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更夜視点 本編と短編

黎明の空

作者: 理春


8月、毎年庭に植えている向日葵が開花して、毎朝朝日を浴びる様を、嬉しそうに眺めながら小夜香さよかは水やりをしていた。

妻であった小百合が亡くなってから、15年が経とうとしている。

18歳になった娘は、咲夜さくやくんと婚約してから1年が経ち、二十歳になる頃に結婚を予定している。

来年大学に進学する春には、小夜香は咲夜くんのうちに越して、同棲を始めるらしい。


元々御三家の当主となる後継者たちは、10代後半から20代前半のうちに結婚していた。

その理由は様々だが、一つは高津家、松崎家当主の血筋の者たちは、元よりあまり体が丈夫でなく、短命な者が多かったからだという。

受け継がれる能力を持つ者は、その反動で長生きすることが出来ない。

また遠い歴史では、より強い能力を受け継ぐために、親兄弟の間で子孫を残していた。

さすれば自然と遺伝子の関係で、奇病や持病を持つ者が生まれてしまう。

その名残で、現代に生まれてきた当主後継者たちも、持病を持つ者は少なからず存在した。


それ故に、早く世継ぎを残すことが当たり前になり、何も世の中を知らず、不慣れなままに子育てをすることになる当主たちは、お互いを支え合うように、御三家の子供たちを一緒になって世話していた。

もちろん例外も存在するもので、俺と共に当主を勤めた由影ゆえ白夜はくやは、年も一つ違いということで親身に接していたようだが、俺は二人より3つ4つ年下で、父の後をついて回っていたこともあってか、あまり二人と幼馴染という感覚はなかった。

その分早くに医療現場に足を踏み入ることが日常になり、医学書を絵本感覚で読み漁り、医者の家系である島咲家の跡継ぎらしく、早くに大学を出て医師免許を取得することが出来た。

白夜や由影とそれほど一緒に育ってきた感覚はなくとも、愛情深い両親と祖父母のおかげか、身内の大切さは幼い頃より刻まれていた。

もちろん皆年若いうちに結婚していたが、祖父母は病で早くに亡くなってしまい、ひ孫を見せることは叶わなかった。

だが娘の小夜香の結婚が決まっている今、自分の親にはひ孫を見せられるかもしれない。


今どきそんな期待を子供に押し付けることは、時代錯誤も甚だしいので口にはしないが、子供が好きな身としては、産まれて来てくれる小さな命は尊く、特別なものだ。

そんな先のことを、常々夢見ている或る日の事だった。


「島咲さん、お掃除終わりました。何か必要な物があれば買い物に行きますけど・・・」


ハウスキーパーを任せていた柊くんが、ノックをして書斎へとやってきた。


「ああ、ありがとう。・・・そうだな・・・。ちょっと待ってくれ。」


彼と一緒にキッチンへと向かって、冷蔵庫の中を覗いた。

いくつか作り置きをしてくれた彼は、キチンと今日食べる分はラップをかけ保存されており、他はタッパーに収められ、冷凍庫にもおかずがいくつかあった。


「・・・今日も随分作ってくれたんだな、ありがとう。」


「いえ、結構お肉もお野菜もあったので、出来るだけ品目多く作れないかなぁと思って、初めてのレシピに挑戦したものもあって・・・もちろん味見はしてるんですけど、お口に合わなかったらごめんなさい。」


