プロローグ1
「ちっ当たらんねぇな、まぁそういう日もあるかー」
爆音の流れるパチンコ店では既に耳が機能しておらず目もぼやけてる。
今日はなんか運が悪ぃないつもは当たってんのになぁ…ここで辞めにして帰ってネトゲーでもするか。
職業=ニート歳は既に四十路である山田太郎ボサットした髪に手をツッコミ無造作に引っ掻く。
それを見た隣のジィさんは痰を地面に吐きながらこちらに酒焼けした声で脅すように言う
「なぁ、帰ろうとする前になんか言うことないかい?あんちゃんワシに既に5万円は借金しとる…そろそろ返してもらってええんかのう?」
「あ〜あれのことっすよね?それだったら返しますって〜今じゃないけどいいっすか?」
「それはちょっと困るのう、うちの息子が君ぐらいでお金に困ってるんだ。わしは自分の子を養わんと…」
「あははっそっすよね〜」
なんだ、このジィさんまた認知症が発症したのか、もう何度もこのジィさんに金を借りたがこのジィさんは覚えてないようで…既に30万は借りてんだよな。
なんか5万円借金までの記憶しかないけどそろそろ死ぬんじゃね?こいつ?まぁ死ぬまでにはせいぜい搾り取るか。
ヘラヘラと俺はジィさんに近寄り肩を揉みながら猫撫で声で話す
「なぁ〜ジィさんほんとに金がないんだよーだったら爺さん金返してくんな?俺運いいから絶対に増やす!なぁ〜頼む」
手を合わせながら俺はジィさんに懇願する。ジィさんは顔をしかめる。少し間を開けて言う
「あぁわかった…貸すよ、あんたはわしの孫にそっくりじゃあ。ほんとに甘えるのは今回だけじゃぞう?次ないからな!ガハハ!」
にっこりと3万を渡してくるあたりは今回で10回目である。なんだこのジィさんまじでNPCじゃね?同じこと何回も繰り返してるんだけど、だけど、これだけで貰えんのちょろすぎ〜
「有難う!ジィさん絶対稼いでくるから!」
「おう、頑張ってこい!」
まぁ今日の飯代かな…もうなんかパチンコ当たる気しねぇし、コンビニでもよるか。ジィさん長生きしてくれよ、お前は俺の命綱だからな!心の中でじいさんの長寿を願いながら騒音のパチンコ店から出る。
ポゲットに両手を差し込み鷹揚に歩く俺はこの生活に大満足だった。
住む所はボロアパート、食うもんはカップラーメンだけど毎日仕事せずにパチンコだけで生きていけるの最高だった。
このままだとまじの廃人になってしまうぜ。あ〜と、あのジィさんはまだまだ使えるし、使えんくなったら別のジィさんを探せばいい。世間にはああいったボケたじいさんがいっぱいいる。高齢社会でよかったぜ。
そんな屑のおっさんは今日が命日だったようだ。
唐突に目の前に現れた強面一瞬ヤクザに引っ張られて秒で東京湾に沈められた。どうやら社会のゴミは秒で消せるし、手間はかからないらしい。最後に聞いたのがーー
「俺の親父を騙しやって…」
どういう憎悪にまみれた吐きゼリフだけ、それだけでもすべては理解できたのである。
あ〜因果応報やな。来世も人間のニートでありますようにと願いながら俺は東京湾の奥へと消えた…
ぷはぁっ
あれ死んでねぇ…びしょびしょになって起き上がる俺は周りを見渡すなんもねぇんだが…
てかこんな森の中にいたか?
早速訳の分からないことになってしまったようだ。
深い森林で起き上がった俺は転生したと確信する。
だからここは異世界ってか!いやいや、そんなわけない、きっとどっかの田舎だろう。
俺は現代社会であることに希望を抱くがもちろんそんなわけもなく俺はすぐに悟ってしまう。いや、悟られざるおえない
なんせなら目の前には巨漢に囲まれて幼女が襲われんでんだから。
なんだ?あれ?無視しよう。
まぁ、異世界だし、寝て起きてギャンブルとか楽しむか。
俺はスタスタと隣を通り過ぎると、流石に声はかけられる。
「よーそこの坊主、おめぇ髪真っ黒だな!染めたのか?」
「おん?いや、地毛だが…」
初対面でそういうの聞くの異世界の風習なのか?まぁ俺にとっちゃ関係ない話だ、さっさと日本にかえる手当探すか…
「こいつ、多分魔族だ!ぶっ殺すぞ!」
「はぁァ!辞めるんだ!人畜無害のおっさんひとりだぞ!そんな仕打ちは聞いたことないって!」
「聞くな!ぶっ殺せ!」
殺気強!蛮族かよ、俺は両手を上げてできるだけ頭を防御して丸くなる。俺が今まで借金取りや暴力団から生きてきた処世術だ。このテクニックで彼らはどれだけ木の棍棒、ナイフで刺しても、俺は痛みをすら感じずに防御できる。
ってまじで痛くねぇし、痒くもねぇ、あ〜これが異世界パワーってやつか。
これやってもいいかもな俺TUEEEEそして異世界ハーレムってやつを…
俺は立ち上がり、彼らの前に立った。よく見るとただの農夫達と1人の鎧をまとったおっさんひとりのようだ。
軽く正拳突きする。
信じられることに暴風が巻き起こされ、そのまま奴らは吹っ飛んで言ってしまったようだ…ピクピクと動くだけで失神している。
いや、俺強すぎでしょ、ちょ引くわ…
そして角の生えたまだ肌が薄赤い幼いロリはなんかわちゃわちゃ叫ぶが無視して、肩の方に担ぎあげて俺は走り出す。
どっからどう見ても不審者だ。だけど、人が見えないスピードで走っててるから大丈夫。
この子を売って金にしよう。
今の彼はその考えしか脳になかった…
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