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28、ごくごく普通な親子関係に憧れる

 手を放してもらえないまま、むしろがっちり捕まっているように手をつないでわたし達は歩いてラボア様の執務室のある宮の前まで来ると、師匠は突然立ち止った。何かを探すように辺りを見回すので、わたしとしては魔石から勝手にクロヴィスが出てきていて師匠に見つかったのかと思えて、身がすくむ思いがした。中庭とはいえここは王の庭(パレス)の敷地内なので、さすがに冷や汗をかく。見つけられませんようにと願いつつ目で白鷺を探すと、木の上にも建物の影にもそれらしい影は見つからない。

「呼び方も変えていきますよ? 婚約するのですからもう師匠とは呼んではいけません、」

 なんだ、そんなこと。

 ほっとしたのもつかの間、師匠は楽しそうに囁いてきた。

「子供の頃、母親からベニーと呼ばれていました。ビアには、愛称呼びを許します。」

 そっと小さな声で話し始めた師匠の声は、大切なことを打ち明けるような躊躇いがあるのに、内容がわたしには不必要な事柄に思えて、許してもらわなくても結構ですと言ってしまいそうになる。師匠はまだ師匠だとしか思えなくて、現段階で恋愛感情がないのに気持ちを切り替えて愛称で呼べなんて無茶だわ、と思ったりもする。

「練習しますか?」

「結構です。」

「即答しなくてもいいですよ?」

「大丈夫です。」

「婚約する関係に見えるように、歩み寄ってほしいですね、」

「これまでも仮の婚約関係だったらしいですよ?」

 他人事みたいに言ってみる。

「これからは仮ではないですよ?」

 師匠はにっこりと微笑んで、手をつないだままのわたしの手を持ち上げて、手の甲に口づけた。

「な、な…!」

 何をするんですか、と言う言葉すら、師匠の顔を恥ずかしすぎて見れなくて言えない。

「私の印です。呼んでくれないのなら、仕方ありません。」

「つけなくてもいいです、印、」

「では、ベニーで。いいですね?」

「呼びます。ベニーですよね?」

 手を放してもらって帰りたい…。顔が真っ赤になっているのも、手の甲に口づけられたのも、全部洗い流してしまいたい。

 恥ずかしくて俯いたまま、顔を門番たちにじろじろ見られている気がしながら宮へと入る。先導する侍従も兵士もいないので、廊下にはわたし達の歩く足音だけがヒタヒタと静かに響いていた。


 ※ ※ ※


 開けっ放しのドアを師匠が手の甲で叩いて、中から聞こえてきた閣下の代理の返事に入室を許可されて、執務中のラボア様の執務机の前まで向かう。閣下はラボア様の後方で、窓を背に立っていた。白いカーテンが風に揺れている。

 眩しそうに目を細めてラボア様がわたし達を観察している様子なのに、師匠は手を放してくれない。もはや捕まって刑を言い渡されるのを待つ捕虜な心境だ。

「ビア、久しぶりだな?」

 艶のある赤茶色の髪を細かく編み込んで肩にいくつもたらした頭や、胸もとのボタンをいくつか外しているとはいえ皺ひとつないシャツを着ているラボア様は、濃い緑色の目の下に今日もクマがはっきりある。身の回りのお世話をする者たちに治癒師(ヒーラー)がいないとは思えないので、世話を焼かれる以上に体を酷使していそうな気配だ。偽りではなく本心から楽しそうな声で声をかけてもらえたので、わたしは歓迎されているのだと判る。

「お久しぶりです、ラボア様、」

 ラボア様、御多忙なのに、お時間を割いてくださってありがとう。敬意の気持ちの表れとして、自然に頭も下がる。

「仲がいいな、バンジャマン卿。」

「ありがとうございます。」

「何回目だ?」

「これで最後になると思います。」

「ほう、それは楽しみだ。」

「ええ。」

 得意そうな師匠よりも、短気な閣下のおかげじゃないかなと思えたのは、当事者の自覚が薄いからだ。

「よし、立ち合えばいいのか?」

「はい。」

 師匠とラボア様は楽しそうに含み笑いをしながら、話を進めていく。

「隣室にお待ちだぞ、」

 ラボア様の声を合図に、パンパンと閣下が手を打って鳴らした。

「ああ、来たんですか、」

 師匠の言葉に、閣下が淡々とした表情で頷いている。


 声もなく頭を下げた侍従を先導に、滑らかに光沢のある灰色のマントを羽織り品のいい明るい灰色のジャケットに、白いシャツの胸元にタイをつけ、深い暗灰色のズボンを穿いた壮年の男性が開け放たれていた隣室から部屋へと入ってきた。廊下には警備の兵士が増えている。師匠の実父のランベール侯爵だ。