「そうなのか。毎回美味しくいただいてるよ、大丈夫だ。」


彼は安堵したように微笑んで、気恥ずかしそうに目を伏せた。


「あ・・・」


リビングの時計を見て小さく声を漏らすと、彼はパッと顔を上げた。


「どうかされました?」


「いや・・・今日は休診日だし、小百合がうちに来る予定でな。」


「あ、そうなんですね。」


「ああ、特に買い物は無いように思うし、少し早いけど上がってもらって構わない。」


「わかりました、ではこれでお暇します。」


玄関で丁寧にお辞儀する彼を見送って、リビングに戻りコーヒーを淹れた。

休日であっても何かと作業に手を出してしまいがちで、小夜香にも担当医である日下先生にも苦い顔をされてしまったので、最近休日は何もしない、を心掛けていた。

何となくテレビを観て過ごしいると、やがてインターホンが鳴った。


「いらっしゃい。」


「更夜さん、お疲れ様。」


半月ぶりに会うことが出来た小百合は、仕事の疲れが少し顔に出ている気がした。

早2年の付き合いになる彼女とは、去年の秋頃に婚約して、両家の家族とも挨拶を済ませ、来年の春に入籍する予定だ。

リビングに招いてお茶を淹れると、小百合は妻の写真が飾った棚の前で手を合わせた。


「・・・更夜さん、奥様のお墓参りはもう・・・?」


「・・・ああ・・・小百合の墓はないんだ。」


「・・・・え・・・」


亡くなった妻と奇しくも同じ名前である彼女は、驚いた様子で言葉を失くした。


「・・・彼女はキリスト教徒だったから、洋風の墓を作ろうかとも思ったんだが・・・生前小百合が自分が死んだとしても、墓を作らないでほしいと書き残しててな。」


「そうなんだ・・・」


「ああ・・・妻はちょっとした日記をたまに書いていて、後々それを見つけて本人の希望に沿った形だが・・・。もちろん遺骨はあるが・・・キリスト教徒なのに火葬したのは理由あってのことで・・・まぁあまり宗派に拘りもなく、念を押すように書かれていたことは、俺が死んだときに墓を作るなら、同じ場所に入れてほしいと。」


「・・・そっかぁ」


小百合は妻の写真を眺めてから、持ってきた袋から仏花を取り出した。


「ごめんなさい更夜さん、こういうお供えの花は余計だったかなぁ・・・」


「いや、ありがとう。花瓶もあるし、せっかくだから写真の側に飾っておくよ。」


遠慮がちに差し出す彼女から花を受け取って、取り出した花瓶に水を注ぐ。


「あの・・・更夜さん、小夜香ちゃんは・・・」


「ああ・・・日曜日は咲夜くんのうちに行ってるよ。夕飯前か、食べて帰ってくるなら21時頃に帰宅すると思う。」


「そっか・・・。あのね・・・あの・・・報告があってね・・・」


小百合はソワソワした様子で手をこまねいて、一口グラスに口をつけた。

同じく隣に座ると、若干緊張した面持ちでじっと視線を合わせる。


「・・・あの・・・・あの・・・」


「・・・もしかして、異動になるかもしれないって言ってた件か?」


「あ・・・それはね、えっと・・・残念だけど本社勤務の試験は落ちたの・・・」


「そうなのか・・・。企画部門に行きたいんだっけか・・・?」


「うん・・・。」


しょげた頭をそっと撫でると、彼女は嬉しそうに目を細めて微笑んだ。


「・・・また来年受けるといい。」


小百合は俺の言葉を聞いて、スッと真顔になるとゆっくり首を横に振った。


「ううん・・・その件は一旦諦めようかなって・・・」


「・・・そうなのか・・・。」


「あのね、報告っていうのはね・・・試験のことは残念だったんだけど・・・あの・・・更夜さん私・・・」


意を決したようにパッと顔を上げる小百合は、尚も緊張した様子が窺えた。


「・・・私、妊娠したの。」


「・・・・・・・・に・・・」


「も、もちろん更夜さんの子だからね!当たり前だけど!あのね?色々仕事忙しかったんだけど、試験が終わった後にちょっと体調悪くて・・・生理も来てなかったし、もしかしてストレスで止まってたりするかなぁと思って婦人科に行ったの。・・・そしたらご懐妊ですねって・・・。今、3か月なの・・・」


気まずそうに上目遣いで白状する彼女は、何か返答を怖がっているように見えた。


「・・・な・・・いや・・・そ・・・・そうか・・・・。今は体調どうだ?悪阻つわりはあるか?」


「・・・更夜さん今すっごく言いたい事全部飲みこんだよね?」


「いや・・・別にいいんだ俺の意見は・・・。少し痩せてるように見えるけど・・・大丈夫か?」


「・・・え、痩せてるって見ただけで更夜さんわかるの?」


「まぁ何となく・・・。何年医者やってると思ってるんだ。気分悪くないか?」


「あ、うん・・・大丈夫。あ、私淹れてもらったコーヒー飲んじゃった・・・」


「・・・ああ・・・一般的にカフェインは良くないとされているけど、どんな食べ物であっても、摂りすぎるとよくないというだけで、妊婦時にまったくダメという物はないから大丈夫だ。」


「そうなんだ・・・。ねぇ更夜さん・・・嬉しい?」


そっと俺の手を取る小百合が、いつもの優しい笑みを向けていても、少し疲れた表情に見えたのは、妊娠の初期症状の影響かもしれない。


「・・・もちろん嬉しい。それよりも心配が先立つもので・・・職業病だな・・・。」


「ふふ・・・それはそれで嬉しいよ。」


「けど・・・何というか入籍する前に若干順序が逆になってしまったな・・・。もしかして・・・それで来年の試験は諦めることにしたのか?」


「うん、ちょうどまた試験がある春頃には産まれるだろうし・・・。ねぇ更夜さん・・・私仕事・・・本社勤務はダメだったけど、販売員の仕事好きでね?だから・・・妊婦の間も出来るだけ続けたいんだけど・・・どう思う?」


