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迎撃せよ、異世界防衛戦線  作者: ミネアポリス剣(ブレイド)
the_sentinel
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-the_Sentinel- 第八話

-the_Sentinel- 第八話



北千練島(きたちねりとう)に向かった僕たち外人部隊(レジオン・エトランジェール)愉快な空挺部隊は出会って二秒で高射砲の攻撃を受けアクシデントによって味方とはぐれてしまった。

味方と合流すべく島内をさまよっていると謎のフェイスマスクの集団に襲撃されてタコ殴りに遭い、あわや指を詰められそうな絶体絶命のピンチを救ったのはなんかエルフっぽい女の子。



そして、そのエルフに連れられて山の中の隠れ里っぽいところにたどり着いた。

島の木を加工して作ったバリケードで周囲を囲んであって、木の上には見張り台があってライフルを持った見張りが外を監視してる。

平和な田舎の風景ではなさそうだ。

引率のエルフ『シオ』が言うにはこの島には大きく三つの種族、というか勢力が争っているということらしい。

一つ目が彼女たち『長耳』

二つ目は半年ほど前に海から来た奴ら。

僕らを襲ったフェイスマスク達だ。

三つ目は彼女たちが『モグラ』と呼ばれる種族。

今この島ではこの3勢力が三つ巴で争っていると言う状況らしい。

彼女たちの戦局は芳しくはなく、膠着状態が続いている。

まず平野部はフェイスマスク達に占拠された。海から強力な武器を持ち込んでくるフェイスマスク達を相手に撤退するしかなかったということだ。

でもフェイスマスク達の進撃はそこまでだった。

森の中は『長耳』のホームで地の利があり、それ以上の侵攻は出来ないということだった。

さらに山間部は『モグラ』が作った地下要塞

が張り巡らされていて地の利がないフェイスマスクは身動きが取れない状態ということだ。そうしてしばらく膠着状態が続いたところで次の転機が訪れた。

北千練島(きたちねりとう)の各所に渡来人(てんせいしゃ)転生(リスポーン)してきたということだった。

そういや村の中でちょっと小綺麗な学生服の一団を見たな。

クイズマジックアカデミーとかそんなの。

そこで彼女達は自分たちの陣営に異界の勇者を引き込むべく捜索していたところ僕らを見付けたと言うことだ。

まあ僕らは別の雇い主に雇われて空から降ってきたんだけど黙っていれば分からないだろう。


ーパーン!


見張り台の『長耳』が突如ライフルを撃った。『鷹の目』で見ると森の奥で点くらいの大きさでギリ見えるくらいのところの敵がもぞもぞ動いている。

赤く光ってないと見付けるのは不可能な距離と相手だけど『長耳』にははっきり見えてるのか。


ーパーン!


二発目の射撃で赤い点が消滅した。

どこの誰かは知らないけど赤い点は確実に死んだ。


「何ね?」

シオが見張りに問う。

「よそもんの偵察ばい!」

見張りが言うには異世界からの転生者だったけどフェイスマスク達と同じ装備をしていたため敵に懐柔されていると判断し射殺した、ということだ。

嘘だろ?

外人部隊(レジオン・エトランジェール)でも索敵に特化した奇跡(スキル)を持ってる僕が見落とすような敵をあれほど正確に見抜けるのか?

