡なのよ、、、』
『ちなみに理由はなんです?』
『純平さんが海外で起業してみたいって言い出してね、それで天谷、北原で協力してやってみようって話になったの。純一君には悪い話じゃないと思うよ?せっかく静と付き合えたのに私達いたんじゃやることやれないんじゃない?』
純平さんとは俺の父親である。あのバカ親父今度は起業とかマジか。後半部分のやることやれないのとこは笑いながら話していた。この母あって菜華ちゃんありだなってつくづく思う。ってかなんで付き合ったこと知ってんだ?
『あ、菜華から聞いたよ貴方達が付き合い始めたって言うのは、あ?物理的に突き合うのはまだみたいだけど』
俺は話を無視して切り返す。
『海外にしばらく残ること了解しました。両親に宜しくお願いします』
これ以上いじられるのもあれなのでそこで素早く電話を切った。
「聞いた?」
「うん、何故か俺達が付き合い始めた事も知ってたよ静流さん」
「マジで!?菜華また余計なこと言って、、、ってかあれだね、マジで同棲見たくなるねしばらく帰ってこなくなるってなると」
そんな恥ずかしい感じで言わないでくれよ、俺だって意識してないわけじゃないんだから、、、
「まぁ、そーだね、まぁ俺達は俺達のペースで、ね?明日の予定建てようよ。せっかく静が誘ってくれたんだし」
「うん、予定って言っても遊園地の開園に間に合わせるだけだし7:30ぐらいに起きて各自準備して9時に家出る形でいいんじゃない?」
「そーしよっか」
「え!?なにそれ私聞いてない!」
「あんたは留守番してなさいな、後つけてきたら、わかってるよね菜華?」
「はい、ちゃんと留守番しときます!」
得意の睨みが決まって菜華ちゃんをコントロールすることに成功したようだった。でも菜華ちゃんだしなぁ、、、
「それじゃ私達はもう寝ちゃうから、また明日ね。寝坊すんじゃないわよ」
「おやすみ、流石に大切な日に寝坊しねーよ」
俺は明日が楽しみすぎてなんだかんだ深夜2時ぐらいまでそわそわしてて寝付けなかった、、、
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静side
ついに明日は初デート?でいいんだよね。付き合う前も何度か2人で出かけたことはあったけど恋人同士で出かけるのは初めてだもん。あー何着てけばいいんだろ。普段通りだとインパクト弱いし見慣れられてるから可愛いって言ってくれないよねきっと、、、どーせなら可愛いとか言われたい、、って何考えてるんだろ私らしくもない!ちゃっちゃと決めて寝なきゃなのに、、、あんまり頼りたくないけど、、、
「菜華!ちょっといい?」
「どうしたのおねぇ?」
「私をコーディネートしてくれない?」
「えぇ、、、じゃあはい」
菜華は私に向けて金よこせの仕草をしてきた。
この子はほんとに、、、今は出し惜しみしてる場合じゃないよねだけど、、、菜華は将来デザイン関係の仕事につきたいらしくておしゃれとかは毎回勉強してるから私よりは間違いなく服選びのセンスはいい。
「いくらよ、、、」
「姉妹割で2000円でいいよ、それにしてもじゅんにぃと出かけるのに服悩んでるおねぇ見るの新鮮で面白いよ」
「わかったわよ、はい2000円。もう、からかわないでよ私だってあいつ相手に悩む時が来るなんて思っても見なかったわよ」
「確かに受け取りました。仕事だと思って責任持ってコーディネートさせてもらいます!」
「頼んだわよ」
こうして私は妹によって明日の服を決めた。すぐ寝ようとしたのだが明日が待ち遠しくて夜遅くまで眠れなかった、、、




