キッカケ
時は流れ僕は18歳になり塗装工を3年務めたのち父が経営する建設会社、坂下総業に就職した。
父の会社は、鳶工事一式、塗装工事、土木工事、配管工事などを主に行う総合建設会社だ。
会社設立当時は従業員20〜30人ぼど抱え、父もまだ若く活気がある会社だった。
また父は皆を従業員と言うのを強く嫌い皆は家族だと良く言っていて、僕にも皆を兄貴だと思えと言っていた。
そんな父を慕い多くの人が【家族】になった。
しかしそんな【家族】も長くは続かなかった。
父は【家族】にはとても優しく滅多に怒らないのだが、しかし専務がとても厳しい人で皆、専務を恐れて辞めて行く【家族】も少なくなかった。
でも専務は仕事に関してはとても厳しいが間違った事は絶対に言わないし、
社長の息子だとか、坂下健の息子だとか関係なく僕に対しても厳しく叱るとても筋の通ったいい男だと思い僕は慕っていた。
しかしそんな専務が仕事現場で玉掛けというクレーンを使って資材をワイヤーで吊って特定の場所に移動するという作業をしていた時、、、ワイヤーが外れ資材の下敷きになった。
幸いにも命に別条はなかったがもう建設業はできなくなってしまった。
そんな事故を目の当たりにして辞めて行く【家族】もいた。
また【家族】内で父は裏切りにあい、どんどん【家族】は減っていき、今では六人になりそんな事から僕は当初は塗装班のほうで仕事をしていたのだが鳶班に移動になった。
僕は鳶班に移動する事にとても反対していた。
そもそも僕は建設業をする気もなく父の会社を継ぐ気もなかった。
中学を卒業した時も本当は先輩がバーテンダーを募集していて誘いがあったのだが、父に言えず父の言われるまま建設業の世界に入っていた。
そんな父が敷いたレールの上をただ歩く自分に疑問視していた時にある事件が起きた。
ある日、僕に一本の電話があった。
、、相手は前に良く世話になった刑事からだった。
内容は、原付に二人乗りしていた男が別府駅前で爆竹を鳴らし、おばぁちゃんがビックリし倒れて被害届を出したらしく、その時、たまたま僕が免許証入りの財布を駅前で落としており、刑事がそれを現場で拾ったため、僕が疑われたというものだった。
しかしなんど説明しても信じてもらえず、毎日の様に任意で署までくるようしつこく電話がきて、頭にきた僕は自分で犯人を探す事にし、先輩やら仲間にも頼んで探してまわった。
そしてある二人の男が浮かび上がってきてその彼女だという女が今マクドナルドにいるという情報が入り僕と陣でマクドに向いその女と話しをしているといきなりその二人の男が現れ僕を襲ってきた。
いきなりの事で僕は動揺しなにもできなかった。
その二人は喧嘩慣れしていて僕に抵抗する隙を与えなかった。
僕はなす術なくやられ、臆し、彼らに謝った。
しかも年下にだ。
とても悔しく夜も眠れなかった。
ただただはやく忘れよう、それだけを思っていた。
そして二年が過ぎ嫌な思いも忘れかけていたある日、現場で
その男に会った。
その時、僕は目をそらしその場から逃げた。
まだ臆している自分にとても腹がたち、そして何より悔しかった。
そんな弱くて惨めな自分をどうにか
払拭したい、もっと強くなりたい、
ソイツを見返したい、そんな思いから僕はずっと辞めていたボクシングの世界にカムバックした。




