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第三話


 解呪研究者の女性の言われた通りに後ろをついていく、王子様とお姫様。木で出来た階段を昇ると、細長い通路が見えて来ました。


 解呪研究者の女性は、その細長い通路を歩きながら王子様とお姫様の方を振り向くと、左腕を前方に注目させるように伸ばします。




「あの突き当たりの部屋が、解呪部屋です」


「はあ……」

「……はあ」




 その扉は、木で出来ていました。







 解呪部屋の前までたどり着いた三人。すると早速、解呪研究者の女性は扉を開け、お姫様の手を取ります。




「では、お姫様。この部屋に私と一緒に入って頂けますか?」


「……え? ふたりで入るの? あなたと一緒に? なんで?」


「なんでって……お姫様の呪いを解くためですが……」


「え、やだ」




 ここに来て、本音をぶちまけるお姫様。驚いた解呪研究者の女性は理由を聞きます。




「……な、何故ですか? 急に? さっきは解呪を快諾していたじゃありませんか……?」


「それはそうですけどー、いくら女性でもー、すっぽんぽんを見られるのはー、やっぱ嫌ですー」


「で、でも……さっきは、痛い目を見る位ならすっぽんぽんなるのもいとわない様な事を言っていませんでしたか?」


「さっきはさっき、今は今ですー」


「…………………………」




 お姫様の支離滅裂な言い分に、言葉を失ってしまう解呪研究者の女性。そこへ王子様が助け船を出します。




「……姫様。駄々をこねてはいけません。もし、このまま呪いを解かなかったら、お城に戻れないどころか、今まで経験したこともない、どんな痛い目を見るかも解らないんですよ?」


「それはそうですけどー、やっぱー、女性としてー、王族としてー、見知らぬ人にー、すっぽんぽんを見られるのはー、威厳を損なわれますー」


「見知らぬ人ではありません! これから姫様の呪いを解いてくれる恩人です! 謝って下さい!」


「でもー、私からすればー、見知らぬ人ですー」




 王子様は、何とかお姫様を宥めようとしますが、お姫様の口は止まりません。お姫様にさんざ暴言を吐かれた解呪研究者の女性は、少し涙目になっていました。


 困り果てたふたりは、お姫様に問いただします。




「じゃあ、一体どうすれば良いんですか!?」

「じゃあ、一体どうすれば良いんですか!?」


「王子様とふたりきりで部屋に入りたいです!!」




 そのお姫様の即答っぷりに、王子様と解呪研究者のは一瞬言葉を失います。



「え……えっと」



 先に口を開いたのは解呪研究者の女性でした。




「つまり、それは……すっぽんぽんを見られるのは、王子様の方が良い……という事でしょうか……?」


「もー♪ そんなにはっきり言わないで下さいよー♪」




 お姫様は内股になり、右手を口元に添え、身をねじりながら答えます。

 それを聞いた解呪研究者の女性は、半ば諦めた様に溜め息をつき、王子様にこう言いました。




「では王子様、申し訳ありません……お姫様もこう仰っておられるので、王子様も一緒に部屋に入って頂けますか?」


「え……? 僕は構いませんが……呪いを解くのに影響は出ないんでしょうか……?」


「出ない訳では無いのですが……このままでは一向に話が前に進まないので……」




 解呪研究者の女性は頭を垂れ、王子様に頼み込みます。隣では、お姫様が「きゃ♪」とか言っていましたが、ふたりは聞き流します。




「わ……分かりました。ですが、あなたどうするのですか?」


「……私は、部屋の外からお姫様の呪いを解きます」


「そんな事、出来るんですか!?」


「出来ます。技術と体力を要しますが……。でも、こうでもしないとお姫様は頑として呪いを解かせてくれないでしょう……」


「わ……分かりました。ですが、あまり無理はしないで下さいね」




 王子様は、解呪研究者の女性にそう言うと、後ろからお姫様の肩をそっと抱き、ふたりで解呪部屋の中へ入って行きました。



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