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迎撃せよ、異世界防衛戦線  作者: ミネアポリス剣(ブレイド)
the_sentinel
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-the_Sentinel- 第七話

-the_Sentinel- 第七話



空中からの落下から一命を取り留めたのはいいけど喜んでる時間はない。

地上から機関銃弾を撃ち込んできた何者かが僕が生きてることに気づいて捜索を始める前に安全を確保しないといけない。

まずはここから離れようか。

「おいチビ、逃げるぞ」

一緒にアルバトロスから落下したチビはすぐに見つかった。

パラシュートが引っかかって木の枝にぶら下がってた。

死んだのか気を失ってるのかは知らないけど人間の目の高さにぶら下がってたら目立ってしょうがないし巻き添えで僕まで見つかってしまう。

木によじ登って枝に引っかかったパラシュートを切ろう。


救援物資の戦闘剣鉈に理力を流し込むと鉈が細かく振動し始めた。

おかげで全く刃が通らなかったワイヤーがサクッと切れる。

すごい便利だ。

「ぎゃっ!?」

チビが落ちた。

どうやら死んでなかったらしい。

地面を転がってのたうち回ってる。

「何すんだ!むぐっ!?」

「おい逃げるぞ」

声を張り上げようとするチビの口を塞ぐ。

ここが敵地だと言う自覚がないのかこいつは。とりあえず敵がいない場所を見繕って『本来の』降下予定地点を目指そう。


ーアクティブスキル:鷹の目


この奇跡(スキル)は敵が赤く光って見える。

よし、全方位赤色があるな。

比較的赤色が少ない方に行くか。



「おい、これからどうすんだよ」

「静かにしろバカ、見つかったらどうすんだ」

声を殺して黙々と、陰を落として粛々と降下予定地点を目指す。

敵はたくさん、対するこっちの戦力は一人とチビ。

武器は拳銃一丁に手榴弾。

まともに戦えば、ていうか勝負にならないから見つからないように逃げるしかない。

梅干し綾子のタブレットを口に放り込む。

強烈な酸味で唾液がドバドバ出てきた。

喉の渇きをごまかすのにこのタブレットは覿面に効く。

今一番頼りになるのは梅干し綾子なのは間違いない。

「あ、ちょっと待ってくれよ」

チビがまたどこかに引っかかったらしい。

全く知らない場所で、通りやすい道を使えないからこいつに文句言ってもどうにもならない。

ジークフリートのおっさんがいれば『制地』の奇跡(スキル)で敵の位置から地形、安全なルートを見付けられたんだろうけど。

戦闘剣鉈で引っかかってる蔦を切ってやる。

「あ、取れた」

手間のかかるチビだ。

追いつかれるようならこいつは捨てていこう。「さっさと行くぞ」

踏み出した足が何かに引っかかるとガラガラとけたたましい音が鳴り響いた。

マジかよ、鳴子が仕掛けてあるのかよ。

「何やってんだよ!」

チビが文句言ってくる。

「うるさい!逃げるぞ!」

鷹の目の奇跡(スキル)は生物と、生物が持つ敵意を判別するには便利だけど、意思を持たない無生物、こういうトラップを見付けることは出来ない。

僕は悪くない。


ーパッシブスキル:自己防衛


全自動で地面に伏せた直後に頭上を銃弾っぽい何かが掠めた。

「ひいっ!?」「頭下げろ!」

僕の動きにチビも慌てて頭を下げる。

完全に見つかった。

赤色が発砲しながら包囲を狭めてくるぞ。

すぐに逃げたいけど頭を上げたら撃たれるから頭を上げられない。

這って逃げても大して移動は出来ないからここで応戦するしかない。

拳銃に、消音器を付ける。


ーカシュッ、カシュッ


赤色目がけて銃を撃つと一瞬赤色の動きが止まって、今度は遮蔽物を盾にジグザグに動きながら進み始める。

弾を無駄にしただけだった。

「ああもう!」

チビに手榴弾を一個渡す。

「この野郎!」

そしてチビはピンが付いたまま手榴弾を投げた。

爆発しないのを訝しみながら赤色は前進を再開。

「馬鹿野郎!何やってんだ!」

捕まった時すぐ死ねるよう自決用に渡した手榴弾を投げるやつがあるか。

こうなったら残るは梅干し綾子だ。

持ってる奴は全部食べよう。

抱え落ちは良くない。

だめだ。

酸味が強すぎて一度に三粒が限界だ。

もう打てる手がない。

敵のシルエットが見えてきた。人間っぽい。

防弾チョッキにフェイスマスクにヘルメットで顔つきはわからないけど装備を見る限り旅団(味方)とは違う。

そもそも味方なら撃ってこない。


ーパパパ


向かってくる敵に拳銃を向けようとしたけど自動小銃の弾を足の間に撃ち込まれたので拳銃を置いて手を上げるしかない。

もう数センチずれてたら女の子になってた。

射撃の腕はあっちが上だ。

