同族
長くなってすいません・・・。
裕也は事の有様を整理する。
目の前にいるのは以前戦ったことのある「ゴブリン」である。その相手をしているのは裕也が探していた同族「スライム」であった。
おそらく、辺りの所々濡れているのはゴブリンに倒されたスライムの跡だろう。
(あのゴブリン…この前のゴブリンよりも強そう…じゃなくて、助けないと!)
裕也は勇気を振り絞り、ゴブリンに向かって体当たりをかます。
「ゴギャ!?」
ゴブリンは予想外の襲撃に避ける事もできず、腰に盛大な攻撃を受け倒れてしまった。
裕也はゴブリンが怯んだ隙に同族の元へと向かった。
(ナ、カマ…?)
同族と会話できることに驚くが
(君、大丈夫?早く逃げないと!)
(アイツ…ハヤイ…ニゲレナイ…。)
(じゃあ少し離れてて、どうにかするから。)
(ムリ、アイツ、キテル…。)
(え?)
裕也が振り向き見えたものは、邪悪な笑みを浮かべたゴブリンであった。
ゴブリンは得物を振り下ろしてくるが、何とか横にずれ避ける。
攻撃後のゴブリンに渾身を込めた体当たりをする。が、所詮スライム。ゴブリンは体勢を立て直し、すかさず避ける。
(やっぱりこの前のゴブリンよりも強い…。)
何度も攻撃を試みるが、以前のゴブリンに比べ素早い様だ。
(どうすれば…って、え?)
後ろを見てみると、同族は草花を咀嚼していた。
(こんな時に何やってるのさ…。)
呆れていた祐也だが、敵は待ってはくれない。ゴブリンは得物で薙いできた。
(いったぁ!)
しょうも無いことで一撃を受けてしまったが…。
(あれ?そんなに強くない?)
どうやらこのゴブリン、早いようだが攻撃力は低いようだ。
(なら…ちょっと痛いけど)
互いに距離をとり、ゴブリンは得物を振り回しながら走ってきた。
裕也はその間全身に力を込め、ゴブリンが後一歩と言う所で怪我を省みず体当たりをかました。
「ごぎゃ!?」
ゴブリンの下腹部に直撃し、ゴブリンは悶えていた。
(うっ、やな感触…。でも効いてるみたい。)
裕也は次の手を考える。
(さっきの所を何度もやるのは気が引けるけど…。やるしかないよね…。でも…)
ゴブリンは涙目になりながらもどうにか立とうとしていた。
(どうにか僕以外に気を引かせれば…。)
いい手はないかと思考を張り巡らす最中。
(オレ…スキ…ツクル…トドメ…タノム…)
(もう大丈夫なの?)
(クサ…クッタ…キズ…ナオッタ…)
(そっか…じゃあ悪いけど頼むね。)
(マカセロ…)
目の前の事を収めるべく、ゴブリンの元へと向かった。
足が震えているが闘志は失ってはいないようだ。そのゴブリンは何かを言っている。
「オα×、ツΣイスθイε、ア◎◇イ」
ゴブリンは隙あれど手を休めず武器を振り回す。今できることは只、避けるのみ。
右から迫る攻撃を屈んでは避け、上から縦に迫る攻撃を前進し避けながら一撃を食らわす。左から迫る攻撃を一歩下がる事で回避した。
暫く続けているうちに
「ごぎゃ!!」
気を伺っていた同族がゴブリンの背中に向けて体当たりをかました。
「オαx、ジ$*ダ…!!」
邪魔するなとばかりに同族へと標的を変えた。しかし、他のスライムより強いのか、ゴブリンの攻撃をギリギリの所で避けている。
祐也は攻撃を緩め、力を溜め始めた。
やがて祐也を忘れて同族へと狙いを絞ってがら空きの背をこちらへ向けた。
(イマ、ヤレ!)
同族の言葉を聞き、すかさずゴブリンへと体当たりをかます。
「ゴギャァァ!!」
ゴブリンは勢いよく倒れ悶えていたが、やがて静かになり動きを止めた。
(た…倒した。倒したんだ!!)
祐也が喜んでいる最中。
(ニク…クウ…)
同族はゴブリンに近づき、そして食していた。
(えぇ…君、食べてばっかじゃん…。)
(ゼンブ…クウ…?)
(いや、ちょっとでいいよ…。他は食べていいよ。)
(!!オマエ、イイヤツ!)
(あまり食べくないなぁ…)
そう思いながらも祐也の体は食していた。慣れてきたものである。
(…やっぱり)
ゴブリンを食した時、体が軽く感じていた。少しばかり身体能力が上がっているようだ。
(きっとこうやって食べていけば強くなれるのかな?あまり食べたくないけど…)
(ドウシタ?オマエ…ヘン)
(な、何でもないよ!所でさ、君はこれから何処へ行くの?)
(ワカラナイ…ナカマ…シンダ)
(そっか…)
(あのさ、よかったら一緒にいかない?)
(ン、オマエツヨイ、ツイテク。)
(ホント?!ありがとう!これからよろしくね♪)
祐也は生き残ったスライムと共に旅へ出る…。
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宇津木 祐也
種族 :スライム
種族固有スキル:細胞変化、腐食、捕食、擬態
技能スキル:短剣技(極小)
補助スキル:嗅覚(極小)、力上昇(微小)、脚力(極小)
言語スキル:地球言語、粘体族言語、緑皮族言語(微小)
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何か…異世界復刻の図鑑を書くかも知れないです。
後、別の話も投稿するかもです。不定期ですが。