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迎撃せよ、異世界防衛戦線  作者: ミネアポリス剣(ブレイド)
the_sentinel
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-the_Sentinel- 第二話

-the_Sentinel- 第二話



緋ノ(ヒノモト)での生活にはそこそこ慣れたと思う。

集落同士の抗争から外来種の駆除、輸送トラックの護衛、何かやるたびに死にかけたけど僕はまだ生きている。

今回受けた任務(クエスト)は山中に出没した小鬼(ゴブリン)の駆除だった。

「ジークフリートさん。お願いします」

「では」


ーアクティブスキル:制地


同期で行動を共にしているちっこいおっさんが使った奇跡(スキル)で周辺の地形から障害物、トラップ、そして駆除対象の潜伏する洞窟の場所が分かる。

そしたら僕はおっさんが指示する洞窟にゆっくりと近づいて奇跡(スキル)を発動


ーアクティブスキル:鷹の目


この奇跡(スキル)によって洞窟内の敵の位置が分かる。

自分と敵対している対象が赤く光って見えるからだ。

さらには暗闇でも明かりなしで見えるようになると言うおまけ付き。

だからこの後の処理は楽なものだった。

まず、見えづらいように秘匿されていた横穴に黄燐弾を投げ込む。

「ギャアアアアア!」

背後から奇襲を仕掛けようとしていた小鬼(ゴブリン)が飛び出してきたので、銃身を切って取り回しやすくした散弾銃をぶっ放す。

赤い光が消えた。確実に倒した。

「グゲ!?ゲゲグ!?」

赤い光が移動、銃声を聞いた奥の小鬼(ゴブリン)が近づいてくる。

曲がり角にさしかかるタイミングで閃光弾を投げる。

小鬼(ゴブリン)は暗闇がよく見える。

その分強い光にはめっぽう弱い。

というのを外人部隊の戦術指南書に書いてあったけどその通りだった。

目を押さえて動き回る醜悪な緑の生き物に散弾を撃ち込んで倒していく。

あとはこれを繰り返して奥にいる親玉を倒せばいいわけだ。

小鬼(ゴブリン)は厄介な相手とされているけどそれは閉所や暗所で奇襲を受けるから厄介なだけだった。

僕の『鷹の目』やおっさんの『制地』は奇襲を受けないことに特化した奇跡(スキル)だからその部分は脅威ではない。

「ギギッ!」

そして、奇襲を受けなければ人間の子供ほどの大きさの小鬼(ゴブリン)に人間様が負けるはずがない。

そのまま最奥のボスを倒して終わり。報奨金で銭湯に入ろう。


「brrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr」

「え?」


最奥のボスはボスと呼ぶにふさわしい体格をしていた。

緑の肌と不細工な顔は小鬼(ゴブリン)そのまんまだけど身長が違う。

人間様が見上げないといけないくらいでかい。でかいし、ごつい。

鉄板仕込んだみたいな胸筋に腕なんかぶっとい血管が浮き上がってる。

あの腕に殴られたら顔面粉々になってしまう。

いやだが待て落ち着け、僕の手には散弾銃がある。人間が発明した英知の武器だ。

これは人間が人間よりごつい相手に勝つために作り出した文明の利器だ。これがあれば体格の不利など不利のうちに入らない。

僕は迅速に散弾銃の銃口をボス小鬼(ゴブリン)に向ける。

「いて!?」

そして引き金を引く前に何かにぶつかって弾き飛ばされた。

散弾銃を弾いたのは大きく太く大雑把な鉄塊。束ねられた6つの筒と帯のように連なった弾丸。

「大砲を持ってるぞ!」

戦略的撤退!

