日和性の恋心
熱月それはフランス革命の革命暦の1つでおおよそ7月の半ばから8月の頭である。
それは毎年当たり前のように訪れ熱い灼熱の時期、革命歴があらわすようにまさに熱月といった感じだ。
太陽はまぶしく青いはあり得ないほどに高く感じるし立ち上る積乱雲は信じられないほどに白く、ムシムシとした湿度にうなされながらも不意に通り抜けていく涼しげな夏の風を感じられるそんな夏が好きだった。
夏休み前の3年生の中学校のクラスといえば受験の重圧に抑圧されながらも男女のカップルができ始めて打ち上げ花火や夏祭りに浮かれているというきらいがあった。
その時の僕は幼稚にもそのカップルをいじるのにいそしんでいたいわゆる陰キャの類であった。
そんな恋愛とか馬鹿馬鹿しいし数年もたってしまえばどうせ分かれるから意味ないと思ってた。
カラオケでみんながラヴソングを歌ってるのを横目に何であんなこっぱずかしいことを堂々と言えるのか不思議でたまらなかった。
そう、高校のテルミドールが来るまでは
それは思ったより早く来た。
中学の僕は勉強がまるっきりできないわけじゃなかったが目標もなくただただ時間を浪費して無駄を感じながら生きていた。
そして高校も模試判定がSでなんもしないでもはいれそうな高校を選んだ。当時は目標がなかったなりに言い訳を考えて自分に言い聞かせその学校に進学した。
4、5、6月は風のように過ぎていき僕も学校にそこそこ慣れカラオケに行ったりする仲の友達ができたりと
悪くはないが目標もなく怠惰的な学生生活をしていた。
その時、テルミドールは唐突に僕の前に姿を現した。
委員会の仕事が長引き僕の嫌いなタイプの女子と一緒に仕事をしていた疲れと仕事が長引いたせいで友達と遊ぶ約束に行けなかったことにひどく落胆してる夏の日の帰り道。
太陽は沈みかけ空には高い雲が夕日に照らされてとてもきれいだった。その向こうにはおそらくクラスの女子であろう人影がみえた。
夕日に照らされたその子がたまたま振り返ってきたのを見たら生まれてこの方16年一度たり起きたこのない異常状態に陥った。
胸が縛られキューっとそれこそ何者かに握られてるのかと思うほどだった。
その日はなんもなく帰ったがその日の夕日とその子の顔が目を閉じるたびに描写されるのである。
しかし、その時の僕はそれが恋であることを自覚できずさらにカップルをいじっていた経験から何をどうすればいいかさっぱりわからなかった。それでも日は過ぎていき気が付いたら秋になっていた学園祭の時期である。
女子が少なかったとはいえ例外なく僕のいた高校でも学園祭をとうして何組ものカップルが出来上がってる。
幼稚な僕はそれを横目にイケメンどもはいいな~っと一人でぼやいていた。その時、あの夕焼けの先にいたこの笑顔を見て心を奪われていた。
その時の僕は遠目に見てるだけで精いっぱいだった。
季節は進み冬になったそのころのはその子とも話せる仲になった。
その時間はあり得ないほど早く過ぎていき白昼夢を見てるようだった。でも、僕はこの子とは結ばれないんだなと悲観的になることも多かった冬の風は無慈悲に僕に吹き付け傷口に塩を塗られて気持ちになった。
いよいよ片思いが長くなってきて胸の痛みが前にもなって増してきた告白しないと!と思うようになったにだがここになってことごとく日和性が出てきてしまって告白ができなかった。
明日でいいや来週でいいや来月でいいや、自分に対しての言い訳ばかり考えて本当に時間が過ぎてしまった。
ひとえに僕が日和性だったのも一因だがせっかく好きな子と話せる仲の友達になったのに告白して失敗したらいままでの関係は消えてなくなってもう話せなくなってしまうと思ったらどうにも動けなくなってしまった。
そわそわして、もやもやして、具体案なんてなくてそれでいてもその子とされげなく一緒にいられるように班割りとかを調整してた。その子に「また一緒になったね!」といわれて僕は苦笑いしかできなかった。
この距離感でいいから叶わなくてもいいからもう少し近くにいたいと思ってしまった。好きという気持ちを押し殺して忘れようとして。でもそんなことできなくて胸はもっと苦しくなってまた7月が来た
噂でクラスの男子とテーマパーク行ったという話を友達に聞いていてもたってもいられなくなってしまって焦って焦って焦って。
SNSで明日放課後ってあいてる?伝えたいことがあると送ってしまった
勢いで送ったのはいいものの少し現実に引き戻されて死ぬほど後悔した
どうしようどうしようとおろおろしているだけであった
家に帰ってからも後悔して湯船につかりながら明日のことを考えただけでも顔が熱くなってしまった
湯船に顔事突っ込んで紛らわす。
でも案外ベットに寝てみたらうまく寝つけた
次の日の僕は不審者のそれだった。
勉強なんて一文字も耳に入らず
授業で当てられたときはいつも受け狙いで適当なことを言っていたがそんな余裕はなかった