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迎撃せよ、異世界防衛戦線  作者: ミネアポリス剣(ブレイド)
the_sentinel
19/53

-the_Sentinel- 第一話

刃と翼編が一段落したので異世界防衛戦線本編に戻ります。

刃と翼編から10年後が舞台になるので、刃と翼編の登場人物も出てきます。


難攻不落の島、北千練島を主人公たちが攻略していく話になります。

-the_Sentinel-



北千練島(きたちねりとう)


緋ノ(ヒノモト)の悲願である地方進出を阻む障壁として現れた小島の名前だ。

国仲地方、軍港都市暮から南、新大陸、紫国(しこく)への航路の間に存在するその島の通過を試みた船舶が多数喪失している。

「油槽船2、揚陸艦1、護衛の駆逐艦2隻喪失、3隻が中破以上の損傷を受けていますね」

これは今月「だけ」の数字であり、南方への進出開始は半年前から行われている。

最初期はここまでではなく、せいぜい海賊行為を行う原住民や政府軍の軍艦、侵略的外来種との散発的な戦闘にとどまっていた。

このとき迅速に手を打っていれば違ったのかもしれないが、『たかが』海賊行為を行う原住民や政府軍の軍艦、侵略的外来種との散発的な戦闘『ごとき』の『よくある小競り合い』から現在の状況を予測するのは小競り合い慣れしすぎた(くれ)旅団の頭脳では不可能だったしそのことを今更言ってもどうにもならない。