「一発外した・・・」

「南に二匹、まだ気づいてない」

しょんぼりする見張りにシオが伝えると見張りは慌ててライフルを構えて二発撃った。

今度は『鷹の目』でも見付けられなかった。

「すまん!助かった!」

どうやら、僕が見えていないだけで敵はちゃんと存在しているようだ。

あの見張りの索敵能力だけでもやばいのにシオはさらに精密に森の中が見えてるのか。

というより、『長耳』には森の中を見通す能力が備わっていると言うことか。

フェイスマスク達が攻めあぐねるわけだ。


とにかく、ここで『長耳』の機嫌を損ねるのはまずい。

敵認定されたらその瞬間死が確定する。


「勇者様。長がお目通り願いたいと申しております」

シオに招かれて集落の中でもひときわ偉そうな家に招かれた。

居並ぶ面々は30代とかその辺くらいに見える。長と言うから年寄りを想像していたけどそうでもないのか。

偉いさん達は僕とチビを値踏みするように見るとおもむろに古ぼけた白黒写真を取り出す。そして、

軍曹(サージ)だ!こいつ生きてやがった!」


ーパッシブスキル:自己防衛


全自動で自分の身を守る奇跡(スキル)によって僕の体が地面に引き倒された。

「うわ!?」

これが発動するということはやばい局面だ。

ついでにぼけっと突っ立ってるチビも引っ張る。直後に鎌鼬のようなものが通過して迷彩服がぱっくり斬れた。

殺意高過ぎ。

軍曹(サージ)!よくものこのこ現れやがったな!」

「親父のカタキ!ぶち殺して皮を剥いでやる!」

「里を燃やしやがって!楽に死ねる思うな!」

怒り狂う『長耳』が全く身に覚えのない罪状を叫ぶ。

「ま、待ってくれ!人違いだ!」

とにかく自分の無実を証明しないといけない。「やかましい!」


ーパッシブスキル:自己防衛


長がぶっ放した散弾が僕の後ろの樹齢100年以上の柱を抉る。

なんて沸点の低い。

僕の周囲はライフルを持った『長耳』に囲まれてる。それに、先端には槍みたいなのが付いてて刺されたら痛いことは間違いない。

「そうじゃ、そうじゃ!わしのオカンも軍曹(サージ)の魔の手に!」

「兄貴も軍曹(サージ)に殺された!たかが『モグラ』100匹ばかりバラしただけで血も涙もねえ!」

「タマ落としてお前が殺した妹の墓前に供えてやる!」

聞けば聞くほど心当たりがない。

そもそも僕は『長耳』と接触するのは今日が初めてだ。

「長、まずは彼の言い分を聞いてみましょう」

沸点低い『長耳』の中から一人冷静なことを言った奴がいた。

「サトー!若造の分際でわしに口答えか!」

しかし、ブチ切れてる相手に理詰めは逆効果で、ブチ切れモードの長は『サトー』と呼ばれた若い『長耳』にも散弾をぶっ放す。

『サトー』は何かの奇跡(スキル)で散弾を止めるとするりと長の懐に入り込み綺麗な背負い投げを決めた。

「ぐ、若造が!」

うめく長から古びた写真をひったくるとサトーは僕に写真を見せる。

古い写真で、何人かの男が並んで映っている集合写真のようだ。

全員軍人なのか、いろんなデザインの軍服を着てるけど統一感はない。

過去にここに来た転生者のようだ。

「これが軍曹(サージ)だ」

『サトー』が指したのは中でも一番ダサい軍服に網を付けたヘルメットをかぶった転生者。僕と同じ日本人顔だけど共通点はそのくらい。「間違いない!黒い髪に茶色の目!間違うはずがない!お前は軍曹(サージ)だ!」

吠える長。

「ぜん、っぜん!似てねえ!」

そして僕も吠え返す。

「てゆーかこの写真で目や髪の色が分かるか!?白黒だぞ白黒!」

長と一緒に吠え立ててた偉いさん連中が『え、そうなの?』的な顔でなんか戸惑ってる。

いや、なんで戸惑うんだよ・・・。

テキトー過ぎるだろ。

「だいたい体の大きさが違うだろ!」

写真を見る限り軍曹(サージ)と呼ばれた男は相当なチビだ。身長は160センチにも満たないだろう。

周りの外人がめちゃくちゃでかい可能性は捨てきれないが、軍曹(サージ)は確実にチビだ。

翻って僕は身長は(四捨五入すれば)170センチの人権ラインに乗る。

「これを見ろ!」

僕は左腕を見せる。自分の意思で動く自分の左腕だ。

対して集合写真の軍曹(サージ)は軍服の袖が垂れ下がってる。

何があったかは知らないけど軍曹(サージ)には左腕がない。

「うぬぬ・・・」

うめく長。

「た、確かに・・・」

周りの『長耳』は冷静になっていく。

よし、もう一押しだ。

「だいたい!白黒写真の時代に成人してる人間が今も生きてるわけないだろ!本物はとっくに寿命で死んでるよ!時代はデジタルだぞデジタル!お前らデジタル時代の鳩時計かよ!」

そして、場が静まりかえった。

勝った。the_Sentinel編完!

「つまり、軍曹(サージ)はもういないってことか?」

冷静になった『長耳』の誰かがぽつりと漏らした。

「ああそうだよ」

僕がそう答えると場は更に静まりかえる。

やれやれ、誤解が晴れて良かった。

これで僕が『長耳』の敵でないことは分かってもらえただろう。

そこまで考えて、ライフルの銃床でこめかみをおもくそ殴られた。

「ザッケンナオラー!」

「スッゾオラー!」

「シャオラー!」

おかしい、無実を完璧に証明したはずなのになんで殴られたんだ?

軍曹(サージ)がいない!?ふざけやがって!だったらお前も死ねや!」

「わしらの復讐を台無しにしやがって!お前も同罪だ!」

「ケツにマイト刺したらあ!」

理不尽すぎる!?

なんだこのチンピラ種族!

理不尽な理由で僕を殺さないと収まりが付かない『長耳』が包囲を狭めてくる。

「や、やめろよ・・・」

こめかみを殴られて視界がチカチカしてる僕は身動きが取れない。

チビのイワンが僕の前に立って長耳を威嚇するけど『長耳』は意に返さない。

そりゃそうだ、足ガクガクになってるチビが何の脅威になるというのか。

「殺してやる、殺してやるぞ軍曹(サージ)

だから人違いだって。

「やめろよ、そいつは軍曹(サージ)じゃないんだろ?なんでひどいことするんだ」

チビの言うことは正しい。

そして、いきり立つ相手に正しいことを言うのは往々にして逆効果になるものだ。

「なんだぁ?このよそもんがぁ!?」

軍曹(サージ)をかばい立てするならお前も軍曹(サージ)だ!」

「ダルマにして孕み袋にしてやろうか!」

チビはいきり立つ『長耳』に捕まって取り押さえられた。

軍曹(サージ)・・・」

「だから違うって」

僕の言葉を見下ろす長は意に介さない。

「お前はただ殺すだけでは飽き足らん」

「そりゃどうも」

「一族の70年の恨みを腫らすにふさわしい死に場所を準備してやるぞ」

一方的にそう告げた長は散弾銃の銃床を振り下ろす。

こめかみに二度目の衝撃が走り僕の意識は闇に沈んでいった。



to_be_continued


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[良い点] とんだ人違いと八つ当たりで、こめかみなどを痛みつけられる理不尽。
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