表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/53

疑惑

すみません遅くなりました。

純一はこの日の授業を何事なく終え部室にタカと向かっていた。


「なぁ?春の大会から背番号の変更あると思うか?」


「無いでしょ、変える要素がないもん」


「だよなぁ、まぁ気楽でいいや」


部室までの道をタカと歩いているとゆかりさんにあった。


「「おはようございます」」


タカと俺は揃って先輩のゆかりさんに挨拶をする。


「おはよー小久保君、純一君。もうそろ先生来ると思うから待機してて。後今日は練習ないってさ」


「え、ないんですか?」


「なんだかサッカー部が明日試合だから1面使わせてって頭下げてきたらしいよ。だから自主練にするみたい」


「了解です」



「うん、じゃあ後でね」


「はぁ、なんか無駄に緊張したわ、、、」


「なんでタカが緊張すんだよ普通俺だろ」


「まぁそうだけどなんか起こる気がしてならんかった」


「流石にゆかりさんも懲りたんだろ」


「だといいけどね」



俺達は部室に着いた。


「「おはようございます」」


「おーおはよ、そういや練習なくなったって聞いたか?」


「はい、そこでゆかりさんに会って聞きました」


「ならいいんだ、じゃあ先生来るまで各自待機で」


「はい」


それから5分もするとゆかりさんと一緒に野村先生が現れた。


「おはようございます!」


部員「おはようございます!!」


キャプテンの高橋先輩に続いて俺達は監督に頭を下げた。


「おう、おはよ。それじゃ早速だが夏の県大会のベンチ入りメンバーを発表させてもらう。ベンチ入り出来ないメンバーももちろん出てくるがスタンドから全力で応援してやってくれ。頼んだぞ」


部員メンバー全員が緊張した顔つきに変わる。それはそうだ、この夏のために百合山高校野球部は練習に練習を重ねてきた。部員総数は35人と少ないが公立ながらそれなりの実力は持っていると自負している。春の大会ではベスト4という大きな結果を出すことも出来た。ちなみに学年分けは3年生5人、2年生19人、1年生11人となる。


「じゃあまず背番号1、相川勇太」


「はい」


パチパチパチと拍手が湧く。百合山高校では背番号を貰った選手を賞賛、鼓舞する意味でこの行いをする。


ギロっと俺の方を相川が睨みつけてきた。まだゆかりさんの事根に持ってんのかよあいつしつけーな。ったくめんどくさいぜほんと。


「じゃあ次、背番号2番館山」


「え、は、はい!」


部内がザワついたのが空気で伝わってきた。それもそうだ、1年の秋の大会からずっとクリーンナップでスタメンはってきていきなりこれはおかしい。何故こんなことになってるかなんてすぐに分かる。エースの相川勇太だ。自分と合わない捕手を絶対に使わないという理不尽極まりない事を平気でこの男はやってのける。


「次、背番号3 小久保」


「はい」


おいおいタカをファーストで使うつもりかよこいつ。正直先輩とは言え館山さんは貧打だ。打率も公式戦だと0.180しかないし正直期待出来ない。その点タカは0.410と高いアベレージを持っている。そしてファーストのスタメンだった3年生の畠山さんは0.238と打率は低いながら春の大会では5本のHRを打っている。そんなに相川だけが大事なのかよ。


そして9番まで順当に名前が呼ばれ次から控えの枠の番号が発表される。


「背番号10畠山」


「はい」


次だ。高校野球では基本的に11番に2番手のピッチャーを入れる。来年こそは1を1つ消してやるからな。


「背番号11林」


「はい」


あれぇ???

思わず力が抜けてしまった。てっきり春と同じ背番号だと思ったのに、、、



それから12~19まで純一の名前が上がることはなかった。



純一に聞こえるぐらいに部内の雰囲気は危うかった。俺の事をいつも面倒を見てくれた高橋キャプテンは大丈夫だよとけつを叩いてくれて励ましてくれた、、、そうだよな、、、まさか選ばれないなんてことは、、、



「じゃあ次でラストになる、背番号20大和」


「え?天谷さんじゃ、、、?」


「俺は大和と言ったんだぞ、早く受け取りに来い」


「は、はい、、、」


後輩の大和が申し訳なさそうな顔をして背番号を貰う姿が後ろからも見てわかった。



そして、、、



「ふざけんなよ!!!なんで純一の背番号ねーんだよ!頭湧いてんじゃねーのか!?」


「タカ落ち着けって」


タカの罵声を同級生の清水が宥める。


「そうですよ!監督こんなのおかしいです。俺ら3年は負けたら終わりなんですよ?それなのに2番手エースの天谷入れないとか考えられません!理由を納得のできるように教えてもらえないなら自分も背番号なんていりません」


