第1話 偶然の出会い
ここは薄汚い路地裏、家がない……いわゆるホームレスややばい連中がウロウロしている場所。空腹で悶え死にそうな人間などはざらに存在する。この場所には警察ですら危険すぎて来ない。つまり法がないのだ。ここがどれだけやばいところか理解出来ただろう。世間からはスラム街のような場所として忌み嫌われ、遂には【堕ちた者が行く場所】とまで言われるようになった。俺はそんな所でのうのうと生きている。
今日は大雨が降っており飯も3日前から食っていなかった。水も綺麗なものではなく少し濁っているものがほとんどだった。でも生きるためにはそんなことをしなければ生きていけない。だが遂に限界が来たのか身体は動かなくなり指1本も動かせない。
「(流石に俺も、限界か)」
ははっ無様だな。このスラム街のような路地裏に来たもの達を襲い、金になるものや服、食料も奪い、その奪った金品や服、食料などを他のやつが奪おうし無いわけが無いだからこそ殺しあったりもした。そんな法を犯すようなことをし続けて生きた俺の末路は餓死なんだろう。
「クソが……こんなにも生にしがみついたのに……結局死ぬのかよ。」
俺の意識は朦朧としその意識が途絶えようとした時若いそうな女の声がした。その女からは何か香水のような匂いがしうっすらとだが何かブランドもののようなものを着ているのが見えた。何故分かったか、それは昔襲った人間の服によく似ていてそいつは大金持ちだった。財布の中を見れば万札だらけであったからこそこいつは金持ちなのだろうと俺は考えていた。だからこの女昔襲った女と同じで大金持ちのお嬢様か何かなのだろうと考えた。
「貴方大丈夫ですの?身体もガリガリでやせ細って…待ってくださいまし、今すぐ食料を持ってきますわ。」
そのいかにもお嬢様口調の若い少女はすぐそばにいたタキシードを着た老人に何かを言うとその執事らしき人はどこかへ行った。
俺はその女が言っていたことに疑問に思っていた。
「(今すぐ食料を持ってくる?ここにはもう食料なんてあるはずがないのだが……)」
俺の頭がこんがらがっていると執事のようなものが帰ってきたようでその手には箱があったがあった。
「すみません、食べ物が私のおやつしかなかったのですがこれを食べてくださいまし。」
そう執事のような老人が俺にその箱を渡す。中は大量のクッキーが入っており俺はそれを貪るように食った。
そして時間が立ちその中にあったクッキーを全て食べ終えその女を見た。身長はあまり高くなく160cmぐらいであり、顔は他の男が見れば超絶美少女とか可憐とか言うのかもしれないがそんなのは俺はどうでもいい。その恩を返すのみだ。
「本当に餓死寸前の所を救ってくれてありがとう。何かお礼がしたい。」
餓死寸前だった所を救ってくれた恩を仇で返す訳にもいかない、だからこそ頭を下げて言うと予想外のことを言われた。
「だったら私のボディーガードになってくださいまし。」
にこやかな笑顔でそう言われた。なるほどボディガードねぇ。なるほどなるほど………ん?ボディー……ガード?……は?
「はぁぁぁぁぁーーーーーーー?!?!?!」
そのスラム街のような路地裏に俺の叫び声が響き渡ったのだった。