「ん・・・それは産科医に聞いた方が的確なアドバイスをもらえるとは思うけど・・・。個人的な意見だと、特に無理な力仕事をしなければ問題ないと思う。」


小百合はパッと笑顔を見せた。


「そうだよね。産婦人科にも行ったし、今度担当医の先生にも相談してみる。」


「・・・ああ。今度から検診に行くときは休みにするから、教えてくれないか?」


「え、大丈夫だよ?そんなに遠くないし、バスに乗ってすぐだから。」


「いや・・・俺が気になるんだ・・・。」


「でも・・・更夜さん病院一人でやってるし、休んだら患者さん困るんじゃない?」


そう言われるとそうだな、と思いながら頭の中をフル回転させた。


「いや、島咲家の医者で任せられる者は何人かいるし、臨時で雇って来てもらえないか交渉することにする。これでも医療関係者には顔が広い方だから、当てはいくらでもある。」


「そうなんだ・・・。更夜さんに頼まれたら、きっと皆了承するだろうね。」


「・・・何でだ?」


「え・・・ん~・・・ほら、元当主だし・・・恩を売っておこうとか、お世話になっておこうとか・・・もしくは逆らったらどうなるかわからないと思う人もいるかも?」


「まぁ確かにな・・・。もちろん俺が直接連絡するわけじゃない。秘書である倉根か、その他の使用人に連絡させる。労働状況に探りを入れて、余裕がありそうな医者にだけ声をかけることにするよ。」


スマホを取り出して、倉根に手短なメッセージを送信した。


「・・・お医者さんって皆多忙なイメージだけど、手伝ってくれそうな人ピックアップ出来る?」


「大学病院に勤めているような医者は向かないな。俺のように個人で開業医をしている医者も、ワンオペでやっているようなら論外だ。狙い目は・・・開業医の手伝いをしているような、雇われで中堅の医者、もしくは・・・。」


倉根に任せておけば、かつて島咲家に勤めていた者、もしくは直属の医療関係者はすぐ見つかるだろう。

彼女の言う通り、倉根が元当主である俺の頼みだとチラつかせれば、なかなか断る者はいないかもしれない。

そのあたりを伏せて適任者がいないか探させるつもりではあるが、俺と比較的親しく、かつ信頼がおけるものに病院を任せるのが一番ではある。

そう思った時、一人頼めそうな人物が浮かんだ。


「ん~・・・一応話をしてみるか。」


「あの・・・更夜さん、ホントに無理しなくていいからね?」


尚も気遣いを見せる小百合は、親元を離れて一人暮らしをしている身だ。

俺としては今すぐうちに引っ越しさせたいくらいの気持ちだった。

けどそうなれば小夜香は気を遣うだろう・・・。


「小百合、俺が優先したい事は仕事じゃなく家族だ。代わりの者に任せられるならそうするし、離れて暮らしているんだから、検診に行く時くらい送迎させてくれ。いきなり引っ越してきてくれというのは、小百合にとっても小夜香にとっても無理を強いることになるから出来ないが、サポートするのは、俺の当然の権利だろう?」


「・・・うん・・・ありがとう。」


彼女はどうもまだ、俺に対して遠慮を見せることが多々ある。

そっと抱きしめると、いっそうに細く感じる肩や腕が、一人で子供の命を宿していると思うと、この手で守らなければと思うばかりだった。


「小百合・・・一人で病院に行く前に話してほしかった・・・。一人で産むことを決める前に、出来たことを喜んで報告してほしかった。もちろん色んな都合はあっただろうと思うが、二人にとって大切なことは、遠慮せず、時間を選ばず連絡してくれていいんだ。小百合がいつも、自分の事より俺の都合を考えてくれていることを知ってる。けどな・・・もう第一優先はお腹の子だから。不安なことは全部任せて寄り掛かってくれ。」


小百合はぎゅっと回した手に力を込めた。


「うん・・・。あのね、ホントは飛び上がるくらい嬉しかったの。更夜さんは子供がほしいって言ってくれてたし、私も結婚して出来れば早くほしいなって思ってたから。けど子供は授かりものだって言うでしょ?小さなエコー写真を見てね、まだほんの小さな卵の中にいると思うと、私が母親なんだから、とりあえず落ち着いてやるべきこと進めなくちゃ、冷静にならなきゃって・・・。役所に行ってね?母子手帳ももらったの、すっごく可愛いやつ・・・。今日はね、サプライズプレゼントを持ってきたつもりでいたの。・・・ごめんね?」