「このままいくと被害はさらに増加すると予想されます」

(くれ)旅団首脳部にとってこのことは緊切な大事だった。

紫国(しこく)には既に多くの企業が新たな土地の新たな資源を求めて橋頭堡を築きつつある。

(くれ)旅団はそれらの企業の支援、シーレーンの維持をもって企業の信頼を勝ち取り、対価として企業が生産する物資、兵器をもって企業を守る。

この二人三脚の関係によって勢力を伸ばしてきた。

このまま物資の輸送が滞り、企業が進出を断念する事態になれば旅団にとっての損失は甚大だ。

兵隊の損失は港で攫えばどうとでもなる。

だが失った企業からの信頼を取り戻すのは困難だ。

「とりあえず、対策を立てないといけませんね」

四角い顔に渋面を作りながら旅団首脳部に向き合う横田少佐はその進出中の企業、緋本火砲技研から旅団に出向している立場の人間だった。

横田と同じ少佐の階級章をつけた士官達も同様の渋面でうなずく。

地方において、企業から旅団に人材が派遣されることはよくある。

主な役割としては、企業が提供する兵器の教育係とかそういった役割になる。

ちなみに、彼の学生時代の同期の東城も同じように出向して大体同じ任務に従事している。

そして、主ではない役割というのが、企業が不利益を被った際に旅団のケツ叩きを行うというものだ。

「少佐達の言い分は分かる・・・」

旅団指令部の煮え切らない返答には理由があった。

紫国(しこく)への輸送の滞りを察知した政府軍の艦隊が近海で挑発行動を行うようになったのが理由だ。

本来であれば空母、戦艦を含む艦隊で砲爆撃を行い、島を『撃沈』することが信頼を与る企業へのスジの通し方だろう。

だが、政府軍の挑発行動によって艦隊の動きが押さえ込まれてしまっているのだ。

「クソ、あいつら」「税金ドロのクズどもが・・・」「島を沈めたらサメの餌にしちゃるぞ」


二重行政。


地方と政府の仲は非常に悪い。

そもそも、地方に対する見解が旅団と政府軍で根本的に違うのだ。

地方への勢力拡大、これは旅団の悲願、というより存在価値の全てだった。

地方に進出したい臣民のために安全を提供するために編成したのが旅団であり、その理念は軍閥化が進み政府と対立した今も変わらない。

一方で、政府軍は地方への進出には消極的だった。

理由は一つ。地方で旅団が企業を抱き込んで軍閥化することが気に入らないからだ。

しかし、今となっては企業を抱き込み力を伸ばした旅団を力で押さえつけるのはもはや不可能。

だから密漁や海賊行為による通商破壊といった嫌がらせに終始しているのが今の政府軍の実情だった。

そして、ここに来て北千練島(きたちねりとう)の問題だ。

政府軍は大喜びで艦隊を出して挑発行動を開始したというわけだ。

このまま(くれ)の主力艦隊を押さえ込んでいれば自滅を誘えるとでも考えたのだろう。

あるいは政府軍もこの件にがっつり噛んでるかもしれないし会議中のメンツは誰一人として政府軍の関与がないとは思っていない。

ついでに言えば、この件が片付けば政府軍の艦隊は(くれ)の全戦力をもって拠点ごと殲滅する、と言う方針だけは会議開始10秒で全会一致で決定している。


ともあれ、艦隊をうかつに動かせない今、補助艦艇とありものの戦力で事態を納めなければならない。


方針は二つ。 


一つは北千練島(きたちねりとう)を迂回する航路の開拓。


これはすでに(くれ)旅団が動いているがその進みは遅い。

まず東側の航路についてだが、政府軍の潜水艦の妨害により測量艦に損害が出ている。

政府軍の勢力が及ばない西側の航路についても複雑な海流と外来種の遊弋によって安定した航路にはならないという状況だ。


ここで焦点となるのがもう一つの方策、少数精鋭による北千練島(きたちねりとう)の攻略。これを軸に企業、旅団が知恵を出し合うことになる。

「現状戦艦が使用できない以上艦砲による撃沈は出来ないでしょうね」

横田が戦艦にこだわる理由は、北千練島(きたちねりとう)に存在する二重の防衛機構が原因だった。

一つは北千練島(きたちねりとう)周辺に渦巻く乱流と、乱流内部に潜伏する外来種の存在だ。

これらのせいで駆逐艦クラスの艦艇は火砲の射程内まで接近出来ない。

海路からの制圧は現状不可能だ。

次に航空機による接近はどうか?

こちらも島上空に展開された『結界』によって接近が不可能だった。

おそらくは、島に渡来人(てんせいしゃ)転生(リスポーン)したものと横田は予想する。

「いや、渡来人(てんせいしゃ)にはあの結界は作れん」

そう言ったのは横田と同じ少佐。

この男は元々漁師だったが、漁船『海燕丸』を駆り政府軍の艦艇を多数撃破、拿捕した功績によって(くれ)旅団に引き抜かれた経歴があった。

この男は漁師時代に渡来人(てんせいしゃ)を雇っていた頃の経験を話す。

渡来人(てんせいしゃ)奇跡(スキル)と呼ばれる異能をもって異世界から送られてくる『人間』だった。

そして、人間であるがゆえに、人間と同じ特徴を持っている。

人間であるから腹も減れば眠くもなり、排泄も必要になる。

だから、短時間ならともかく常時結界を展開するのは渡来人(てんせいしゃ)では不可能。

「ではあれは自然発生していると?」

横田の反論に返答したのは旅団の士官、この男は先だって被害を受けた船団の生き残りだった。

「いや、あれは奇跡(スキル)で間違いないで」

艦隊の生き残りは、残存艦が残した映像記録をプロジェクターで映す。

駆逐艦の砲撃が結界に防がれ、海流が絡みつくように船団に襲いかかる映像。

「明確に船団を認識していますね」

自然現象ならこうはいくまい。

「それもじゃがな、実は手土産もあるんじゃ」

船団が壊滅寸前になった時、駆逐艦『鳴瀬』が放った力場、船団を守るように展開した魔方陣により結界が解除された。

海流の拘束から解放された船団は速力を上げて海域から離脱した。

「これは?機動祭壇?」

横田はこれに見覚えがあった。

機械とプログラムによって人工的に奇跡(スキル)を発生させる装備、ベルンハルト財団が旅団に売り込んでいる商品だった。

(くれ)旅団も試験的に導入していたと言うことか。

局地結界(キルボックス)っちゅう奇跡(スキル)らしいで。これで10分そこら結界を無力化できた。使うまでは半信半疑じゃったがな」

説明する士官の目からは闘志がみなぎっていた。

やられたままで泣き寝入りすると言う選択は(くれ)の男には存在しない。

「こいつで結界を無力化してその間にアルバトロスで空挺部隊を突入させる」

突入したらやるべきこと、

・結界の発生要因の特定と解除

・通商破壊を行う勢力の捜索および撃破

だが、島の内部には未知の部分が多い。

渡来人(てんせいしゃ)を連れていけや」

漁師上がりの少佐が提案する。

過去に雇った渡来人(てんせいしゃ)にツテがあって連絡を取ると提案した。



こうして、渡来人(てんせいしゃ)の冒険者ギルド、外人部隊に緊急任務(クエスト)が回ってくる流れとなった。

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― 新着の感想 ―
たかが・ごときで片付ける気になれるか怪しい域の結界が使われてるんですね……。
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