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片恋デッサン、1。

所々に同性愛を思わせる心理描写がでてきます。苦手な方は注意ください。




数学の授業中、欠伸を噛み殺しながら机のうえ、軽く腕を伸ばす。


隣の席の女子は友達に回すらしい手紙を色ペンで一生懸命書いている。

昼下がりの数学の授業なんてまともに受けている奴のほうが少ない。

俺は堪えきれなかった欠伸を一つ漏らし、前の席に座る男子の手元を見た。


まぁた、描いとる。


一応、手で隠してるらしいそれはしかし、後ろに座ってる俺には丸見えだ。

彼の男にしては白く細い指がシャーペンを握って繊細な線を紡いでいく。


いつもながらうまいにぃ。

心の中でそうぼやきつつ、俺は彼が描く人物を見つめる。

数学のプリントの裏、粗末な藁半紙のうえに描かれた落書き、にしてはうますぎる。


洗練された線で写し取られた髪の長い少女の後ろ姿。

どこか遠くを見ているかのようなその絵は。普通に彼が想像で描いているなら誰も文句を言えないのだが。

実はそうではないから、まずい。んだよな。


俺は彼の前の席に座った、女子の姿を見やった。

黒くてさらさらした長い髪を下ろしたままにしている彼女は、彼がいつもノートとかプリントに描いている少女とそっくりな目付きをしている。


いや。


俺は机の上に投げ出した手首を捻って前の席の彼が座っている椅子を触る。


名前と出席番号の記されたラベルには彼の名が黒く並ぶ。


折紙、悠真ね。


今まで気に留めたこともなかった彼の名前。


そして、クラスの男子の中で密かに人気のある彼の前の席の彼女の名前。



おそらく、折紙悠真は髪の長い女子こと、木更津香苗をモデルにして絵を描いている。


ここ、一週間で導きだした結論だった。


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