始まり
「ラスト1球!!声出してけ天谷!!!」
グラウンドに我が高の野球部監督の野村謙二監督の野太い声が響き渡る。夏の地区予選を間近に迎えているから監督、部員共に気合が違う。
「よっしゃぁ!ラストお願いします!!!」
今声を出しているのはヘタレの天谷純一。私(北原静)とは小学生からの幼馴染でずっと野球をやっているのは知っているけど毎回補欠補欠で楽しいのかなって私は思う。百合山高校は神奈川県じゃ毎回優勝候補までは名前はあがるのだがここ数年は準決勝までも行けていない、らしい。
「静!さっきからぼーっとしてどーしたの!休憩終わってるよ!」
「あーごめん!今戻る!」
私北原静はバスケ部のエースという扱いらしい。2年生なのにエースは先輩方にもあまりいい思いはされないと思っているんだけどそうでもないらしい。要は勝てれば誰がエースだろうがキャプテンだろうがなんでもいいってことみたい。
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「純一!帰りコンビニよってこーぜ!」
「おーう。たかのおごりでいいの?」
「ふざけんな笑お前が相川からエースナンバー奪い取ったらなんでも奢ってやるよ!」
「一生無理やんけそれ笑 奢る気ないやんけ」
今話をしているのは幼馴染の小久保隆俊。小学生から同じ野球チームで野球をしてずっとバッテリーを組んできた。
「そんなことよりお前静ちゃんにはいつこくんだよー。もう9年も片思いなんだろー。」
「負けがわかってる試合ほど面白くないものはないって。この話はやめよーぜ。それじゃあまた明日ね。」
「静ちゃんはもしかしたらお前のこと好きかもしんねーだろーじゃあまた明日な。」
たかが言ってた通り僕は幼馴染の北原静の事が好きだ。きっかけは些細なことだった。小学生1年生の時僕はいじめられていた。その時いじめを助けてくれたのが静だった。それ以来静の事を見る度にドキドキしたり野球に集中出来なくなったりもした。でも静が僕をどんな風に思ってるかと言ったら多分自分の犬だろう。口を開けばこれ買ってきてだとか暴言。でもそれは僕が少し嬉しかったりする。他の人には優しい静だけど僕に対してだけは素で接してくれてるんだなって思えばプラスに考えられる。それをたかに言ったらガチなドMになってるね。って言われました。ひどい。