 額を見せて撫でつけた白銀髪の背の高く恰幅の良い男性は威圧感というよりは高貴さのある威厳があって、宰相の正装というよりは一貴族の私的な儀式における正装に見えた。

 わたしの軽装だけどう見ても場違いだ。裏を返すと、ここにいるわたし以外の誰もが婚約式があるのを前提な格好をしているのでは、と思えてきた。


「これはこれは、よく来たな、侯爵。」

 ラボア様が手にしていた筆記具を机に置いた。

「ラボア様にはご機嫌麗しゅう。スタリオス殿、お心遣い感謝します。」

 ランベール侯爵家とマルルカ公爵家は親戚関係にあるので、実質、ラボア様とも親しい関係にある。

「忙しいところ呼び出して済まなかったな、侯爵。これからここで、他国における我が国の魔法使いを手助けする役目を担う者たちの婚約式を執り行うのだが、立ち会って行かれてはどうだろうか。」

 ラボア様は師匠の実父に当たる人に不思議な言い方をするのね、と思っても、口には出さずに見守ってみる。

「我が国民の力となる者の新しい門出を祝う場に立ち会えるとは光栄ですな、」

 しらじらしいまでに他人行儀なランベール侯爵は、わたしと手をつないだままの師匠を見やった。

「なかなかに初々しいふたりですな。私の知っている男は、もう何度も婚約式を経験しておりましてな?」

 カッカッカと笑い声が聞こえてきそうな陽気さだ。

「もう何度も無駄に名を書かされたので、しばらく立会人として署名はせぬつもりです。そうそう、結婚式になら呼んでくれとも伝えてあるのですよ、」

「そうか、ならば今回は私が立会人として名を書こう。」

「恐れ多いことでございます。よかったな、侯爵殿、」

「ラボア様のお心の広さに感服いたしてございます。」

 閣下とランベール侯爵が恭しく頭を下げたので、わたしも何となく師匠に倣って頭を下げてみた。


「これへ、」

 閣下が用意した羊皮紙に、ラボア様がさらさらと文言を書いていく。

 広い室内にラボア様の軍服の袖口が机に擦れる音だけが響いていた。

 ラボア様が手を止められた後、コホン、とわざとらしく閣下が咳払いをする。


 手招きされたランベール侯爵が、悠々と閣下とは反対側のラボア様の後方へと立つ。


公国(ヴィエルテ)の第二公女ラボア様のお立会いの下、ランベール侯爵家の侯子バンジャマン・マルルカ・ランベールと、太陽神様の御加護を頂きしビアトリーチェ・シルフィム・エガーレは、死がふたりを分かつまで婚姻関係を継続する旨を約束する契約を将来行うつもりがあるのなら、それぞれの名を記して誓うように。」


 無言で頭を下げて、やっと手を放してくれた師匠が先にラボア様の机へと向かった。名を書くのなら一人ずつの方がよさそうと判断したのもあって、わたしは師匠が終わるのをその場で待ってみた。

 師匠は名を書き終えた後、振り向いてわたしを手招きした。動かない師匠は、わたしが書くときは傍にいるつもりらしい。

 わたしも一礼をしてラボア様の前まで行き、渡された筆記具を丁寧に手に馴染ませどこに描けばいいのかを目で探してみる。最上部には月の女神さまの名前と神殿の神官らしき者の名があり、閣下が話していた文面が続く。紙の真ん中あたりの左側に師匠の名、右が空欄、その下の行の中央に今日の日付とラボア様の名がある。


「ビーア・スペール・エールでもいいぞ、」

 ラボア様が軽い口調で言った。

「偽名は困ります。婚約式になりません。」

 師匠がすかさず訂正する。「ビア、本当の名前を書いて下さい。」

「ほう、婚約破棄を繰り返してきた男が今度こそ結婚するつもりなのだとしたら、王の庭(パレス)に雪でも降るかもしれませんな。」

 ランベール侯爵が楽しそうに言った。「これは是非とも見に行かねばなりません。」


 細くきれいな曲線で綴られた師匠の名の隣に一字一字はっきりと丁寧にわたしの名前を記した途端、羊皮紙からはジュっと音を立てて焼ける匂いがして、インクで書いたはずの名前が焼けて、しっかりと消えない文字になって残っていた。

