朝陽が昇った日-第一話:into the dark-
今回の話は教官:東城護と敷島朝陽の出会いの話になります。
異世界の技術の研究機関、ベルンハルト財団の若き研究員、東城護は『人造渡来人計画』の被検体を求め、ある山村へと足を踏み入れていく。
『渡来人』
我々の世界、『緋ノ本』と異なる世界から渡来した我々とは異なる人類。
彼らは我々にはない能力を携えて『緋ノ本』に転生する。
・摂理を捻じ伏せる『奇跡』
・自身の身に超人的な力を得る『祝福』
・これらを内包する武具『神器』
時代を変え、歴史を変える超常の能力。
我々の祖先は『渡来人』を畏れ、ときに敬いながら共存してきた。
今は、そして我々は違う。
―奇跡も祝福も人間のためにあるんや。人間に使えない道理はあらへんで。
ベルンハルト財団創始者にして我々の雇用主、渡来人ベルンハルトによって打ち出された『人造渡来人計画』により、我々は奇跡に挑む事となったのだ。
ベルンハルト財団:ある研究員の回想
これまでの研究により、『渡来人』が持つ『奇跡』『祝福』の根源となる力の存在が解明された。
それが『理力』だ。
名前の由来はある渡来人が使った単語をそのまま使っているだけなのだが、『理』に作用する『力』と考えればあながち的外れというわけでもあるまい。
名前の由来となった渡来人の世界では、この理力によって未来を見たり金属の筒から光の刃を出したりするそうだ。
話を戻そう、この『理力』というものは『渡来人』ではない『緋ノ本』の人間似も備わっていることがこれまでの調査でわかっている。
つまりは理論上は『緋ノ本人』も『奇跡』を使うことは理論上可能なのだ。
しかし実際にはそうはなっていない。
なぜか?
これについても調査の結果2つの理由が判明した。
・ほとんどの『緋ノ本人』は生成できる理力が『渡来人』に対し圧倒的に少ないこと。
・『理力』を動かし、制御するための回路とも呼べる器官、『龍脈』が退化してしまっていること。
この2つだ。
これにより『人造渡来人』への着地点は見えたと言っていいだろう。
極稀に生まれてくる強い理力を生成できる『緋ノ本人』に、人工的に『龍脈』を彫り込むことで『理力』を制御できるようにする。
これの検証をするために強い『理力』を持つ被検体が必要なわけだ。
財団で志願者を募集したら思いの外志願者は多かったよ。
ベルンハルト総帥の金払いの良さの賜物だな。
おかげで重要な気づきを得た。
現在の技術では、成人への『龍脈』の施工は負荷が大きいということだ。
理力を使わない生命活動に肉体が定着してしまって拒絶反応でほとんどが死んでしまうということだな。
死なずに済んだ君は運がいいが、君が生成できる『理力』の量から海を割ったりするような大掛かりな『奇跡』は起こせはすまい。
気の毒だが割に合わない成果と言う他ないな。
ともあれ、君を含む多くのデータのおかげで被検体には成人する前、だいたい12歳以下の雌性が好ましいことがわかって来たわけだ。
しかし、ここまで条件が絞り込まれると志願者はなかなか集まらないものだ。
特に都市部では条例やらなんやら因縁をつけて警察が出張ってきて研究が妨害されてしまうからな。
こないだ捕まったときは鼻薬で余計な出費を強いられてしまったよ。
だからこうして警察がめんどくさがって出てこない山奥の寂れた村に足を運ぶ羽目になったわけだ。
都会人の君には楽しくないだろうが辛抱してくれ。
新発明の理力評定機『イーグルアイ』が非常に高い理力を検知したからな。
先方に連絡を取ったところ、ポルターガイストを起こす少女を匿っているらしい。
その少女を譲ってもらおうと言うわけだ。
またガセかもしれないって?
そうだとしても今回は無駄足にはならないよ。『イーグルアイ』の精度が実用に足るものではなかったという結果は確実に残るからな。
おっと、話し込んでいたらそろそろ目的地だ。
取引先と会うのは日没後だな。なんとも、妙な時間を指定してくるものだ。
なに?昼間は農作業してるから妥当な時間だって?
君は山村の出身なのか?祖父が農家の出?だから訛りが汚いのか。
さて、準備にかかろう。
いつものように取引先との折衝は君がやりたまえ。
現金3億縁を入れたジュラルミンケースと、あとは小切手だ。相手がゴネたらこれを出したまえ。15億までは用意があるぞ。
それでだめなら、そうだな、君の懐の六連発銃を使ってみてはどうかな?
数百グラムの鉛で片がつくならそれが一番安上がりだ。
あとは無線と小型マイク、これは携行型の『イーグルアイ』だ。この車に積んでるものより検知範囲は狭いが持ち運びが可能だぞ。実働データは自動で記録されるから必ず使用して必ず持ち帰ってくれたまえ。
では、我々は村の外れで待機する。何かあったら連絡してくれ。
吉報を期待しているぞ、『東城研究員』
To_be_Continued.




