第八話 携帯電話
あれ?
携帯がない
車の中かな
私は車の中に携帯を探しにいったが見当たらない
かばんにも見当たらなかった
「佳奈〜ママの携帯しらない?」
と私は聞いてみた
「しらなーい」
と佳奈はいった
まさかどこかで無くしたんだろうか
私は焦った
携帯に電話をかけてみよう
もしかしたら誰か拾ってくれているかもしれないし
うちの中にあるなら音が聞こえるはずだ
私は携帯に電話をかけてみた
「プルルルル」
電波は届いている
うちのなかからは聞こえない
やっぱり外かぁ
どこで失くしたんだろう
誰もでないかと諦めていた
すると誰かが電話にでてくれた
神の救いだと思った。
「はい宮前です」
と男性が電話にでた。
「もしもし、高原と言いますが・・・
その携帯私のなんです。落としたみたいで。」
「そうだったんですか。今警察に持って行こうとしてたんです。」
よかった、いい人に拾われて
「それでー、今どこにその携帯はありますか?」と私が聞いたら
「今、石川県の金沢ですが」
えっっ…まさかホテルに置いていたんじゃ
私は恐る恐る聞いてみた「もしかしてホテルにありますか?」
「いいえ、違いますけど、ホテルの近くではありますが」
やばいな・・・送ってもらえるかな
「あの、私大阪に住んでいて、旅行で金沢へいってたんです。
携帯、着払いで送っていただけませんか?」
と私はいった
「大阪ですか?」
と宮前さんは言った。
「そうなんです」と私は申し訳なく言った。
すると宮前さんは
「私明日大阪に出張するんで、よかったら持って行きますよ。郵便より早いと思うし…。」
「そんな…いいんですか」
「昼前なら時間取れるから11時頃天王寺駅の改札で。僕はグレーのスーツで黒の鞄を持っていますから。」
「わかりました。お言葉に甘えて、よろしくお願いします」
と私はいった
「お互い顔もわからないし…そうだ、僕があなたの携帯を持って待つことにしましょう。そうすればあなたは自分の携帯だとわかるはずです」
と宮前さんはいった。
「はい、わかりました。もし分からなければ私の携帯に電話しますので。」
と電話を切った。
フゥーとため息がでた
知らない男性と話すなんて結婚して以来初めてだった
すごく緊張してしまった
明日…どんな服を着ていこう
服装に気を使うのは久しぶりだった
普段は佳奈に汚されても構わない服をきて、たいていパンツをはいていた
明日は久しぶりにスカートでもはいてみようかな…
今夜はパックをして寝よう
遠足に行く前の子どものようにドキドキしていた
ただ携帯を受け取るだけ…
そんな些細なことなのに私は浮かれていた
こんな嬉しい気持ちは久しぶりだった
何もかも新鮮だった