そっと離れると、少し気恥ずかしそうにしながら、彼女はまた嬉しそうに頬を緩めた。


「そうか・・・ありがとう。心底嬉しいプレゼントだ。」


「ふふ・・・小夜香ちゃんは・・・どんな反応するかなぁ。あ!そうだ、エコー写真持ってきたの。これを箱に入れてリボン結んで・・・プレゼントだよって渡したら・・・喜んでくれると思う?」


「ふ・・・それはいい考えだな。」


「ね!そういうサプライズをしてる動画を見たの。こういうの素敵だなぁって真似したくて。」


彼女はいそいそと小夜香に報告するための準備をして、今後の妊婦生活でどんなことを心得ておくべきかと、二人で考えながら色々調べた。


「そういえば・・・お義母さんと暁人くんには報告したのか?」


「あ・・・実はまだなの。妊娠初期ってまだ安定してないし・・・早く報告するのはあれかなぁって思ったんだけど・・・どう思う?」


そう言われて思わず考え込んだ。

そこまで妊婦の知識があるわけではないが、産科医の知り合いとよく本家で話をしていた時、経産婦の約3割が流産を経験していると言っていた。

現に俺の母も、俺が生まれた後妊娠したが流産している。

そして初産であってもそれは例外じゃない。


「ん~・・・確かに早計なのかもしれないな・・・。そのあたりは小百合に任せるよ。俺もまだ両親には伏せておくことにする。」


「うん。・・・そう考えたらさぁ・・・小夜香ちゃんに伝えるのもちょっと待った方がいいのかなぁ。」


用意したプレゼントの箱を手元で見つめながら、小百合は呟くようにこぼした。


「・・・けど報告したくて来たんだろ?」


「うん・・・。小夜香ちゃん兄弟がほしいなぁって言ってくれてたし、あ・・・別にプレッシャーに感じてたとかじゃないからね!小夜香ちゃんの喜ぶ顔が見たいなぁって思って・・・。」


そう言われてふと、かつて妻が小夜香の後に妊娠したエコー写真を、密かにサプライズ使おうとしていたことを思い出した。

彼女は絵本の間に栞のように挟んでいたけど・・・。


「俺も・・・小夜香が喜んでくれるなら早く報告したいと思ってる。」


「・・・そう?」


「ん・・・・」


二人で寄り添うように座ったソファの上で、俺はどうしても亡くなった妻を思い返してしまう。

もう十数年経って声も仕草も思い出せないのに、お腹に子供を宿して死んでしまったと思うと、悲しくて思考が停まってしまう。

小夜香はそれを知らない。知ってほしくはないから墓場まで持って行くことにした。


「更夜さん・・・この子が産まれてくるまで、まだきっと半年以上もあるの。更夜さんは一度小夜香ちゃんが産まれてくるまでの楽しみと、子育てを経験してるから・・・たくさん色んな事思い出す瞬間があると思う。更夜さんが本当のところ、どういう考えに至って、私と一緒になりたいとか、子供がほしいと思ってくれたのかはわからないけど、思い出して切なかったり複雑な気持ちがあっても、それは当たり前のことだから構わないのよ。亡くなった小百合さんのことを・・・時々思い出してあげることは、貴方にとって必要なことだと思う。」


「・・・そうかもな・・・」


「私や私の家族に気を遣って、無理やり平気そうにしてほしいわけじゃないから。さっきみたいに自分が思ったことは言ってほしいし、悲しくてずっと一人で抱えて言えなかったことでも、何でもいいの。無理に克服しようとか、前に進もうとしなくていいの。急がなくていいんだよ。私たちの心の準備が出来るまで、この子は時間をかけて産まれて来てくれるから。」


まだ普段と変わりないお腹を、小百合はそっとさすった。

彼女がこうもすぐに覚悟を決めて、母であろうと毅然としていられるのは、一生懸命育ててくれた自分の母親の背中を見ていたからだろう。


「・・・小百合にはかなわないな・・・」


そっと寄り掛かると、彼女は愛おしそうに俺の頬にキスした。


「ふふ・・・だって、きっと誰よりも私が嬉しいの。更夜さんとの子がお腹にいるんだもん。」


まだ明るい日差しが、リビングのカーテンの隙間から漏れて、わずかにフローリングを照らしていた。

蒸し暑い季節、2年前の今頃、俺はその時も彼女と亡くなった妻の話をしていた。

名前を呼ぶ度に、思い出しているわけじゃないと、後悔を振り払うように気持ちを返した。

あの時心の中で、亡くなった小百合を想いながら「許してくれ。」と唱えていた。

何の因果か、同じ名前の女性を好きになってしまったこと・・・小百合はきっとよくは思わないだろうから。

俺の中の妻も、残されていた手紙や日記の中でも、彼女はとても俺に執着しているように見えていて、人一倍焼きもち妬きだった。


寄り添っていた体を起こして、黙っていた小百合の手を取った。


「小百合・・・・・・・・・」


「・・・なあに?」


「亡くなった妻を思い返すことが、必要なことなんだということは何となくわかる・・・。小夜香にとってはたった一人の母親で、思い出話をしてやると、本人も嬉しそうにするしな・・・。・・・去年は妻の実家を訪ねて、向こうの身内と久方ぶりに話すことが出来たんだが・・・」


