没稿:『兎狩り』の一部
長椅子に座らせ、見ると血が滲んでいる。
もともと休息室はあらゆる状況を想定して備えてあるので、盥も湯も手当箱まである。箱の中には、もう少し違った場面で活躍しそうな物も色々と入っていたが。
人を呼ぶまでも無いので、自ら跪き手当を施した。
彼女の頬が羞恥に染まり、いたずら心を刺激され、痛む足を擦る振りをして脹脛までを撫で上げた。
すべらかな肌触りにさらに煽られて、膝までを露わにし唇を滑らせる。
手の中で震える様、息を飲む様に、先程の欲望が頭をもたげた。
肌を暴きたい
片手をさらに奥へ滑り込ませながら伸び上がり、もう片方の手で彼女の項を捉え唇を寄せる。
彼女が驚きに身を竦ませたのは一瞬で、こちらの意図を察して顔を背け、口づけを拒んだ。
身を寄せて何故と耳元で問うと、夫以外に許すわけにはいきませんと、か細い答え。
怯える耳に、誰も見てはいない、と熱く吹き込む。
小さく身を震わせながら、ここには二人も居るではないですか、と返してきた。
小賢しい、もったいぶって焦らしているのかと、耳翼を食めば、身を捩り逃げを打つ。
私の浅慮な振る舞いがご不興を招いたのでしたら、どうぞ世慣れぬ小娘よとお捨て置き下さい。お戯れのお相手をお探しならば、お手を煩わせて申し訳ございませんが、今一度、広間にお戻り頂ければ、意に沿うご令嬢もおられますでしょう。どうぞ、よしなに……
黙れ
彼女の口からつらつらと流れ出る慇懃な言葉を遮った。
この体勢で、この距離で、話す事ではない。
俺は、今宵の相手をお前と見定めた。替えはない。諦めろ
青褪め目を見開く瞳に、飢えた獣のように嗤う自分が映る。
ペチコートの内に潜ませた手が活動を再開した。
いやいやと頑是ない幼子のようにかぶりを振り身を捩る。
片手で頭ごと引き寄せると、レースに覆われた両手が俺の口を塞いだ。
小癪な
唇に当たる彼女の指をレースごと噛む。
鋭い痛みに怯んだ隙に両手で抱き込み、吐息ごと奪った。
口腔内を思うさま貪りながら、力の抜けた機を逃さず、背に並ぶボタンを外してゆく。
薄物をはがすように背から手を差し込んだ時、今までの比ではないほどに彼女の体が強張った。
剥いた肩に目を遣れば、ショールの下に秘されていた殴打痕や生々しい血の滲むような蚯蚓腫れが晒されている。
こ、これは……?
※※※作者コメント※※※
かなりガッツリと大人なムードでしたので、これを書いた時に、あらすじの※注3を入れました。
作者的にはかなり頑張って雰囲気出した部分で思い入れがあり、削った時に貧乏性が顔を出しまして、残していました。
ティスベは、「誰?」ってくらい淑女ぶっていましたね(苦笑)
それで、「012:君の名は⇐イマココ。」と「013:ツンデレ疑惑」にて、ダンディーニにからかわれるんです。
此処までお付き合い頂きまして、ありがとうございます。




