東方火霊殿の語り前編
この小説には
ドヤ顔幼女や片付けを完全に部下に任せた外道などが含まれます。
苦手な方はローリングサンダー!とでも決めポーズしながら叫んで回避を。
そうでない方は楽な体制をしてゆっくりしていってくださいね!
「連絡ミス?」
疑問に思ったことをそのままぶつける。
「ああ、
何て名前になるのかはしらないけど
私達の異変は同時に二箇所で起こっていたんだ。
こちら側が陥落したらこいつらのほうも自重させるつもりだったんだけど・・・。」
いつの間にか抱き抱えていたランタンの頭をぐしゃぐしゃと撫でながら言っていると、
ウィスプが続きを話し始める。
「旧友との宴会が楽しくてわすれてたのよね?
しゅ・じ・ん・?」
「・・・・・・その件は済まなかったと何度も・・・。
まぁ、そういう訳で地上に影響が出るまで忘れてたってわけだ。」
「地上・・・ってことは
もう一つの異変のあったのは・・・。」
「「「地底だ。」よ!」」
桜と姉妹の声が揃い、
姉妹の炎の揺らめきが大きくなる。
「じゃあ、
異変の内容へと移ろうか。
・・・・・・君は、地縛霊ってものを知っているかい?」
いきなり話題が変わったけれど、
これも重要な事なのだろうとひとまず答える。
「少しは知って・・・います。
死んだ時に強い後悔があって特定の場所に取り付いた霊・・・であっていますよね?」
相手は専門職だし合っているか心配だったので少し語尾とかが小さく生ってしまう。
その様子を見て姉妹がクスクスと意地悪げに笑う。
「ああ。
そして、今回の異変は現実世界のもう目的のない地縛霊と浮遊霊を輪廻に戻してやるための儀式が原因だ。」
「輪廻にもどす?
地縛霊は目的を果たしたら成仏するのでは?」
――読んできた物語では目的を果たした地縛霊たちは大抵光になって成仏していたんだけど・・・。
そんな思いを知ってか知らないでか桜は目頭あたりを抑えてやれやれ・・・と頭をふる。
「それはちがうんだよ・・・。
死神から同行する様に言われたのにその時に行かなかった。
それはそれは大き過ぎる罪になるのさ。
死神に支払う渡し賃はいつまでも持ってられる物じゃないし・・・。」
そこで言葉を切り、薄い桃色の髪が入らないように注意し水を口に含む。
「なら・・・どうやって輪廻にもどすのですか?」
「簡単さ。
東方に出てくる旧地獄が一番近いのは何処だと思ってる?」
「それは新地獄ですけど・・・。」
――地底こと、旧地獄は閻魔の居る新地獄から切り離された場所だから近いはずだけど・・・。
底から入れても地獄で苦しむだけになるはず・・・。
「考えていることはもっともだけどさ?」
――あれ?
これは心読まれているのか?
「そこはえーきちゃんの所へぶち込めばいい訳だよ。
無垢な魂を。」
「え?
無垢って言っても地縛霊は無垢では無いはずじゃないのでは?」
確かに無垢な物ならえーき様も裁くわけには行かないだろうけど・・・。
「クスクスッ・・・。
そこは神頼み・・・さ!」
姉妹がどこかから取り出した何かを机の上にに叩きつけるように置く。
「杓子に十字架・・・?」
姉は銀で作られた趣味の悪い杓子を。
妹は金でできた刃の無い十字架型の剣を持ってドヤ顔していた。
「あ、
キリストは関係ないよ?」
キリストが無いのなら・・・。
杓子に十字架なんて何の神が関係するのか・・・?
全く検討のつかない組み合わせに頭を抱えさせられる羽目になり、
思考の海へとしばし旅立つのだった。