高橋キャプテンもタカに続く。



「監督宜しいでしょうか?自分は相川には実力は落ちますが林に劣っているとは思いませんし春の大会では無失点です。流石に背番号貰えないのは納得いきません」


「そーっすよ!天谷無しで大会勝ち上がるとか無理に決まってます!」


他の部員からも抗議の声が上がった。

みんな、、、ありがとう。


「そんなに理由が知りたいかお前ら」



「はい、教えてもらえるまでここを動く気はありません」


「ほんとは公にしたくなかったんだけどな。ご近所さんからな、うちの学校の生徒が喫煙してるって通報が入ってな、写真まできっちり取られてるんだよ。これが誰だかわかるよな?」



そこには制服姿のままタバコを吸う俺の姿があった。





は?タバコ?全く身に覚えがない。



「監督、自分じゃないです、タバコなんて吸ったことないっす」



「そーっすよ、俺基本的に天谷と学校の行き帰り一緒ですしこいつがそんなことしたとこ見たことないっすよ」



タカが俺の言葉に続く。



「じゃあこの写真はなんなんだよ!てめぇのちょっとした軽い気持ちのせいで部員全員が大会出れなくなるとこだったんだぞわかってんのかよ!」


「だから自分じゃないって言ってるじゃないですか!今時写真なんていくらでも加工出来るやないすか」


「おい小久保」


突然相川勇太がタカに周りの人にも聞こえるような声で話し始めた。


「ん?なんだよ今話してる場合じゃないだろ」


「お前は一緒に帰ったりしてるとか言ってたよな?でもここ3日はどーだ?違うだろ?庇ってやりたい気持ちは俺もわかるけどさ、この事実受け止めてやってくしかねーんじゃねーの?」



あーわかった。全部相川が仕組んだことだろこれ。普段1回でもあんな風に優しく喋ったことがあったか?答えは否。どれだけ自己中心的なやつなんだよ、、、



「お前ふざけんなよ!!さては仕組んだのてめぇだな!?普段は他人の話に興味を示さねーくせに今だけいきなり出てきやがって!」



タカは激昂して相川に詰め寄っていた。流石にこれ以上はまずい、そう感じた俺は



「おいタカやめろ!お前までこのゴミのせいで試合出れなくなるぞ!」


「は?誰がゴミだって?」


「てめぇだよ自己中糞野郎、証拠見つけて絶対背番号貰ってやるからな」


「勝手に言ってろ、証拠ある以上なにもかわらねーよ」



「あの!監督いいですか!?」



「ん?どうした林」


「僕の11番、今は保留にしてもらえませんか?正直自分の球じゃ神浜とかの打線抑えられる気がしませんし無実の罪着せられてる可能性も無くはないと思います。天谷さんが言うように今なんて加工とか出来ますしちゃんと証拠があってからでも遅くはないと思うんです。逆にやってない証拠があればいいんですよね?」


「ま、まぁそうだが。とにかく俺は会議があるから後は勝手に解散してくれ」


あんたはそれでいいのかよ監督。相川さえいればそれでよしじゃねーだろ。


「天谷さん!自分も全力で協力しますので先生に無実ってこと証明しましょうね!」


目をキラキラさせてぴょんぴょん跳ねる林はなんか尻尾を振って喜ぶ犬を連想してしまった、、、林薫。中性的な顔立ちで女子からの人気も高い。後、男子からもマジで告白されたことが何度かあるとか、、、まぁ確かに一見女の子に見えないこともないけどさ。いや別に林の着替え見た時とかにドキドキはしたりしてないからね?


って誰に何を説明してんだ俺ゎ、、、



「おう、でもいいのか?俺が出なかったら薫ちゃん試合出れるんだよ?」


「天谷さんの投球に憧れて入学した僕にそれを言うのは失礼だと思うんですよ」


ぷくっと頬を膨らませて抗議する林。え?なんだって?俺に憧れて入学?