外で待つおっさんに通信を送ると僕は閃光弾を投げて洞窟の入り口に突っ走った。



「フウクヤママサハル!!」

僕の背後からボス小鬼(ゴブリン)の怒号。

次いでモーターの駆動音がして洞窟の奥から赤い線が飛んできた。

怒り狂ったボス小鬼(ゴブリン)がガトリングガンをぶっ放した。

閃光弾のおかげでこちらが見えていないのか弾丸は見当違いの方向に飛んでいる。

そんなので当たるわけがない。


ーパッシブスキル:自己防衛


やばそうになったときに自動で身を守る奇跡(スキル)が発動して地面に転がった。

発動直前に僕の頭があった場所の石が削り取られていた。

「うわああああああ!」

ボス小鬼(ゴブリン)が閃光から立ち直って狙いが正確になってきた。

僕は『自己防衛』に身を任せて洞窟を転がりながら上っていくという奇妙な体験をする羽目になった。



「あんなの持ってるなんて聞いてないぞ!」

「私もです!」

今のままでは勝てない。

僕は武器を失って丸腰だし、おっさんは戦闘面はそこらの小学生に負けるレベルだ。

「メルセデスまで退却しましょう!」

「賛成!おいチビ!機関銃の準備しとけ!」

メルセデスというのはおっさんが買ったジープのことだ。

あそこには武器を置いてある。

もっとも、そのまま逃げた方が良さそうだけど。

ガトリングガンの銃声に追い立てられるように斜面を転がり落ちると僕らのジープ、メルセデス号があった。

「おい!何があったんだよ!?」

ジープの屋根から身を乗り出したのは赤毛の子供、イワンだった。こいつも僕やおっさんと同時期に転生してきて、何度か一緒に任務(クエスト)をこなした腐れ縁の仲間だ。

「あいつを撃て!」

僕はイワンにボス小鬼(ゴブリン)を指さす。

イワンは一瞬遅れてメルセデス号の屋根に付けた機関銃を撃つ。

撃った弾は見当違いの方向に飛び、ボス小鬼(ゴブリン)は気にせず進んでくる。

「ああもう!」

おっさんが運転席、僕が助手席に座って車のエンジンがかかる。

一時撤退、作戦を立て直す。

しかし敵はそれを許してくれない。

僕らの逃走ルートをどうやってか先回りして車の前方に降ってきた。

これはまずい。

道が狭くて切り返しも出来ない。

「つかまって!」

おっさんがアクセルを全開にしてメルセデス号をボス小鬼(ゴブリン)にぶつけた。

いい判断だった。

ボンネットを受け止めるために両手をガトリングガンから放したことで蜂の巣になるのは防げた。

「押し返される!?」

でもそこまでだった。

ボス小鬼(ゴブリン)のパワーは車のエンジンを押さえ込んでいた。

じりじりと車体が後ろに下がっていく。

おっさんがアクセルを踏むけど前輪を持ち上げられてしまった。

「チビ!銃をくれ!」

このままではまずい、とにかく反撃しないと。「銃ってどれだよ!」

「何でもいいからこっちによこせ!」

後部座席で半泣きになっているイワンから銃をひったくる。

旅団正式採用の一式自動小銃だ。

センスのないチビだ。狭い車内で長い銃が役に立つか。


ーパッシブスキル:自己防衛


自動で奇跡(スキル)が発動して僕の首があった場所を緑の腕が通過した。

「きゃっ!?」

そのまま後ろにいたイワンが車から引っ張り出された。

「イワン君!」

イワンを引っ張り出したボス小鬼(ゴブリン)はさらに力を込めるとメルセデス号を横倒しにひっくり返した。



ああもう、踏んだり蹴ったりだ。

「こちら側への追撃はないようですよ」

それが救いと言うしかない。ジェームズボンドだって死ぬのは二度までだ。

『鷹の目』と『制地』でボス小鬼(ゴブリン)の場所を探す。

メルセデス号から遠ざかっている。

「イワン君を追っているようです」

僕らからは興味を失ったようでよかった。

あのチビが囮になっている間に逃げる時間が出来た。

「じゃあ行ってきます」

「気をつけて」

横倒しになった車から這い出す。

おっさんから追加の武器を受け取る。

「全く世話の焼けるチビだな」




「一直線に追うのは危険です。迂回して背後から攻撃できるようにしましょう」

「了解、経路を指示してください」

おっさんが制地の奇跡(スキル)で追跡のための経路を割り出す。

林の間を抜ける。道沿いの開けた場所で戦っても勝ち目は薄い。

どうにか奇襲をかけて一発しかない無反動砲を撃ち込む他ない。

それを失ったらあとは自動小銃と擲弾筒が弾倉一つ分だ。

「イワン君の動きが止まりました!急いでください」

急いでるって。

もう少し、慎重に進まないと。目標に近づくほど見つかる確率は上がる。見つかったら終わりだ。

見えた。

イワンのチビは壁際に追い詰められていた。

「く、くるなぁ!」

涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにして石を投げて抵抗している。

ボス小鬼(ゴブリン)は一切意に介さない。

「こ、こないで・・・あっち行って・・・」

最後の威勢がなくなったところで緑の外来種はイワンに覆い被さる。

「い、いや・・・うああああっ」

とっさに頭を庇った手をボス小鬼(ゴブリン)がひねり揚げる。

「痛い痛い!」

関節にかかる激痛にイワンが泣き叫ぶのを見て緑色の不細工な生き物が満足そうに汚い笑いを漏らす。

その不細工な背中に僕は無反動砲を叩き込んだ。

「がああああああああああ!?」

背中をふっとばされたボス小鬼(ゴブリン)は悶絶しながら犯人を捜す。

「よお不細工野郎」

続いて腹に擲弾筒をぶち込む。

仰向けに倒れたボス小鬼(ゴブリン)は犯人である僕に恨みがましい目を向けてくる。

その頭に一式自動小銃の弾を全部撃ち込んでやった。

敵対を示す赤い光が消える。完全に死んだ。

思わぬ労力がかかったけど、これで任務(クエスト)は達成した。



「達成したはいいけど、これ元取れますかね?」

「シャーシが痛んでなければあるいは」

小鬼(ゴブリン)討伐の報酬は安い。

そして武器、弾薬は自前のことが多く今回もその例に漏れない。

だから持ち出し分は報酬からさっ引かれることになる。


損失:

・ジープ:中破

・車載機銃:1

・無反動砲:1

・散弾銃:1

他にも壊れた武器なんかがあるかもしれない。

よくてトントン、赤字かもしれない。

「はぁ、こんなことなら追加報酬の話しとけばよかった」

いつもの小鬼(ゴブリン)駆除と思って油断してたのがまずかった。

「まあ、歩いて帰らなくていいのでよしとしましょう」

メルセデス号は損傷はひどかったけど自走は出来るということだった。

ほんとにそれだけは救いだ。

「な、なあ!無線に通信!外人部隊から!」


緊急任務(クエスト)北千練島(きたちねりとう)を攻略せよ


僕はこの後、この任務(クエスト)を受けたことを後悔することになる。



to_be_continued


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― 新着の感想 ―
なんだかんだでDQNから腐れ縁の仲間に格上げされてるイワンしゃん。 そしてゴブリンの怒号ふくめ、今回も面白かったです。
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