「そうだったんだ。そういえば去年言ってたね、小夜香ちゃんと京都にって・・・」


「ああ・・・。墓は作ることが出来なかったが・・・かつて本家の屋敷があった場所で、妻の部屋の庭に白百合を植えておいたんだ。晶が・・・松崎家最後の当主が機転を利かせて計らってくれてな。屋敷が無くとも土地自体はまだ管理されているから、恐らくまだ残っていると思う。今年はそこに参りに行こうと思うんだ。」


小百合は俺の話を静かに聞きながら、コクリと頷いた。


「うん、行ってあげて。」


「・・・一緒に来てくれないか?」


俺がそう言うと、彼女は意外だったのか少し躊躇うように黙った。


「・・・行ってもいいの・・・かな。」


「・・・古い仕来りを持ち出すと、本来は御三家の関係者や、雇われている者以外の立ち入りは禁じられてきた。けどもう財閥は存在しないし、もちろん俺も仕来りは気にしない。・・・屋敷はないし、ほとんど更地で、建物があった痕跡だけの場所になってるが・・・元は高津家の土地でな、どう扱うべきか未だに検討してる。最近までは俺が管理も担っていたけど、今は美咲くんに任せているから、一応許可を取ってから向かうことになる。来てほしいと思ったのは・・・生まれてからずっと生きてきた場所を、小百合にも見てほしいと思ったくらいなんだ。」


「そっかぁ・・・。・・・うん、そう言われると行きたいかも。」


「・・・俺にとって実家はそこだった。離れたいと・・・思い続けていたこともあったけど、なんだかんだ家族がいて、友人がいて、職場でもあって・・・いざ引っ越すときや取り壊しが決定した時は、なかなか心苦しい思いがあったんだ。」


「そうなんだぁ・・・。ふふ、更夜さんの思い出話もっと聞きたいな。」


また甘えるように寄り添う彼女に、そっとキスをした。


翌週、ちょうど盆の時期、仏花として彼岸花を持って、小百合と車に乗り込んだ。

次第に東京の郊外へと出て、緑の景色が多くなってくる頃、思い出したように小百合に言った。


「・・・話していなかったことがあるんだが・・・」


「なあに?」


楽しそうに窓の外を眺めていた彼女は、パッと助手席から俺を見やった。


「・・・事実を話しはするんだが、妙なことを打ち明けるという自覚はあるから、あまり深く考えずに聞いてほしい。」


「・・・うん・・・。」


「500年続いていた御三家の祖先には、江戸時代に神職として扱われていた陰陽師がいたらしくてな、俺もそういう職種の具体的な仕事は把握していないが、神社に勤める者たちのように、持って生まれた力があったり、修行して得た、人知を超える力を有していた者がいたらしいんだ。」


「・・・は・・・ほ・・・うん・・・」


「・・・言える範囲内で話すと、高津家の当主であった白夜は、目を合わせた者の心の声が聞こえる能力があった。俺は特にこれと言って・・・確立した能力はなかったが、さっき話した神職の先祖がいたからか、視えたり感じたり、聞こえたりすることがある。」


「・・・・そ・・・それは・・・つまり・・・」


「・・・わかりやすく言うと、霊感が強い。」


チラっと小百合を窺うと、口をつぐんだまま怯えた様子が伝わってきた。


「悪い・・・怖い話をしようとしてるんじゃないんだぞ?」


「あ・・・うん・・・。えと、色々視えたり寄って来たりしちゃうから、巻き込まれないように気をつけなさいってこと?」


「ふ・・・いいや、別に気を付けることは何もない。そもそも素人が何の知識もなしに気を付けたところで、憑かれる時は憑かれるしな。」


「・・・もう・・・怖がらせようとしてる?」


「いや・・・。何が言いたいかというと、俺が不審なことをしてもあまり気にしないでくれと言いたかったんだ。もちろん取り壊す運びとなった以前に、お祓いや地鎮祭は済ませているから、滅多に悪い気が集まったりする所じゃない。もともと神社があった場所で、神聖な土地みたいだからな。悪いものが寄り付いたりはしないんだが、俺は視えたり聞こえたりする以前に、ある程度の年数を生きている植物でも、声や意志が聞こえたりするんだ。・・・変な話をしてるのは重々承知の上だが、一応そういう側面もあるってのは、知って置いてもらおうかと・・・。」


