第4話 波乱の予感
今回は早く投稿出来ました!
揺れる車内、そこには美咲と、俺、運転手の執事しかいなかった。あの時のかっこいいじいさんはどこへやら。ニコニコ笑顔で運転をしている。これには俺も心の中で苦笑した。そして1つ疑問を持った。このじいさんは美咲の専属執事なのかと。思い立ったらすぐ行動、俺は横にいる美咲に聞いてみた。
「なあ、あの執事ってお前の専属執事なのか?」
「ええそうですわ。名前は前里 竜二と言いますの。色々な武術を身につけているらしいですわ。貴方では勝てないかもしれませんわね。」
「なんでかもをつけるんだ。無理だろ、勝てっこねーよ。」
「ほっほっほ、こんな普通の老人誰でも倒せますよ。」
「父上の最強のボディーガードを一方的に倒したじいやは普通の老人ではないと思いますわよ?」
話の内容に分からない部分があるがこれだけは言える。このじいさんはやばいと、そう考える。
「まあ元々は達哉様の執事でしたが美咲様を守れと言われて達哉様の執事をやめ、現在は美咲様の執事でございます。」
美咲の父親は海雲 達哉というのか。路地裏で生活している中で、少しだけだがその情報を耳にしたことがある。
海雲財閥の社長に君臨しており、世界の三本の指に入るぐらいの超大金持ちであることで有名だ。………もしかして俺はヤバい人の娘にタメ口をしていたのかもしれない。まあそこら辺は別に気にしないのでいいやと心を切り替える。そしてそれからもたわいもない会話が続き、美咲の家に着いた。……めっちゃくちゃ豪邸である。門もあるし家もデカいし、庭園もデカいし、車はいっぱいあるしで大迫力である。美咲情報だと、家の中は広いため迷う可能性があるらしい。どれだけ広いんだ。とツッコミを入れたい気持ちを頑張って押し殺し、車から出る。
「なんつうデカさしてんだこれ。」
「お気持ちお察ししますよ。」
じいさんが苦笑しこちらに言う。俺はやっぱり何年居ても慣れないものなのだろうか?と考えてしまう。ここと路地裏の差が激しすぎてまだ現実を受け止められていない自分がいる。
「さあ入りますわよ!」
「えっ?ちょ、まっ」
美咲に無理やり引っ張られ豪邸の中に入っていった。
その中はまるで別世界であった、床には変な模様があり、あちこちに絵やらなんやらがある。2階に通ずる大きな階段が目の前に見え、1階も右や左に行くと違う部屋に行ける。内装にびっくりしていたが他にもびっくりしていることがあった。入ってすぐのロビーのような場所に多くのメイドや執事、ボディーガードなどが多くいることである。その数の合計50人ぐらいである。多すぎないだろうか?まあ家がデカい分メイドや執事がいるのはしょうがない事だと思うがあまりにも多すぎるというやつである。その計50名の中で一際目立つものがいた。他の者より少し豪華なメイド服を着ており、1人だけ前に立ち後の49名は後ろに立っている。
「お帰りなさいませ、お嬢様。」
「ただいま。玲奈」
深く頭を下げるメイドに気軽に挨拶を交わす美咲。
美咲への挨拶が終わると次は俺の方を見てきた。
「ふーん、これが新しいボディーガードですか。さっきお聞きしていましたが本当にホームレスを連れてくるとは。あのスラム街のような路地裏から連れてくると言うからどんな凄い者なのかと思ったら……こんな貧弱そうな者とは……気に食わないです。」
その発言は美咲に言ったものではなく、俺に言っているのだろう。正直コイツからどうこう言われてもどうでもいい。俺は自分がなったボディーガードとしての役割を全うするだけである。まあ出来ることだけだか。でも少しカチンときたので言い返した。
「貧弱な身体してるやつはボディーガードなっちゃだめなんて言われてるか?言われてねぇーだろ。だからお前にどうこう言われる筋合いはない。」
キッパリと言ってやると、なんと回し蹴りが飛んできた。もちろんそのメイドがやったものである。だがそのムチのようにしなった蹴りはすんでの所で止まった。
「これに反応出来ないのですか?でしたら口だけですね。」
冷たい眼差しと声で言われるが反応出来なかったじゃない、しなかっただけである。ピリピリしている雰囲気に関係の無いものが言葉を発した。
「玲奈。いい加減にしなさいしなさい。」
声を出したのは美咲である。
「ですが、お嬢様。このような者が貴方様の専属のボディーガードになることなど認められません。」
「玲奈、少し落ち着いたらどうです?美咲様もこう言っていますし。」
竜二が諭すように玲奈に言うときっ、と睨まれた。すると何も言えなくなったのか黙ってしまった。もうちょっと頑張ってくれと思うのはしょうがないと思う。
「では、お嬢様。1つ条件がございます。」
「……なんですの?」
美咲の顔はどういう条件なのかだいたいは理解出来たかのような顔である。正直言うと俺もだいたいは理解出来ている。
「私からコイツが1分間逃げ切るか、私を倒すかです。これなら私はコイツを認めますよ。」
そう言った瞬間俺は深いため息をつくのだった。
この豪邸ですが、玄関とかはなく土足で入る家です。良くアメリカとかにあるやつです。