完全に身動き取れなくなったところで同じ格好の一団に取り囲まれた。

「立て」

仰せのままに。

「放せ!放せよ!ぎゃっ!?」

無駄な抵抗したチビが自動小銃のストックで殴られて気絶した。

こいつ全く戦力にならないな。

僕は賢いから無駄な抵抗はせずに武器を放り投げて両手を上げる。

「お前、所属は?」

フェイスマスクが聞いてくる。

別に守秘義務とかはないので正直に答える。

外人部隊(レジオン・エトランジェール)緋本原(ひほんばら)支部です」

正直に言ったのに銃のグリップで殴られた。

「てめえ渡来人(とらいじん)かよ!紛らわしい面しやがって!嘗めてんのか!?あぁ!?」

しかも理不尽に怒られた。

めっちゃ甲高い巻き舌で。

そうやって人の身体的特徴をあげつらうのは人間として恥ずべき行為だと親に教わってないのか?

そもそも、僕が原住民に似てるんじゃなくて緋ノ(ヒノモト)の住人が日本人(ぼくに似てるんだぞ?

僕は悪くない。

「まあいい、お前の雇い主を言え」

気を取り直してフェイスマスクの二度目の問い。

「申し訳ないですがそれはお教え出来ません」

雇用主の情報は守秘義務あるから仕方ないね。後でゲロしたのがバレたら仕返しが怖いからね。

ケツの穴にダイナマイト突っ込まれるのは嫌だからね。

フェイスマスクのパンチが僕の鳩尾に突き刺さった。

「がっ!?、ごほっ!?」

息が詰まった。

やばい。

「もう一度聞くぞ?雇い主は誰だ?」

うずくまってたのを無理矢理起こされて耳元でささやかれる。

緋本原(ひほんばら)支部に問い合わせてください」


ーパンッ


やべえ、銃弾が顔の横を掠めた。

「強情張ると次は指を飛ばすぞ」

右手の親指に拳銃の銃口が押しつけられた。

これはまずい。

なんとかここから逃げないと指を飛ばされてしまう。

こういうときに限って『自己防衛』の奇跡(スキル)は発動しない。

全自動で自分の命を守るんじゃなかったのか?

どういうことだ?

ていうか、なんで死ぬかもしれない状況で顧客の情報なんか守らないといけないんだ?

ゲロした後の報復は怖いけどゲロしなかったら今殺されてしまう。

それなら今生き残ることを考えた方が建設的じゃないのか?

そうだ、そうしよう。

『帳簿係』は文句言ってくるだろうけどそれは生きていたらの話だ。

今生き延びないとどうにもならない。

僕は今なんだ。

「わ、わかりました、知ってることを教えるので命は助けてください」


ーパーン!


銃声。

それは僕に向けたものではなかった。

僕を締め上げていたフェイスマスクの頭がはじけて地面に倒れた。


ーパッシブスキル:自己防衛


遅まきながら発動した奇跡(スキル)で全自動で回避行動を取る。

今度は何だ?

音からして自動小銃よりもっと射程の長い武器のようだけどそれ以外は分からない。

「長耳だ!総員退避!退避!」

指揮官らしいフェイスマスクが後退を指示してフェイスマスク達は後退。

後退するフェイスマスクを追い立てるように銃声が響いて木の幹に穴を開ける。

ほどなくフェイスマスクはいなくなって静かになったけど頭を上げるのは大分怖い。

さっきの銃撃は正確にフェイスマスクの頭、それもバイザーの部分を打ち抜いていた。

つまり人間の頭くらいの大きさの的は狙って当てられるということだ。

だからなんとか這いつくばって動けるだけ動くしかない。

さっき撃たれたフェイスマスクの自動小銃をひったくって抱きかかえて、それからどうするか考えてたらなんか木の葉っぱの山に取り囲まれていた。

どうしようかこの状況。


ーアクティブスキル:鷹の目


反応は、青。

敵じゃないらしい。よかった。

安心したところで葉っぱの山が起き上がった。どうやら葉っぱの山はカモフラージュだったらしい。

中から出てきたのは、緑色の服に緑色のフェイスペイントを付けた若い娘だった。

10代半ばくらいか。

すらっとした手足にほどよく肉の付いた体。

山の斜面をよく移動しているからか腰回りはしっかりとした印象がある。

それになにより、とがった長い耳、いわゆるエルフ耳という奴か。

さっきフェイスマスクが言っていた長耳というのはこのことだろうか?

そうこう考えていると、長耳の娘は片膝をついた。

「お待ちしておりました勇者様。私どもの集落へご案内いたします」

なんか妙なことになったな。



to_be_continued


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― 新着の感想 ―
 鳴子、漏電リスクなしで使えるうえ、スキルありきな手合いのメタになりそうで、型にはまれば有用そうですね。 そして金的寸前射撃、反抗心削ぐには効果絶大のようで……。
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