第二十二話 葬儀
ようやく私は実家についた
よたよたしながらうちに向かう…
私は涙があふれていた
ごめんね・・・
佳奈…ごめんね
私は棺桶の蓋をあけ、佳奈の顔を見た
青白い顔以外は行く前に寝ていた佳奈がそこにいた
私は佳奈の顔に自分の顔をつけた…
冷たくて…硬かった
いつものぷにゅっとした頬ではなかった
私は佳奈に布を被せ、閉じた
夫も佳奈がいなくなった日から私の実家にきて、佳奈を探してくれていたらしい
夫にも申し訳なかった
言葉もでなかった…
ただただ、涙があふれて止まらなかった
山で遭難したのだが、事故か事件かまだわからないらしい…
通夜も葬式も泣いてる間に次から次へ終わって行く…
佳奈は火葬され、骨になった
小さな骨…
まだまだ未来のあった佳奈…
佳奈の命を奪ったのは私だ
私はどうやって佳奈に償えばいい?
なにをしても佳奈はもう戻ってこない…
生きていない
私が自己嫌悪に陥ってなにもできない間、夫はみんなに挨拶しうちに帰る準備をしていた
そんな夫に心から感謝していた
私が不倫していたなんてわかったら夫に殺されるかもしれない…
それでも構わない…
私はうちに帰る車の中で全て話した…
寂しかったこと…
孤独だったこと…
彼を好きになってしまったこと…
体の関係もあったこと…
旅行もその彼といったこと…
全てを話して楽になりたかった
自分が悪いんだって責めてもらいたかった
なのに夫は責めてこない…
「うすうす、わかっていた・・・俺に何が言える?」
「夕子を悲しませたのは俺だ
俺が浮気なんかしなかったら夕子も外をみたりしなかったはずだ
だからお前を責めたりしない…
夕子、もう一度二人でやり直そう…
六年一緒にいた時間、全てが無駄だったわけじゃないさ
俺が全部悪かった…
これからはうちの中のことも手伝うし、なるべく早く帰ってくるから
少しずつ…少しずつやり直そう
それが佳奈の願いじゃないか…?」
「そんな優しい言葉…今更かけないでよ…
もっと責めればいいじゃない…お前のせいで佳奈は死んだんだって…」
夫は何も話さなかった
私もうちに帰るまで何も言わなかった
話す気力もなくなっていた