強者の兎狩り
この小説には、理不尽を体現する化身と、ロマン武器などが含まれます。
苦手な方は花札のルールでも学んでサマー○ォーズ風に回避を。
そうでない方はゆっくりしていってくださいね!
断裂した空間に身を踊らせ、白黒の世界を降下する。
目的の場所へ繋がる場所に歪を作ってそこへ飛び込んで引き裂く。
空間を割って辺りを見渡すと、
真ん丸に整形されていた池が壊れて水漏れを起こし、
気絶した鎌鼬達と猫妖精が小山になって所々に積み上がっていた。
割った場所を紫の札で修復し、
愛剣を袖口から引き出す。
――来るかな?
「あははははっ!
死んじゃえっ!」
「防符 防人の護。」
兎が物陰から強襲し、
その手に持った双銃から金色の弾丸をばら撒いて私を殺しにかかってくる。
――うーん。これくらいなら四魂の全員集合はしなくていいかな?
反射で張った結界に弾幕がかき消され、勢い余って結界にぶち当たるのを見ながら石材補充の算段を立て始める。
――彫刻し直すのめんどくさいってのに・・・・・・。
片刃の剣を肩にかつぎ、妖力、霊力を流し込んで魔法陣を発動。
桜色の石が輝き、準備ができた事を示す。
「ひとまずは、元凶を殺りますかなっと!
××××術 ×××× 。
死に晒せぇぇえええっ! 」
白色の大玉が振り切られた剣から放たれ、
結界を破壊すると共に一瞬で風間をなぎ払う。
玉の中に封じ込められたのを確認して本殿へ転送。
平凪子さまと祭様がぶち切れてるので生贄となってもらう。
――本殿が吹き飛ぶよりはまともな被害に出来そうだな・・・。
転移中に本殿を覗いたのだが、
キジトラ柄の猫が震え上がっているのが見えた。
今現在少し地面が揺れているのもそれのせいだと考えると、生贄はやっぱり必要だった。
「よそみしてたら殺しちゃうよんっ!
銃符 とりがーハッピィ! 」
思考に集中し過ぎて少し無防備になったところで夢殿のスペルが命中し、少し後ずさる。
反射的に殺しそうになったが踏みとどまり、元に戻す方法を脳内で検索。
下ごしらえを開始する。
「剣符 力を折りとる者っ!」
剣に仕込んだ二つ目の魔法陣を発動し、
この剣の特徴的な場所である矢印のたくさんくっついたような峰を兎へ向ける。
魔法陣により桜色の燐光を放つそれを振り切り、
嵐の様に吹き荒れている弾幕を全て破砕する。
「きゃははっ!つよいつよーい!
双銃 ダブルフルバースト!
消え去っちゃえっ♪」
兎塚は満面の笑顔で2本の光の柱を放つ。
途中に立っていた石柱が蒸発した辺り、
殆どの力を使って打ったらしい。
当たれば体の頑丈な妖獣だったとしてもほぼ確実に死に至るだろう。
――流石にこれは打ち消せないな・・・。
「ここまで壊されたら修繕費報告を見るのがもはや恐怖でしか無くなってきたね・・・・・・。
・・・ま、これで沈めるっきゃないでしょ!
千武 千本並木桜!」
尻尾に巻き付けた刀から鎌鼬を飛ばし、光を少しづつ切り落として霧散させる。
「これで、終わりだ。
帰ってこい、玉兎。
ニギが布団を敷いて待っている。
どうせ、また気を失って帰ってくるんだろってな。」
桜色に光った約四尺の鋼が腹部を強打し、
金色の光が玉兎から弾け飛ぶ。
気持ちの悪い気配が霧散して二つに別れていた銃が元に戻る。
――終わった・・・な。
寝息を立て始めた眠姫を肩にかつぎなおし、
アーサーをたたき起こす。
「ここの後処理、よろしくね♪」
「は!?」
呆然としているのをスルーして紫の札で我が家へ転移する。
――刀の修復終わったら私も風間をしばきに行こうかな。
ズタボロになった名刀たちを眺め、
そんなことを考えた。




