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万能少女の優しき呪い  作者: 如月フウカ


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第十四話 弟

「あらあら、怒らないわよ。いっそここに住んじゃえばいいじゃない。ねぇルキウス、あなたもそう思ってるんでしょ?」


奥様がそう声をかけた先には部屋の前で立ち尽くしているルキウス様の姿があった。

ルキウス様は慌ててこっちに駆け寄ると、私と奥様を引き離し、深く息を吐いた。


「母上。シアナには近づくなって言いましたよね?」


「言ってたかしら?」


「言いました!!どうせ母上はいきなり飛びついたりしてシアナを脅かすからやめてくれって言ったんです!」


「脅かしてなんかないわよ。ね、シアナちゃん」


「は、はい......」


「無理やり言わせないでください。」


ルキウス様は奥様を睨みつけ、奥様は負けじと強い視線を送っている。


「ルキウス。この屋敷の権限は私にあるのよ」


「父上じゃないんですか!?」


「それは仮よ。この屋敷の権限は私にあるの。ダーリンには貸してあげてるだけ。」


「ホントにシアナの前でダーリンとか言うのやめてもらっていいですか...?頭痛くなってきた......」


はぁ.........とそれはそれは深いため息をつくルキウス様がおかしくて私はつい吹き出してしまう。

なんて仲の良い親子なのだろうか。


「素敵なお母様ですね、ルキウス様」


「……遠回しに俺をバカにしてるのか?シアナ」


「そんなことないです!ホントに素敵なお母様だと思ってますよ!」


明るくて真っ直ぐなお母様は誰にでも簡単に心を開いてしまうから、ルキウス様はそれがとても恥ずかしいのだろう。


「私はね〜娘が欲しかったのよね、一緒にドレスを選んだりとかしたかったの。それなのに生まれたのは男二人よ。酷いと思わない?」


「えっ、二人...?ルキウス様だけじゃないんですか?」


「あれ?ルキウスから聞いてなかったの?もう一人、三つ離れたルキウスの弟のレオンがいるわよ。」


「弟さんがいらっしゃったんですね!?」


ルキウス様に弟がいたなんて!屋敷で一度も会わなかったから知らなかった......と言っても逃亡、または戦闘の恐れがあるからって部屋に閉じ込められてたから出会いようがなかったんだけど。


私の発言で、奥様はじとーっとした疑いの目をルキウス様に向けた。


「シアナちゃんになーんにも教えないで連れてきたの?誘拐?」


「違いますから!!人聞き悪いこと言わないでください!」


「え〜でもシアナちゃんになーんにも言わないで連れてきたのはホントでしょ?びっくりしたわよね、シアナちゃんごめんね私の息子が...」


「いや、その、びっくりはしたんですけどとても助かりました。ルキウス様がいなかったら私はきっとこの世にもういないので......」


その場の空気が一気に静まり返った。

そこで私は言う必要のないことまで言ってしまったことに気づく。


「あっ、いや、その可能性の話です!!」


「シアナちゃん、ホントに辛かったわね......」


奥様は強く私を抱きしめてくれる。そして頭を優しく撫でてくれるので、まるで本当のお母さんのようだと思った。本当の娘になった気分だ。


「ありがとうございます......。よかったらレオン様にもご挨拶させていただけますか?助けて頂いたお礼をしたいんです」


「あらレオンは何もしてないのに?」


「ルキウス様のご家族にはお礼を言いたいんです。公爵様はお忙しいと思うのでせめてレオン様だけでも......」


「それなら大丈夫。ダーリンは私が言ったらいつでも通してくれるわよ」


「えっ!?そ、そういうものなのですか...?」


「いや、そんなことない。(うち)がおかしい」


即答しているので、普通ではないらしい。

その後散々公爵夫人に可愛がってもらった後、ようやくレオン様に会わせてもらえた。ルキウス様曰く、公爵様は忙しいので後回しになってしまうそうだ。


「初めまして。このお屋敷でお世話になっているシアナです」


頭を下げて挨拶をすると、レオン様が口を開いた。


「...あなたが兄上の婚約者ですか?」


「え?」


「...違うって何度も説明したよな?レオン」


ルキウス様が怒ってレオン様の頬を軽く引っ張ると、レオン様が涙目になる。すぐに離したが、レオン様は頬を抑えてルキウス様を見つめる。


「だって兄上この人が来てから全然俺と遊んでくれないし.........」


レオン様は大好きな兄に怒られたことで、悲しそうに俯いてしまう。 

私は少し背の低いレオン様に合わせて屈むと、警戒心を解けるように笑顔を見せる。


「私はルキウス様の婚約者ではありませんよ。今までルキウス様をお借りしてしまってすみません。レオン様にお返ししますね」


「返してくれるの...!?」


「はい。」


「シアナってもしかしていい人......!?」


「おい、呼び捨てにするな。」


ルキウス様が速攻でレオン様の発言に異を唱えていたが、私は特に気にせずに笑う。


「レオン様にとってのいい人でいられるように頑張りますね」


「確かにこの一ヶ月はレオンにあんまり構ってやれてなかった。ごめんな」


ルキウス様がレオン様の頭を優しく撫でると、レオン様の表情が花が咲いたかのように明るくなる。本当に嬉しそうに「これからはもっと遊ぼ、兄上!」と笑っていた。


「シアナもたまになら遊んでやってもいいよ!」

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