救いの手
「ねぇ聞いた!?ついに3年のゆかりさんが彼氏出来たらしいよ!?」
「え、ほんとに!?相手誰なんだろう!めっちゃ気になる!」
「それがうちのクラスの天谷君らしいの!」
「えーほんと!?天谷君教室戻ってきたら話聞かなきゃ!」
は?断るんじゃなかったのあいつ?
静はイライラしていた。私が最初に聞いてやる。別にあいつが誰と付き合おうが私にはどうでもいい。でも断るって言った手前付き合うのはどうなのさ。早く帰ってこいゴミ虫。帰ってきたら即効で事情聴取してあげるからね。
しかし授業開始のチャイムがなっても純一は姿を見せることは無かった。
あーもうだめだ。何もする気が起きない。信頼してた人から裏切られるってこんな気持ちなんだな、、、それに俺がここまでメンタル弱いとは思わなかったよ、、、あーむり。帰ろ。教室帰った瞬間どうなるかもわかってるし荷物もそのままで帰ってやる。
コンコンコン
「失礼します。野村先生はいらっしゃいますか?」
「どしたーあまやー。なんかようか?」
「すみません体調悪いので早退するので今日の部活休みます。大会前の大切な時期なのに自分の体調管理不足で申し訳ありません。」
「体調悪いならしゃーないな。自分でも理解してるようだし早く治して万全な状態で出てこいよ。」
「すみませんありがとうございます。」
嘘をついてごめんなさいと心の中で詫びて職員室を後にする。次は担任か、、、あぁめんどくせぇ。なんでこうなるんだよほんとに。
目当ての教師は教室の奥にいた。
「小林先生。」
「お、どーしたの天谷君?」
小林未来先生。俺達2-3のクラスの担任で年齢は若く容姿も童顔で生徒から人気がある。
「すみません体調悪いんで早退させてもらってもいいですか?」
「熱あるようには見えないけどなぁ、もしかしてゆかりちゃん絡み?」
「いや違います。ほんとに頭痛が酷くて、」
出来るだけ動揺がないように答えたつもりではあった。しかし、
「やっぱりそーかー。先生の目をごまかそうとしないの。2年も担任やってんだからわかるに決まってんでしょ」
「ごめんなさい。でも本当に今日だけは勘弁してもらえませんか、、、」
「付き合えてルンルン希望で私にイヤミ報告しに来たのかと思ったのにねぇ、、、まぁいいわ、でもこれっきりだからね!何があったかは聞かないけど本当に困った時相談しに来なさい、それは約束してね」
「ありがとうございます、失礼します」
あの真面目な天谷君がねぇ、、高町ゆかりさん、ね。少し調べてみようかしら。
「ただいまー、、、」
なんか1人っていうのがこんなに寂しいものだっけってなってるわ、、、
早く菜華ちゃん帰ってこないかな、、
静は、、、帰ってきたら質問責めだろうな、どうしようほんと、もういいや寝よ。
そう言ってベッドに潜ると5分も立たず寝た純一だった。
「純一!どういうことが説明しなさいよ!扉開けなさい!」
「おねぇやめなよ!じゅんにぃにだって話したくないことだってあるかもしれないじゃん!」
「菜華はだまってて別に誰かと付き合おうがどうでもいいの!でも私達だますことないじゃない!」
あー帰ってきてたのか、、、今何時だ?
げ、もう9時かよ、、、
取り敢えず話に行くか、、、
「なんでそんな事言うの!おねぇのばか!!」
「菜華ちゃん」
「じゅんにぃ、、、」
菜華ちゃんは泣きそうな顔をしてた。多分この時間までずっと言い争いをしてたんだと思う。本当にごめんね、、、
「純一、出てきたってことはそういうことだよね」
「うん、菜華ちゃんも来て、全部話すから」
俺は2人に今日あったことを全部話した。胸を触ってるのを写メられたこと。あの性格が偽りだったこと。仕方なく付き合うことになったこと。
「菜華ごめん、私が間違ってたみたい」
「ううん、私も強く言いすぎたよごめんねおねぇ」
姉妹仲は戻ったみたいだった。よかった、、、俺のせいで2人が仲違いとかにでもなったら最悪だった。
「んで純一はどーすんの?あのゴミこのままにはしとかないんでしょ?」
「ゴミっていうなよ、、、取り敢えず大会終わるまでは何もしない。仮に大会前に行動起こして部に亀裂入るようなことあったらおしまいだからね、先輩達勝たせてあげたいんだよ」
「私は先輩だろうが先生だろうがゴミはゴミよ、まぁ純一らしいね、わかった。私も大会終わるまでは普通にしとく、でもね?純一が怒ってる以上に私も菜華も怒ってるのはわかってね。今日は休みな、ごめんね起こして。おやすみ」
「え、あ、おやすみ静」
待って、あんな優しい静初めて見たかもしかも最後の優しい言葉のおやすみずるすぎるだろ、録音して家宝にしたいレベル、やばい今の顔絶対見せられない100%ニヤニヤしてるよ俺、
「あああああなんだよ今の反則だろ!!」
布団にくるまってゴロゴロ転がる純一君。うん、気持ち悪いよ、、、
「じゅんにぃ私いること忘れてない、、、?」
「、、、、、見なかったことにしてもらえませんかね?」
「残念でしたー全部見ましたー、それと」
そうニッコリ笑う菜華ちゃん
「それと、、、?」
『あああああなんだよ今の反則だろ!!』
録画されていた、、、気持ち悪くベッドをごろごろする高校生の姿がそこにあった。
「マジで静には言わないで下さいお願いします」
「わかってるよぉ、でも私もビックリだよおねぇがあんな態度とるなんて」
「でしょ?好きな人からあんな態度取られたら無理よ無理」
「もうこれ以上喋らないで私が恥ずかしいから」
そう言って頬を赤く染める菜華ちゃん。
「ごめんごめん、じゃあ夜も遅いから寝なよ、おやすみ」
「うん、おやすみ」
こうして北原姉妹に元気をもらった純一は少しだけ元気が出た。