少し安堵したような雰囲気に戻った小百合と、その後も細かい比較的どうでもいいような自分の話をしているうちに、かつて本家があった場所へ到着した。


「・・・本当に・・・何もないね・・・。」


呆気にとられたように、小百合はくぐり戸があった前で辺りを見渡した。


「ああ、出来るだけ何も残さず、という目的で取り壊されたからな。」


小さな一本の道路脇にある更地は、広大な土地がしんと静まり返って、わずかに背の高い植物や、庭があった場所に池が残っている程度で、綺麗に土の上に砂利が固められた地面からは、あまり雑草も生えていない。

付近に住宅もなく、そこより高い場所に建物もなく、街に下って行かない限りは、人に会うことはないだろう。

少し曇っている空から湿った空気が流れてきて、真夏ではあるが、山が近いこともあってそこまで暑いこともない。

小百合と手分けして花を持って、若干物怖じしている彼女の手を取って足を踏み入れた。

じゃりじゃりと、踏みしめる音とともに、その空気感に包まれると、何故だか自然と不思議な感覚を覚える。


「・・・本当に私みたいな無関係の人間が入って・・・怒られないかな・・・」


「・・・怒られるってのは、誰に?」


「え・・・ん~と・・・ここに勤めてたかつてのえらい人とか?」


「ふ・・・それで言うと俺だな。」


「あ、そっか・・・。更夜さんより上の方はいなかったの?高津家のご当主様?」


「そうなると美咲くんか・・・。許可取ったから怒られないな。」


「・・・他に上の人はいないの?」


そう問われて、屋敷が半壊した暴動がフラッシュバックする。


「皆死んだな。・・・俺よりうんと年食った人たちが多かったし。」


「そうなんだ・・・。」


小百合の小さな手が歩を進めていくと、子供のように握る力が強くなっていく。


「怖がらなくていい。」


「・・・私怖いのかな・・・。」


やがてかつてご神木である桜があった場所に、そこまで大きくない鳥居が見えた。


「あんなところに鳥居が・・・。更夜さん・・・私やっぱりいよいよ怖いかも・・・・」


「・・・妙な話をしたせいだな、悪い。けど安心していい、ここに妙な者はいないし、むしろ・・・」


その時ふと、鳥居の向こうにある中央庭園の跡に、白い影が見えた。


「・・・え・・?更夜さんどうしたの?」


じっと見据えると、それはこちらを向いた気がした。

だがそのまま風が流れるようにふっと消えてしまう。


「・・・更夜さん?」


声を震わせて小百合が袖を掴むので、落とすように笑みを返した。


「大丈夫だ。・・・いいか、小百合が感じているのは畏怖だ。物事に恐れを抱く方じゃなく、偉大な者への畏れだ。・・・ここが普通の土地と違うのは明らかで、何の力を持たずとも小百合が何かを感じる程、強い力が集まる場所なんだろう。普通に暮らしている時はあまり意識しなかったし、何とも思わなかったもんだが・・・」


