第四話 里帰り
私は車を走らせて実家へ向かった
久しぶりのドライブは気持ちがよかった
もやもやも吹き飛んでいく
となりで佳奈も大喜びだ
私はこれから訪れる悪夢をまだわからぬまま
実家でののんびりした生活を楽しみにしていた
うちから実家までは4時間ほどかかる
実家では父と母が待ちわびていた
実家につくなり私はごろんと畳の上に寝転がった
久しぶりの実家
なんにも変わっていない母に二週間ほど世話になるねと話すと
いくらでも寝ていきな〜といってくれた
これでしばらくは育児から解放される
この時間を休養期間だと思って
無駄なく利用しよう…そう思った
佳奈は早速父、おじいちゃんと川へ水遊びにいってしまった
私はその間眠っていた
起きたときにはすでに日は落ちていた
母が夕飯の支度を済ませてくれていた
大分疲れとるんねえ?大丈夫かいな?
母は心配そうに聞いてきた
大丈夫よと私は言った
ありきたりのおかずがとても美味しい
気持ちにゆとりがもてる分佳奈にも優しく接することができた
佳奈も嬉しそうだった
うちの田舎は夏でもクーラーはつけない
夜は扇風機もいらないくらいだ
夜風が気持ちよく吹いてくる
自然の風に吹かれて眠るから体調にもいい
明かりを消すと真っ暗だ
真っ暗といっても都会の暗さは真っ暗にはならないが
田舎は本当に真っ暗闇だ静かに虫の歌声を聞きながらぐっすりと眠った
翌朝は六時前から自然と目が覚めた
蝉の泣き声がすごい
今を生きようと、必死に鳴いていた
私はそんな蝉の泣き声を聞きながら自分はこんなふうに一生懸命生きているのだろうか…
私は人生を諦めている
もう一度夫と寄り添い生きていくことはできないだろうか
私は田舎に帰ってきたことで気持ちもリセットすることができた
やはり人間も動物なんだ
都会の中でコンクリートに囲まれて機会だらけのなかで生活していると
ストレスの塊と化し大切なものを見失ってしまうのかもしれない
自然が豊かなところにいるだけで、こんな風に前向きな気持ちになれる
自然には物凄く力があるのだろう
私は一週間ほど実家で過ごしている間に
明らかに自分の気持ちが変化していることに気付かずにはいられなかった