↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
48/64

PART8

 なんで二人が竜人と分かった――商店街で大量の食材たちを買い込む中、ベイクの好物である獣肉を猟師の出している店で選びながらガウスがロックへと訊ねた。


 米俵を二つ軽々背負うロックはガウスのそれまでと違う真面目な調子の言葉遣いを意外に感じながら、特に隠すことでもあるまいとして答えるのだった。


「“こっち”に来るときに良い眼をもらったんだ」

「もらったって……」

「“魔眼《まがん》”というんだ」

「まが……? あ、いや、名前訊いたんじゃないんだけど」


 少々ズレた回答を寄越すロックに呆れたガウスが彼を見ると、ロックもロックでガウスの意図が理解出来ていないようで首を傾げていた。


 ガウスは乾いた笑声を零し、店主に猪の肉を要求。

 代金を払い、杉の木を薄く引いて作った薄っぺらい経木《きょうぎ》に包まれた肉を受け取る。


 そして改めて突っ立つロックへと振り向いてガウスは言った。


「その魔導器でも誤魔化せないような御大層な魔眼とやらをくだすったのはどこの誰さん?」


 得意そうに経木包みの肉を放り投げては受け止め、片方の眉と口角を吊り上げ皮肉っぽい笑みを浮かべたガウスの問いかけに、ロックはうんと頷くと答えた。


「神さまって言ってた」


 ややもすると“異邦人”とは奇妙なことを口走る。

 ロックの口にした“神さま”とはその代名詞だ。


 だがガウスは納得する他になかった。

 “異界”は確かに存在し、そこからくる“異邦人”は超常的な力を持っている。ときには“異界”の知識をもたらし、世界を発展させた。魔導器の偽装を暴くくらい、わけはないのだ。


「神さま、ね」

「笑っちゃうよな」

「あ?」

「神さまなんかいないと思ってた」


 ガウスは納得した。偽装を暴いた“異邦人”のロックが言うのだから、彼に魔眼を授けた“神さま”の存在とて納得するしかない。


 しかし逆にロックは、そのとき彼が浮かべた表情は嘲笑であった。まるで言葉とは裏腹に今も“神さま”なんて存在しないと言っているように。


「俺もだよ」


 彼のその表情を見てガウスが告げた言葉は、どちらの“言葉”に同意したものなのか曖昧で、ロックも「そっか」と短く返すだけ。


 二人は更に食材を買うべくその場をあとにした。

 彼らが“伝々亭”へと帰ったのは昼を僅かに過ぎた頃。ベイクは既に腹を空かせていて、レンとコウメは一日中厨房から離れることが出来なかった。


 そんな賑やかな“伝々亭”の許に通信用魔導器からの連絡が届いたのは夜も更けた頃であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。