かつて日暮れ前に寝入ってしまった時に、妙な夢を見たことを思い出す。


「とりあえず行こうか、こっちだ。」


先ほどよりも怖さがましになったのか、小百合はまた俺の手を取って頷いた。

広大な更地を歩き進めて、何となく島咲の屋敷付近に辿り着き、入り口があった場所で辺りを見渡すと、小百合の部屋があった場所の方で、いくつか花が揺れているのが見えた。

二人してそこに近づくと、何故だがそこには、小さな洋風の石碑のようなものが見えた。

目の前まで来ると、手入れされているそれには、小さく十字架が刻まれている以外に、何も文字などは書かれていなかった。

石碑にしてはお粗末で、墓石にしてもおざなりだ。


「これは・・・・小百合さんの・・・?それにしても・・・白百合もだけど、他にもたくさん花が植わってるね。綺麗・・・。」


言われてみれば辺りはこの付近だけ妙に花が点在するように植えてあった。

石を囲むように、護るように咲いている。

だが妙なのは、わざと誰かが土を持ってきて咲かせたものでなく、いつの間にか生えてくる雑草と同じように、突然そこから自生したような生え方をしていた。


「・・・・気味が悪いな・・・・」


思わずそう言葉が漏れた。

しゃがんで彼岸花を供えた小百合は、心配気に俺を見上げた。

その時、駐車してきた道路の方から、わずかに車の音が聞こえた。

俺がそちらを睨むように見えると、小百合は何かを察して立ち上がる。


「更夜さん・・・」


「帰るか。悪いな、思い出話の一つでもするつもりだったが・・・そもそも・・・ここは誰も近寄らせたくはないという感じがする。俺でさえも・・・」


仏花をまだ抱えたまま、彼女も頷いて俺の手を取った。

かつて日々を過ごしていた屋敷は、見る影もなく、思い出せるほどの風景も思い浮かばず、空間だけがそこにあった。

後悔や悲しみが今更押し寄せてくるわけではないが、いい思い出を振り返られる程の、落ち着いた空気も漂っていないのは事実だった。


俺たちと同じように車で訪れた者たちが、何者か見当がついていた。

入り口は一つしかない・・・。車を見られたならもう俺がここにいることもバレてる。

鉢合わせは避けられない。

仕方なく真っすぐ入り口へと歩いていくと、更地の奥に黒い人影が数人見えた。


「更夜さん・・・」


「大丈夫だ。」


短く答えると小百合はそれ以上何も聞かなかった。

あちらもこちらに気付くと、恭しくゆっくりと膝をついて首を垂れた。

御三家の闇払い、祖父の友人である軍人、石川が築いた暗殺者組織、かがり家だ。

その若き当主である凛音りおんは、以前最後に会って話した時と変わらず、黒い靄を纏って見える。

緊張した空気を放つ小百合を宥めるように肩を抱いて、その者たちの横を通り過ぎた。


「・・・お怒りですか?更夜様。」


そう問われた矢先、先ほど見えた白い影も、こちらを見ている気がした。

同時に洋服よりもはるかに重苦しい、あの当主である着物を纏っている重さを肩に感じた。

立ち止るべきではないのに、振り返ることは不毛であるのに、俺は足を止めた。


「・・・貴様は俺を煽ることが得意だな。」


「勝手に墓石を設けたこと、お詫び申し上げます。」


スッと小百合から手を離して、黒服の数人に向き直る。

表情も見せぬまま、ただ首を垂れるそれらが安直に行った所業を、責め立てる感情もなかった。

ただため息を一つ吐いた時、かつての自分が戻ったようなハッキリした感覚が募った。


「詫びるくらいだったら最初からするんじゃねぇよ、ボケが。」


「おっしゃる通りにございます。」


「俺に見つからねぇとでも思ってたのか?あ?」


「・・・更夜様は私に、勝手にしろと申しました。私の贖罪は済んでおりません。小百合様は・・・」


「その口で小百合の名を呼ぶな。」


「申し訳ありません。花を供えたらすぐに立ち去る所存です。」


ゴミがごちゃごちゃ言っているうちに、パッと辺りを見ると、先ほど見た白い影が一つ二つと増えていた。

それからは何か哀れむような、申し訳なさそうな意思が伝わる。


「おい、凛音」


「はい」


わずかに顔を上げた凛音の前に立つと、何故だか同じく哀れな気がしてならなくなってきた。


「・・・あの下らない石と同じようだなお前は・・・。あそこに花を手向けるのをやめろ。誰も近づくな。」


「・・・・何故・・・ですか?」


黒々とした瞳を俺に向ける凛音は、まるで年を取らない見た目をしている。

愚直な少女のまま、真っ黒な世界に染まり切った姿だった。


「・・・あそこは小百合が死んだ場所だ。この土地にはそもそも悪い気など溜まらないし、小百合の霊がそこに留まっているわけでもない。ただな・・・人が死んだ場所であるのは違いない。彼女が留まりたかったという念は残っている。それをどうにか鎮めようと、元々ここにあった力が集約してしまっているんだ。異様に多種多様な花が咲き乱れてるのはそのせいだ。人間がそこに供えても意味はない。そんなものでは消えない。・・・・・・消えるわけないだろう・・・・・・小百合は殺されたんだぞ。」


じゃりじゃりとにじるように足を動かして、凛音は額を地面につけた。


「許しは二度と請いません。この命はもう命にすら非ず、慈悲も温情も貴方様には求めません。」


傍らで黙って立つ小百合が、静かに涙を流し始めた。

頭の中で、さして罪もない、ただ当時護衛をしていた目の前の彼らに、俺は死んでほしいとすら思った。


「問答は無為だ。今生の別れといこう。くれぐれも彼女を勝手に護ろうなどとしてくれるなよ。俺の目の届く範囲に在るを見つければ、今度はお前たちを潰さねばなるまい。」


黙って動かない凛音を置いて、再び小百合の手を取って出口へと向かった。

こうも言葉を並べても、恐らくあいつらはまだ俺が優しい人間だと思うだろう。


「・・・はぁあぁぁああああ」


くぐり戸があった場所を抜けて道路に出ると、憚らず大きなため息が漏れた。

小百合をチラリと見ると、乾いた涙の痕と、俺をまだ心配そうに窺う視線が返ってくる。

何か彼女の前でさえ、いつも抜け切れない当主だった自分を纏っていた気がした。


「なんつーか・・・めんどくせぇなぁ・・・。」


「・・・え?」


「装ってたつもりはねぇけど・・・自分の何が素なのかわからなくなってたんだ・・・。んなもんどうでもいいかもしんねぇけど・・・。いい加減暑苦しい着物を着てる感覚を、脱ぎ捨てたいって気になったな・・・。」


