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シンデレラ妄想狂、の義姉  作者: 青雪
プロローグ
1/41

000:シンデレラ

童話「シンデレラ」のあらすじです。

先の展開を暗示するモチーフが織り込まれていますが、飛ばして頂いても大丈夫です。


昔々、一人の男の人が居ました。

男の人はある女の人と二回目の結婚をしました。

女の人にしても二回目の結婚で、前の旦那さんとの間に二人の娘がいました。

同じように男の人も、前の奥さんとの間に幼い娘がいました。

結婚式がとり行われて間もなく、継母は継子をひどく邪魔に思え、とびきりみじめな仕事に就かせようと思い立ちました。

下女の真似事をさせ、狭くて暗くて藁しかない屋根裏部屋に追いやってしまいました。

かわいそうに、少女は我慢するしかありませんでした。

たとえお父さんに言った所で、忙しいと、取り合ってくれないからです。

聞いてくれたとしても、父さんは継母の言いなりですから、どうにもなりません。

少女は仕事が終わると、いつも燃え殻と灰でいっぱいの竈のある小部屋へ行き、その中で座っていました。

そのため、みんな少女を『灰かぶり姫』という意味の、『シンデレラ』と呼びました。

ある時、王子がダンス・パーティを開くことになりました。

いろんな人が招かれ、シンデレラの二人の姉も、声が掛かりました。

二人は精いっぱい着飾って、お城へ出かけて行きました。

見送っていたシンデレラは、二人の姿が見えなくなった時、悲しくなって泣き崩れてしまいました。

シンデレラの乳母が、どうしたの、と聞きましたが、言葉に詰まったシンデレラは涙を流すばかりです。

「おまえは、ダンス・パーティに行きたいと思っている。違わないかい?」

「……はい」

と、ため息交じりに答えました。

「よろしい」

そう言うと、乳母は南瓜と二十日鼠と溝鼠と蜥蜴を集めさせ、それぞれを馬車と馬と御者と召使いに変えてしまいました。

この乳母、実は妖精の国生まれの、魔法使いだったのです。

仕上げにシンデレラを美しく飾り立て、ガラスの靴を与え、一つだけ注意をしました。

「夜中の十二時を超えてはいけないよ。みんな元に戻ってしまうからね」

シンデレラは乳母と約束をして、ダンス・パーティへ向かいました。

会場に着くと、シンデレラは注目の的でした。

早速、王子がシンデレラの手を取ってダンスに誘います。

こうして楽しんでいるうちに、十一時四十五分の鐘が鳴りました。

シンデレラは慌てて、みんなにお別れの挨拶をしてから、一目散に会場を後にしました。

家に帰ると、シンデレラは急いで乳母を捜し、お礼と明日もダンス・パーティに行きたい、と言いました。

というのも王子が、明日もぜひ来て下さい、と言ってくれたからです。

翌日、姉たちはダンス・パーティへ行きました。

シンデレラも、昨日よりもっと着飾って行きました。

王子はずっとシンデレラの傍にいて、いつも優しい言葉を囁いてくれました。

あまりにも楽しかったものですから、時間の事なんてすっかり忘れていました。

するとどうでしょう、十二時の鐘が鳴っているではありませんか。

シンデレラはびっくりして飛び上がり、ウサギのようにそそくさと逃げ出さなくてはなりませんでした。

しかし、シンデレラのガラスの靴が片方だけ残されていて、それを王子が拾いました。

そのすぐ後、お城の門番が、綺麗な女性が抜けださなかったか、と聞かれました。

すると門番の一人が、若い娘が一人出て行ったと答えました。

けれどもぼろを着ていて、綺麗な女性と言うより貧しい中の娘という感じだった、と。

なんとか家へ帰れたシンデレラでしたが、綺麗だったあれやこれやは、何もありません。

ただ、お城で落としたガラスの靴の、もう一方だけが残っていました。

何日か経った日の事、王子からお触れがありました。

なんと、王子の拾ったガラスの靴がぴったり足に入る女の人を王子の花嫁にする、と言うではありませんか。

役人は、それこそいろんな娘さんたちに履いてもらいましたが、ぴったり入る人は誰も居ませんでした。

靴は回り回って、シンデレラの家にもやってきました。

姉たちは何とかして靴に足を押し込もうとしましたが、どうにもこうにもなりません。

シンデレラは言いました。

「私にも、合わないかどうかだけ、確かめても?」

二人の姉はぷっと吹き出してシンデレラをからかいましたが、役人はこう言いました。

「履いて御覧なさい。誰にも試してみよ、と言われておりますので」

シンデレラの足に、ガラスの靴はぴったり入りました。

ポケットからもう片方のガラスの靴を取り出したシンデレラは、自分の足にはめました。

そこへ乳母がやってきて、前よりももっと綺麗なドレス姿に変えてくれました。

さすがに二人の姉も、ダンス・パーティで見た綺麗な人が、シンデレラだったことに気が付きました。

二人はシンデレラの前にひざまづいて、今まで酷い事をたくさんしましたが、どうか許して下さい、とお願いしました。

けれども、シンデレラは二人をぎゅっと抱き締め言いました。

「いいんです、本当に、いいんです。ただ、私をいつも好きでいてくれたら、それだけでいいんです」

数日後、シンデレラと王子は結婚式を挙げました。

心やさしいシンデレラの取り計らいで、二人の姉もお城で暮らせるようになり、シンデレラの結婚式と同じ日に、姉たちもお城の偉い人と結婚しましたとさ。


2013.12.9

靴を王子が拾った後に、門番の(くだり)を追加

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