表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/41

024:終わりと始まり

後日もたらされたのは、二つの知らせ。

一つは、家令と乳母の国外追放の通達だった。

横領の主犯は家令で、子爵領の収入を個人財産に移していただけでなく、私達の最初の父の遺産も使い込んでいたそうだ。

乳母は、家令が着服していた一部を受け取っており、アンジェリーナのためにあった継父の遺産まで私的流用していたという。

アンジェリーナは罪に問われることはなかったが、乳母が捕えられた時の取り乱しようで共犯を疑われ、取り調べやその後の乳母の処罰など彼女には受け入れがたい出来事が次々に降りかかった為、考えることを放棄してしまった、らしい。

もはや移動にも耐えられない彼女は今、殿下の温情で公爵邸の一角を賜り、その部屋から出ることは無いという。

二つ目は、春に道が良くなり次第、母と異父弟が晴れて領地に帰ってくる、というもの。

領地は一応の落ち着きを取り戻し、現在采配を振るっているのは、殿下が手配して下さった優秀な相談役だ。

実は領地視察も兼ねて、今回の通知を携えてきたのが彼であった。

お会いした相談役はナイスミドルで、姉も私も信頼に足る人物だと安心した。

そのナイスミドルは微笑みながら第三の、春になったら母と入れ違いに王都へ向かうよう書かれている、書類をも差し出した。

そうして姉は、ダンディーニの従姉妹になる。

端折り過ぎました。

殿下との婚姻を前にして身分を釣り合わせる為に、然るべき家格の貴族の養女となったのだ。

その貴族というのが、ダンディーニの叔父にあたる伯爵家。

ご成婚は陛下のご子息つまり王子が正式に立太子されてから、ということで姉は今、大公妃としての行儀作法をみっちり仕込まれ中だ。

その殿下だけれど、今まで縁談をことごとく潰していたのは遊びたかったからではなく、どうやら後継問題を複雑化させない為であったらしい。

陛下に嗣子がお生まれにならないうちに、王太子であった殿下に男子が生まれた場合、継承権がより複雑化してしまう事を恐れ、遠ざけていたというのだ。

そして、殿下より先に結婚するわけにはいかないとばかりに、側近であるダンディーニも独身でいたそうな。でも、奴の方こそ花から花へ渡り歩きたかったからだと、私は睨んでいる。

その私ですが、何故か姉と一緒に伯爵邸で行儀見習い中デス。

殿下もダンンディーニも足繁く通ってくれてイマス。

意味不明デス。

礼儀作法の先生である伯爵夫人が、意味深に笑ってイマス。

ますますもって、謎は深まってイマス。

初めは一緒に驚いてくれた姉も、どうやら味方ではなくなり、「楽しみね、ふふふ」と含み笑う始末。

寂しいです。

帰りたいなあ。

帰ろうかなあ。

帰っちゃおうかなあ。

窓の外を見ながら黄昏れていたら、後ろから拘束されました。

振りかえらなくても分かります。

契約を取り付けた悪魔から夜の魔王に昇格されました、アノ人です。

そうですか、郷愁に浸るのも無しですか。


「喜べ。俺たちも日取りが決まったぞ」


何故だろう。

刑の執行日に聞こえます。

2014.1.08 最後から二行目、語尾を修正。

2014.1.10 後半部分の語尾を一部、片仮名に変更。

      悪魔から魔王に→悪魔から夜の魔王に 「夜の」を追加

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