第二十三話 異変
うちに帰るとなおさら佳奈がいない現実が突き刺さってきた
四月から小学校へいくはずだった佳奈…
佳奈の部屋には真新しいデスクとランドセルが佳奈の帰りを待っていた…
二度と戻ってこない佳奈…
私は心にやりを突き刺された気持ちで佳奈の部屋のドアを閉めた
うちの中にはあちこちに佳奈の存在があった
どの部屋にいっても佳奈のことが思い出された
こんなことになるくらいなら私は孤独にうちの中にいればよかった
夫に見捨てられ、浮気されても惨めな女でも…
佳奈を失うくらいなら私は我慢できたはずだ
それほど私の中で佳奈の存在は大きく、計り知れなかった
佳奈はこの小さな箱のなかで眠っている
私は何度佳奈に謝っても気が済むことはなかった
一日一日、過ぎていくのが長かった
その間、修二から時々メールがきたが返すことはなかった
もうすぐ初七日だ
私と夫は実家に帰る準備をしていた…
私が落ち着くまではと夫は毎日仕事を休んでいる…
たぶん結婚して以来初めてのことだった
皮肉にも佳奈が死んでしまったことで夫は私を労ってくれるようになった
もう少し前なら…家庭をやり直せたかと思うと後悔ばかりしてしまう
修二とはもう終わりにしよう
もう二度と会わない
それがせめてもの、佳奈への礼儀だと思った
実家に帰る前日の夜のことだった
知らない誰かからメールがきた
《佳奈は殺された…私が殺した…お前に天罰だ》
な…に…?
佳奈は事故死じゃなかった…?
嫌がらせ?
私は精神的に参ってるうえに怪文書まで送られて、気を失いそうだった
メールがただの嫌がらせでないことが添付されていた写真からわかった
佳奈を木に縛りつけている写真…
犯人以外には撮れないものだった
私はなんてメールを送ろうか悩んでいた
するとまたメールがきた
《まだわからないのか?明日佳奈が死んだ山にこい…
私の望みは金でも地位でもない…お前の絶望する顔がみたいだけだ…》
添付されていたのは動画だった…
犯人が佳奈の顔に雪を押し付けている…
佳奈は必死に逃げようともがいているのが写っていた
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