第8話 理由
めっちゃくちゃ遅くなって大変申し訳ございません。
━━━━何で私は海斗をボディーガードにしたのかしら。
そんな疑問が美咲の頭を巡る。
━━━━最初、海斗に近づいたのは倒れていたから、ただそれだけの理由。なのに海斗を見た瞬間、近づいた理由何て忘れてしまっていましたわ。ただその存在に大きな魅力……それと不思議な安心感を感じたから。だから「恩を返したい」って言われた時はすぐに「ボディーガードになってくださいまし」なんて言う言葉が出たんだと思いますわね。でも蓋を開けてみれば敬語も使わない、敬意を感じない、ポンコツ、そんな無能でしたわ。でもそれでもこんな存在には二度と会わないような気がしますわ。私と対等に話そうとする者何ていないですから。それでも海斗は私を対等の扱いで話してくれたそれがちょっぴり嬉しかったのかしら。だからこんな失礼極まりない態度を取られても笑って許せるのかもしれませんわね。
美咲はそんなことを考えながらご飯を作っている竜二の所に向かうのだった。竜二の所に向かっている美咲の顔は虚空を見つめながら少し微笑んでいた。
「腹減ったな。」
この部屋に入って、1時間が経ってしまった。流石に腹がペコペコなので何か菓子でもないか探すことになった。
・・・迷ってしまった。ここがどこなのか全然分からない。当たりを見渡してもあき部屋、廊下、それぐらいしかなく、道も全く知らないので余計分からん。素直に待っとけば良かったと思っても同じ道もよくわからなくなっているためどうすれば帰れるのか模索している。
「うーん……」
そんな声を漏らしながら必死に考えていると後ろからガチャと音がした。スタスタと足音がするためで警戒をしてしまう。美咲の家の中なので警戒する必要がないのだが無意識に身体が反応してしまうのだ。慣れというのは恐ろしい。
警戒していた部屋から出てきたのは緑色の髪をした小さな少女だった。だいたい145cmぐらいであった。瞳も緑色で来ている服は……美咲と全く一緒だった。違う点はサイズ、ぐらいである。その少女の表情を見ると歓迎されていないのは明白だった。ゴミを見るような冷たい目で完全に見下していた。その少女は何と何も言わず、懐から拳銃を取り出し発砲した。
・・・
・・・
・・・ん?おかしいよね?出会って何も悪いことしてないのに、発砲。というかまず発砲ってなんだよ!!何で懐から銃サラっと出してんだよ!!
そいつは銃が使うのが下手だからか、ブレブレだったため銃はかすりもせずに飛んでいった。
「バカじゃねーのかよ!!何で出会った瞬間に発砲されなきゃいけないんだよ!!!!!」
「発砲した理由?簡単よ、貴方が私に挨拶しなかったから━━━・・・」
そいつは話の最中なのに発砲した。今度は俺の頭に3発、しかもど真ん中。さっきは当てる気がなかったらしい。今撃たれた球は本気で殺す気がした。だが、“たまたま”コケたおかげで撃たれた球はかすりもせずに頭の上を通過していった。
「お前、俺を殺す気かよ!」
「大丈夫よ。ゴム弾だし、」
「ゴム弾????」
「簡単に言うなら当たっても死にはしないわ。あ、でも当たり所悪かったら死ぬかもね。」
満面の笑みで高笑いしているそいつ。イラッとしたが拳を抑え、質問する。
「先にこれ言うの忘れてたな。お前、誰だよ。」
「貴方、本当に生意気ね。私にそんな態度とるやつなんて見たことないけど。」
「生憎、生意気とポンコツ、どんな目上にもタメ口で接するのが俺のアイデンティティなんでね〜。」
そう言うとこめかみをピクピクさせながら銃を5発、発砲した。相当イラッとしたらしい。狙っているのは銃口で分かる。腕と足だ。
━━━━だが別に当たり所が悪かったら死ぬだけで腕とか足だったら大丈夫だ━━━・・・。
俺は心の中で油断をしていた。その油断が痛い目を見る。
「……ってぇなぁ。」
右腕に3発、右足に2発当たり、それは悶絶レベルに痛かった。痛みには慣れている為そんな感想しか出てこないが馬鹿に出来ないほど痛かった。撃たれた部分が大きく膨らんでいる。
「ああ、言ってなかったね。このゴム弾はプロボクサーレベルのパンチを受けているみたいなものだから……相当痛いでしょ。顔から脂汗出てるけど……大丈夫〜?」
そいつはニタァと歪んだ笑顔でこちらを見る。こいつは相当頭のネジが飛んでいるらしい。というかそもそもとしてそんなものを乱射できる時点で相当ヤバい。
「君も大概だよ?これを受けて悶絶しなかったの君ぐらいだし。」
「そりゃどうも。」
こいつの目。完全におもちゃを見るような目、完全に油断している目。こいつがどこの誰かは知らんがやられたらやり返すのが俺流だ。だから
━━━少し“本気”で殴ってみるか。
・・・そうは思ったがこいつを本気で殴って意味はあまりない。くだらないことはやめよう。
目の前にいるそいつの目を見る油断しており隙だらけ、だから逃げるという手段を取ろうとしたのだがそいつの後ろにいるやつに気が向いてしまった。美咲だった。美咲は拳を強く握りしめていて、目の前のそいつに振り落とし
「何してるんですの、叶望!!!!!!!!!!!!!!」
と大声で叫びその刹那ゴンッという音と共に
「いたっっっっっっっっっっっっっった!!!!!!!!!!!!」
と言う甲高い叫び声が響き渡った。