 もちろん師匠やラボア様の名前も、焼けてはっきりと残っている。

 この紙には魔法がかけられているんだ。感心しつつ、婚約破棄した場合はどんな仕掛けが展開するのだろうと、ちょっとだけ期待なんかしたりもする。


「その時が来たら私も式に参加せねばならんな、」

「ラボア様もですか?」

 驚く閣下に、ラボア様はニヤニヤしつつ、「奇跡が起こるのなら見ないわけにはいかないだろうよ、」と言った。

 いったい何人の人と婚約破棄をしたんですかと聞いて揶揄いたくなるけど、わたしもそのうちにその一人に名を連ねそうなので黙っておく。

 師匠と目が合った。反射的に手はしっかりと背中で組む。師匠と手をつなぐのはもう十分だ。

「確かに預かりました。」

 くるくると巻かれた羊皮紙はしっかりと紐まで巻かれて、恭しく丁重に閣下が両手で受け取った。

「すぐに保管庫へと持ちます。」

「頼んだぞ、」

「心経てございます。」

 閣下が廊下で待機していた兵士たちと行ってしまうと、ラボア様が「記録を更新するかもしれんな、」と呟いた。ランベール侯爵も師匠も反応がないので婚約破棄の件数の更新なのだろうなと思えてきて、記録更新予定者であるわたしは師匠の顔が見れない。


 ラボア様が椅子をずらして、ランベール侯爵と師匠とわたしとを見回した。

「侯爵はこの後はどうするつもりだ? この者たちと親睦を深めにでも行くのか?」

 ランベール侯爵と目が合った師匠の顔が強張った。緊張しているんだ。

「久しぶりに顔を合わせたのなら、積もる話もあるだろう?」

「この後一旦屋敷に帰り、別件で王の庭(パレス)に戻ります。」

「そんな時間はないという訳か。」

 師匠の視線が下がっているのが顔をみなくてもわかる。

「もう何度目かわかりませんからな、」

 諦め混じりな声で師匠を一瞥すると、ランベール侯爵はわたしへ手を差し伸ばしてきた。

「美しいお嬢さん、どうか気を悪くしないでくれないか。」

 少なくとも師匠は気にしてほしそうだったので、わたしは気にしてもらわないのはむしろ大歓迎なので気にしないでくださいと言うのも変な気がして、首を振るだけにする。

「婚約が成婚となった暁には改めて会を催そうと考えている。お嬢さんのご両親も招くつもりでいる。堅苦しい席ではないから、安心してきてほしい。」

 そんな日はこないと、まだ言えなくて苦笑いをしておく。前向きに早期の婚約破棄を考え始める。

「ビア、その時は母や兄にも会ってください。」

「今日は会えてよかった。想像していた以上にこの者にしっくりくるお嬢さんだったと妻にも伝えよう。」

 社交辞令としてそっとランベール侯爵の差し出してきた手を握ると、ランベール侯爵は両手で包み込むようにわたしの手を握って、にっこりと微笑んでくれた。

皇国(セリオ・トゥエル)でも名高い神官の家系であるシルフィムの家の娘さんと知り合えるとは、なんと光栄だ。」

「ありがとうございます。」

 重ねた手の上にわたしの手を添えて、頷き返してみる。何の合図かまではわからなかったけれど、相手の動作に同調するのは親しみの表れだ。

「お父さま、長いですよ? ビア、手を放して。魔力を吸い取られますよ?」

「そんな訳はない。お前、いつになく毒舌だな、」

「お父さまには到底及びませんよ、」

「親子喧嘩か? 仲が良いのはいいが、私の前では控えてくれ、」

 ラボア様が呆れたように言った。

 わたしの手を父親の手の内から助け出してくれた師匠は、「ビア、あとでしっかり手を洗うんですよ、」とまで言った。もちろん、言われなくともそのつもりは随分前からある。

「つかぬことを聞くが、お父上は皇国(セリオ・トゥエル)の御出身だったかな?」

「そうです。」

皇国(セリオ・トゥエル)にご親戚は?」

「いません。」

 断言できてしまうのは、父さんが人間ではなく、古の昔からいる精霊だからだ。

「ビア、気を悪くしないでください。お父さま、素性を調べましたね?」

 師匠は咎める口ぶりだ。

「こちらのお嬢さんと最初に婚約の話を聞いた時点で済ませてある。親として当然だ。」

 なにしろわたしは貴族ではない。

「もっとも、お嬢さんの素性に関して、王都での出生の記録は見つけられたがそれ以降はお嬢さんたちが再び王都に現れるまでにまったく見つからなかった。我が侯爵家でも把握できない程の未開の地で育ったようだと言うくらいしか、ね?」


 侯爵家の財力や情報網をもってしても、わたしの過去は父さんに連れられて暮らした山奥の村での簡素な生活の記録すら見つからなかったのだろうなと思うと、少しだけ出し抜けた気がして気分がいい。


「お父さま、失礼です。」

「大丈夫です。実際に公国(ヴィエルテ)の山奥の村を転々としていたのは事実です、気にしていません。」


 あの日以来、父さんの時間の檻の中にいた事実を覚えているのはわたしと母さんぐらいなはずだ。父さんからは、わたしを覚えていた村の青年を筆頭に、かかわったすべての村人たちはわたし達家族のことを思い出せないようにしっかりと魔法をかけられていると聞いていた。


