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ある日突然、彼女が出来た。

そして俺は、彼女の髪にキスをした。

作者: 心花

「ねぇ、会いたくなっちゃった」


彼女からの突然の電話。


「あのなぁ、俺だって忙しいんだけど。」


「じゃあ、いい。」


プチッ ツーツーツー


彼女のふてくされた声を残して、電話は一方的に切れた。



あーなんなんだよ、あいつ。こんな電話かかってきたら気になるだろうが。


俺は予定を切り上げて彼女の住むマンションへと向かった。



ーー ピンポーン ーー


彼女の部屋の前で呼び鈴を鳴らす。

すると



ーーー たたたたたたたっ ガチャッ



ドサッ ーーーー



お前はラグビー選手かっと 言わんばかりに、彼女は扉を開けるなり俺に抱きついて来た。



「おまえなぁ、なんなんだよあの電話」


「……ねぇ、頭なでて」


「話、聞いてる?」


「…………」



俺の問いかけを無視して俺に抱きつき続ける彼女に


「しゃーねぇなぁ…」


仕方がないから頭を撫でてやる。


すると彼女はさらにギュッと抱きついて



隼人(はやと)…だいすき」


そう言った。



あーなんなんだよ。本当に



「はいはい、俺も好きですよー。で?今日はなにがあったわけ?」


「なんでもない。」


「はいはい。なんもなかったのね」



「ん…」



「そかそか…」



こーゆー時、大抵彼女になにかあったっんだって事を、俺は知ってる。


そのくせ、何があった?と聞いたって、いつも彼女はなんでもない…しか言わないんだってことも、俺は知ってる。


だから俺はただ、彼女の頭を撫でてやる。


すると、頭を撫でられながら俺に抱きついている彼女は


「………電話、ごめんね。来てくれて……ありがと。」


ボソッとそんなことを言った。


「ん。」


俺もそんな短い返事をして、彼女の頭をポンポンと撫でる。


すると彼女は、俺の胸元から俺を見上げて

へにゃっと笑顔を見せた。


「…ねぇ、隼人、外…寒かった?」


「ん?あぁ、軽く、吹雪いてた。」


「そか。」


そんな会話をして、部屋に通される。




「うぉーーー!あったけーーーー!!」


そんなことを叫びながら、彼女の部屋のこたつに入って暖をとっていると



コトンーー



そんな俺をくすくすと笑いながら、彼女が俺の目の前にジンジャーティーを置いた。


「はい、隼人、あったまるよー。」


「さんきゅー」


そんな和やかな会話をしていると、彼女がスッとこたつに入っている俺の隣に入ってきた。



「………」


「………」



会話とかなくて、けれど、彼女の気持ちを読み取るには、それだけで充分過ぎて。


俺に寄り添う彼女の頭を、そっと俺の肩に引き寄せた。


彼女の落ち込んでる原因は…多分あれだろうな。そんなことを考える。すると


「ねぇ、隼人ー、ボツんなっちゃった。こないだのデザイン画。」


「そか…頑張ってたのにな…」


「ん…」



やっぱりな、俺の思っていた原因は的中していた。



普段の彼女なら、

“ねぇ、隼人!聞いてよー。こないだのデザイン画、ボツになっちゃった。もー悔しいーっ”


そんな電話をしてくる。


なのにそうじゃなかった今回は、相当ショックだったんだろうなと、俺は推測する。


だから、俺もなにも言わない。


パリ留学から帰国後、プロのデザイナーになった彼女と、大学に進んだ俺。


進む道は違うけれど、こういう時、彼女は必ず俺を必要としてくれる。


そんな彼女を、あらためて愛しいと思うのはこんな時。


俺は彼女の髪を撫でながら


美優(みゆ)、愛してるよ…」


心を込めてそう言った。


なのに………


「すーーー すーーー すーーー 」


おい、寝てんじゃねーか、こいつ。


ちゃっかりいつの間にか、俺の肩を枕にして寝息を立てている彼女。



全く、自由奔放なこいつらしい。

自由奔放なクセに、甘えたがり屋。


甘えたがり屋なクセに、強がりな意地っ張り。

けれどそのくせ……こんなにも、可愛い。



「しゃーねぇなぁ……」


そんな彼女に、すっかり振り回されている俺だけど、そんなふたりの関係が、心地よかったりする俺がいる。



俺は起こさないように彼女をそっと抱き上げると、彼女のベッドに優しく寝かせた。



安心しきった寝顔ですーすーと眠る彼女の髪を撫でながら


「次は…うまく行くといいな。お前がいつもたくさん頑張ってる事、俺は1番よく知ってるよ…」


そう言って


俺は優しく、彼女の髪にキスをしたーーーー









ーFINー





















いかがだったでしょうか。他の作品の執筆に行き詰まった時にぶわっと描いたこの作品は、作者別作品の『ある日突然、彼女が出来た。』『ある日突然、彼女が出来たワケ。』の、ふたりの数年後だったりします。こんな感じで、ある日突然予告なく過去の作品の続編を描いたりする作者です。

ちょっとわけわからなかったかなぁと不安だったりするので、一言感想や評価など頂けたら嬉しいです。

最後まで読んでくださりありがとうございました(^^)


心花(このか)


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― 新着の感想 ―
[一言] 拝見しました。 ちょっと大人になった感じ、ちゃんと伝わってきました。 落ち着き具合がちょうど良い感じに思います(*'ω' *) 今回は仕上がりも良いと思います。 締切があるなら別ですが、…
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