そう言い捨てて助手席のドアを開けた。


「・・・更夜さんはそのままで素敵よ?」


あっけらかんと言い放つ彼女の頭を撫でて、車へと促し、まだ重苦しい体を運転席に座らせて、その場を後にした。

静かに車の走行音だけが響く車内で、どうにか気持ちを持ち直そうと努めた。


「悪かった・・・。あまり見せたくない言動を見せたし、会わせたくもない連中に出くわす羽目になった。まったくの偶然ではあるけど・・・。まともな墓参りも出来なかったな。」


「・・・ううん、更夜さんは悪くないよ。」


「・・・いいや・・・俺という存在が、いかに小百合にとって悪いものかよくわかった。」


「・・・どうして?」


「自分の人生に、伴侶として迎えるということは、過去も未来もお互いを巻き込むということだ。以前も話したかもしれないが、直接的でなくとも俺は人を死に追いやった。いつまでもそれは背負っていく業なんだ。一人で生きていくならそりゃあ楽だろうさ・・・。けどな、苦難を共にすると分かっていても、小百合と生きていきたかったんだ。それがどういうきっかけでどういう理由なんだと聞かれても、上手くは説明できない。」


「・・・そうなんだね。」


「例えば・・・俺が多くを語らずとも、信頼して察して、ついて行こうと思って歩いてくれるところが好きなんだと思う。俺は付き合っている過程で、小百合に大したことはしてないが、見えない内側を見ようとしてくれたことが、俺にとってはきっとありがたかったんだ。」


「うん・・・」


「出かける前に少し話そうとしたことの続きだが・・・亡くなった人間を想い馳せることは、確かに必要なことではある。けど・・・ぶっちゃけた話、小百合からしたら少し嫌だろう?」


「・・・。」


小百合は考え込むように視線を落として、言葉をくみ取ったように、運転している俺に視線を戻した。


「女として悔しくないかっていう話?」


「・・・まぁそうだな・・・」


「・・・悔しいとか焼きもちみたいな気持ちはないかな。妬ましく思ったことも一度もないよ。」


「そうか・・・」


「だって・・・更夜さんが大事にしてきた人だもん。私も大事にしたいし、小夜香ちゃんにとって、大事なたった一人のお母さんだよ?私は確かに更夜さんの恋人で、婚約者で、いずれは妻に・・・所謂後妻になる立場だけど・・・それ以前に一人の人間として、更夜さんと向き合ってお付き合いをしてるし、家族と居る時は私は娘でもある。小夜香ちゃんにとっては・・・私はお友達?お姉さん?くらいに思ってもらってるかも・・・お母さんが大好きって思ってる小夜香ちゃんを見てると、私も同じだなぁって思うの。だから小百合さんを、更夜さんが愛してた過去の女性で、自分にとって邪魔な人・・・なんて思わないよ。」


淡々と落ち着いた彼女の意志に、俺は随分と軽んじていたのかもしれないと反省した。


「そうか・・・。無意識に小百合を年下扱いしていたのかもな・・・。」


「うふふ、実際年下だけど、でもね・・・私・・・更夜さんに相応しい相手になるにはどうしたらいいんだろうってずっと考えてた。そのままでいいって言ってくれたけど、更夜さんの複雑な気持ちを、一緒に抱えられる程の、度量がないといけないなと思ったの。」


信号待ちで小百合の言葉を噛みしめていると、持ち直そうとした気持ちが自然と取り戻されていく。


「・・・そういうところも好きだよ。」


何気なく言うと、小百合は視線を逸らせて照れたように髪を触った。


かつて、夫婦として小百合と短い時間を過ごしたあの地は、思い出に浸る場所としては不十分だった。

幼き頃、祖父母と過ごした部屋も、両親から学んだ場所も、白夜や由影と言い合った空間も、もうどこにもなく消え去ってしまった。

だがそれはもう覚悟の上で全てを終わらせた。

そこには小百合どころか、誰も留まってはいないし、誰かが思い出を振り返り、悔いる場でもない。

小百合を連れて行きたいと思った俺はきっと、帰る場所であってほしいと思っていた。

そんな風に平和ボケした俺を、きっと白夜は草葉の陰で笑っているだろう。


暗く長い夜更けは終わった。

黎明の時だ。


自宅に戻って、車から降りた彼女のお腹を大事にさすった。


「・・・来てくれてありがとう。」

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