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第十一話 惨めな結婚記念日

それからの毎日は少しずつ楽しく感じられるようになり、夫の顔を見ても苛立つこともなくなってきた

まだまだ悪夢は消えなかったが、少しずつ心の隅にしまえるようになっていた

季節は秋から冬へと過ぎていき、もうすぐ私たちの六回目の結構記念日がおとずれようとしていた

私達の結婚記念日は佳奈の誕生日と同じ日にちになっている

結婚式はもっと前に行ったのだが、やっぱり私達が結ばれたのも佳奈がいたからだと思い、佳奈が誕生した日に夫に届けを出してきてもらったのだった

その日は12月15日・・・あと二週間さきだ

今年もこの日を無事お祝いすることができそうでよかった

あれから夫は相変わらず仕事は忙しいものの、私達を気にしてくれるようになり、あの女性とも何もないみたいだった

この前の連休にも初めて佳奈を遊園地へ連れて行ってくれた

佳奈もすごく喜んでいて、私もうれしかった

結婚記念日はどうしようか・・・ワインでも買ってきてお祝いしようかな

夫が帰ってきたら相談してみよう

今夜も夫は遅くなるようで、私と佳奈はさきに夕飯を済ませた

佳奈が寝てしまってから夫は帰ってきた

どうやら今日は飲んできたようだ

かなり足元がふらついている

「大丈夫?」私は夫の体を支えながら部屋へと連れて行く

着替えながら夫は話した

「会社の忘年会今年は伊勢に行くらしいんだ。その日にちが…再来週の金曜日なんだよ。」え?再来週の金曜日って…佳奈の誕生日じゃない

「ねえ、今年は断れないの?」

「無理だよ…俺が幹事なのに今更他のやつがしてくれるわけないだろ…今年は一週間前にお祝いして…な?わかってくれるだろ?」

わかってる…わかってるよ

あなたが仕事を優先することくらい…

「もういいよ、わかったから…」

私は酔っ払ってる夫を投げ出して自分のベッドに戻る

15日だから意味があるんじゃない…私はもやもやしながら眠った

一週間後、夫は今日は早く帰ってくるからなとわざわざ言ってから仕事へ行ってしまった

まあ、後回しにされるよりはましだなと思い直して料理を仕込んでゆく

今夜はビーフシチューにサラダ・・・おいしいパンやさんに色々な種類のパンを買いに行く

そうだ・・・ケーキも買っておかなきゃ

私の好きなチョコレートケーキをホールで買って帰る

あとは佳奈のバースデープレゼントは…佳奈はビーズが大好きだからビーズをプレゼントに選んだ

あと気に入りそうなブーツを見かけたからそれも一緒に渡すことにした

さあこれで買うものは終わりかな…

うちに帰って部屋を飾り付ける

ワイングラスをだして…もうすぐ帰ってくるころかしら?

「まだかなー」佳奈も待ちわびて窓から外をのぞいていた…

「あ、パパだ!パパが帰ってきたよ、ママ」佳奈が嬉しそうに玄関に出迎えにいった

パパと一緒に夕飯が食べれることがめったにないから佳奈はすごくはしゃいでいた

食べ終わってプレゼントを渡す

佳奈はすごく気に入ってくれたようだった

佳奈はプレゼントを大事に抱えて寝てしまった

私は佳奈が寝入ったのを確認して、それを机の上におく

よかった。本当に…

私が片付けをしていると夫が後ろから寄ってきて抱きしめてきた

私は思ってもない夫の行動に動揺してしまった

「おやすみ…さきに寝るよ」と夫は寝室へいってしまった…

私の無意味な動揺は夫に伝わらないままだった

私達はいつからかお互い別々に寝るようになっていた

それは今に始まったことではない・・・結婚してから数年後のことだった

私が夜中にトイレに行きたくなって階段を降りてきたときだった

夫は夜中にAVを見ていたのだった

しかも下半身を露出して・・・一人でやっていた

私はその光景をみてトイレには行けず、夫が寝室に戻ってくるまで必死に耐えていた

布団に包まり・・・

夫は私がいるのに、ビデオのほうがよかったんだ

それはそうだろうと私は思った

私は胸が異常なくらい小さい・・・というかないのだ

そんな女…しかも妻となり・・・母となった私に魅力などあるわけがない

夫が私を抱けない理由は自分でもわかっていた…でもこの前のことがあってから私はもしかしたら…という期待を捨てきれずにいた

でも…やはり私ではだめだった

私は惨めだった・・・悲しかった


私はじっと携帯を見つめた・・・そしてあの人にメールを送ろうとしていた・・・



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