表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

指令1

「私、大丈夫だから、殺しても・・・」

「指令だ、飯田実を殺せ」


男は言った。








飯田実イイダミノル、私の名だ。


私、いや、私たちは、生まれてしまった頃からの使命とし、ある男の指令によって生活する。


私は自分の本来の姿を知らない。


姿かたちを変えて時空をさまよってきた。


そんな中、


地球という星の日本、その学校というところで任務を遂行するよう命じられた。


「中学2年生の女の子」という設定で。






周りの者は皆私と同じ男の指令を受けるもの達だ。


中には私たちの義務などを知らない人間という者もいる。


「実-!おはよ!」


友達の織田はるかが駆けてきた。


彼女は私と同じような生き物である。


「おはよ、はるちゃん!」


大きく返事をする、これが日課だ。


はあ


私は


こんな日常が大嫌いだ。


なんのためにおかしな指令をうけて生きなければならないんだ。


どうして罪のない生き物をだまし続けるのか。


ああ


ストレスがたまっていく。


そのたびに私は転ぶ。


「いてっ」


「あ、実」


「いったたたた・・・」


「大丈夫ー、どうしてそういつも何もない所で転ぶのよ」


「あはは・・・ごめん」


「なんであやまるのっ!」


「あはははは・・・」


教室の前でたわいもない会話が繰り広げられる。


私には、


人間らしい気持ちがないのに。





生まれたときから感情がそなえつけられていなかった。


そのせいか、喜怒哀楽が全く分からない。


でも、


でも・・・


でも、


最近あの子が気になってしまう。


「実っ!」


「か、カナタくん!」


「今日もドジってんなー!」


「あはは」


王子スマイルとやらで私のもとに駆けてくる。


彼もまた、私のような生き物だ。


彼は、人間界でいう、彼氏 というものだった。


私から告白した。恋をしたという設定で。


「また髪ハネてるぞ」


「えっ、うそ」


「ここ」


カナタは私の髪をそっとなでて内に巻き込んだ。


「ありがとう・・・」


「いーえ」


どうしてだろう。


何年も感情を持たなかった私が、


感情を持たない彼に、


カナタに


心が動いてしまっている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