「ちょっと待って何それ初めて聞いたんだけど」



「去年の秋の大会あったじゃないですか相川さんが調子悪くて打たれた試合、6回ノーアウト満塁をたった5球で打ち取ってそのまま9回までパーフェクトリリーフはほんとかっこよかったです、自分もあんな風に投げれたらって思ってここに入学したんですよ」


笑いながら話す林、ってか面と向かって言われるとめちゃくちゃ恥ずかしいな。



俺は林の髪をくしゃくしゃにしてちょっと照れを隠した。


「ったくほんとありがとな、今度メシおごってやるよ。取り敢えず今日のとこは大人しく帰って明日からやろう。タカのフォローも入れてやりたいしさ。あいつも今回の被害者だからな」


「ほんとですか!?やったー!了解です!じゃあまた明日連絡しますね!あ、これ自分のRINEのidなんで登録したら連絡くださいね!」


「はいよ、じゃあお疲れ」


「お疲れ様です!」



まだ部室には数多くの部員が残っていた。

各自今回の背番号に納得のいってるものいってないものがすぐに分かった。俺も取り敢えずタカと畠山先輩と話したい。絶対納得してないしな。実力世界でこんなことされたんじゃたまったもんじゃない。



「純一君」


部室に戻ろうとしたら後から声をかけられた。

返事をしようとしたら遮られてそのまま声の主が続ける。


「あなたってホモだったの?」


「はい?」


振り向いた先にいた声の主はゆかりさんだった。


「そりゃこんな可愛い私振るわけだよねあーあ静ちゃんもホモって知ったら悲しむだろうなぁ」


「俺はホモじゃないですよ、、、ってかキャラ変わってますけどゆかりさん」



「別に純一君は私の裏知ってるわけだし何も遠慮することないじゃない、まぁそんな話はいいとしてホモなの?」


「だから違いますって、ちゃんと女の子が好きですよ、、、」


「ふーん、じゃあお詫びに私の胸もう1回触る?」


「触りません」


「ふふ、高判断ね。まぁそんな話はどうでもいいから本題に入るわね」


ホモかどうかが本題じゃなかったんかい、、、


「本題とは?」



「さっきの写真よ、あれホントなの?」


疑いの目を向けたゆかりさんが問いかけてくる。


「そんなわけないじゃないですか、喫煙なんてしたことありませんよ」


ゆかりさんははぁ、と一息つくと、

「まぁそんなことだろうと思ったけど。ってことは相川か」


「ゆかりさんもそう思います?」


「いや、普通に考えてうちの部で純一君の事敵対してあんな偽装した写真なんて馬鹿みたいなの考えるのあいつしかいないでしょ。ほんとキモい」


なんつーかこっちのゆかりさん普段とのギャップがすごすぎるよ、、、


「やっぱりそう思いますよね、、、だからなんとかして無実証明したいんですが」


「正直難しいと思う、あの元の写真が見つかるとかじゃなければね、まぁ私も手伝ってあげる」



「ほんとですか!?ありがとうございます!」



「ええ、もちろんよ。でも私が貢献したら何か1つ言うこと聞いてもらおうかしら」


不敵な笑みを浮かべて話すゆかりさん。なんていうか、ほんと魔女を連想させるよ今のゆかりさんわ。


「別に構いませんけど付き合ってとかは無理ですよ」


「ちぇー、なんだよ別にいいじゃーん、私なら静ちゃんがやってくれないようなことでもやってあげるのにぃ。それにまだどーせ告白もしてないんでしょ?」


「いや、それが小林先生のせいで静に好きな人問い詰められることになって告白しちゃったんすよ」



「それで振られて林君に乗り換えようとしたと」



「まだその話終わってなかったんすか、、、振られてませんよ、付き合うことになりました。あ、この事は二人だけの秘密でお願いします、まだ静に言わないでって言われてるんで」


「なんだぁ付き合っちゃったのか、静ちゃん案外素直になれるもんなんだね、あ、最後の言わないでってやつは無理だね。なんで恋敵の言うこと聞かなきゃいけないのかな、かな?」


「えぇ、俺からの頼みってことでお願いしますよ」


「仕方ないなぁ、じゃあ口止め料貰っとくよ」



ゆかりさんは俺の方に顔を近付けると、、、









「ちゅっ」



「ちょっとゆかりさん!?って痛ぁ!?」


ゆかりさんは俺の首筋にキスマークと歯形をつけてにやりとした表情で言った。



「静に純一君は私の所有物だってこと知っといて貰わなくちゃね、じゃあまた何かわかったら連絡するから、それじゃね」


「お疲れ様です、、、」


どうすんだよこの跡!静に見つかったら何言われるかわかったもんじゃない。取り敢えず絆創膏で隠しとこ、、、



頼もしい?仲間と一緒に俺がやってないってことを証明するために動き出した純一だった。














静「ねぇ、メインヒロイン全く出てこないんだけどどういうことなのこれ」


菜華「そーだよメインヒロインの私が出てこないとかどうなってんの!」


純一、静「菜華(ちゃん)はメインヒロインじゃないから!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