 気にしていないとばかりに明るく答えたわたしを、師匠のお父さまはカッと目を見開いて、「生まれも育ちもかなり違うようだが、将来について、お嬢さんは心配ないのかい?」と尋ねてくる。

 師匠と切り離して考えても心配だらけです、とは言えそうにない。

「お父さま、大丈夫です。ビアは向上心の塊です。公国にある図書をかなりの量で読破しているようですから。図書館の司書に友人もいます。」


 師匠の発言で、師匠もわたしのことを調べたのだと思えてくる。わたしは師匠のことを調べていない。結婚する気などないからという理由もあるけれど、興味がないからという理由が一番大きい。

 向上心があろうとなかろうと師匠との婚約は現状を突破するためだけの手段でしかないので、わたしは澄まし顔で聞き流しておいた。大体、向上心があっても、情熱のすべてが貴族の礼儀作法に注がれるとは限らないと思う。


「ビア、侯爵の一族は風使いが多い。情報戦は日常茶飯事だぞ?」

 ラボア様は呆れたように言って腕を組んだ。

「失礼ながら、我が一族は寛容な性格だと自負しております。父も私も聡い耳と真贋を見抜く目を持ち合わせております。」

「ほう、それは知らなかった。」

 ラボア様は楽しそうだ。師匠も、涼しそうな眼つきをしている。


 わたしには、ランベール侯爵が父さんのことをある程度調べたのではないかと思えてしまった。直接的ではない表現なのに、得体の知れない不気味さがある。

 顔色に出ないよう冷静さを装っていても、何らかの方法で母さんを安全な場所へ移動させなくてはいけないと焦る気持ちが湧いてくる。父さんは母さんやわたしに魔法が使えない。


 柔らかな眼差してランベール侯爵は唇を噛む師匠と黙るわたしとを改めて見比べ、「我が家の一員になる人心待ちにしている。また会えるのを楽しみにしているよ、」ととても穏やかな口調で言った。

「ありがとうございます。お元気で。」

 笑顔で会釈して、わたしは師匠の父親でありランベール侯爵である人に愛想よく返してみた。

 ランベール侯爵はニヤニヤと、睨んでいる師匠を見やる。

「何か言いたいのなら今ここで話せ、」

「なんでもありません、」 

 師匠がうんざりしたように言ったのを気にせず、ランベール侯爵は師匠の肩をトントンと叩いて「健闘を祈る」と言った。

 

 ※ ※ ※


 閣下が部屋に戻ってくる前に多忙なランベール侯爵様は退室してしまったので、部屋に残されたわたしと師匠は、当然のようにラボア様との時間を過ごして待った。

「ふたつ目を選んだのだったな? この後の計画だ、」

 師匠と顔を見合わせる。

「これから、王都に行きます。ビアは途中でマハトを見つけるつもりなようです。」

 師匠が目配せしてきたので、わたしは頷いて情報を補足する。

「わたしの精霊が王都でマハトを監視していてくれます。今度こそ、任務を失敗しません。」

「そう気負わなくてもよい。任務に失敗しても次に活かせばよいのだ。」

 ラボア様の声色は慰めの色合いがするのに、わたしにはもどかしさばかりが募ってしまう。


 悔しいけど、与えられた任務はどれも失敗ばかりで、成功して次の任務を与えてもらうという流れなど一度もなかった。今回だって、公国(ヴィエルテ)へ手ぶらで戻ってきている。本来ならこんな風にラボア様と話ができる立場じゃないと思うし、婚約式などするには身の程知らずで、こんなわたしに巻き込まれた師匠には迷惑をかけていると思えた。

「成果を出せていません。次こそは、成果となるよう気を引き締めます。」


「ビア、」

 師匠が何か言いたそうになったのを、ラボア様の言葉が遮った。

「ここから馬車を乗り継いでも、王都(ヴァニス)までは最短で10日以上かかる。『厩舎』を利用しろ、」

「ビアは初めてです。大丈夫でしょうか?」

「なあに、心配いらん。乗り手(ライダー)も刺激を欲しがっているようだからな。」

 ラボア様はニヤリと笑みを作ると、「王国に入ったら花屋を利用しろ、スタリオスの使った仕掛けに改良を加えている。効果のほどは知っているだろう?」と楽しそうにわたしを見た。

「閣下の仕掛けって、あの、」

 転移魔法を駆使して閣下が王都(ヴァニス)にわたしを助けに来てくれたのを思い出す。

「そうだ、バンジャマン卿と一緒ならビアも心強いだろう。」

 師匠は知らない筈なのに、あまり驚いてはいない。

「わかりました。」

「うまく利用すれば今日中に王都だ。しっかりやれ、」

「はい。わかりました。」

 つい、師匠と声を合わせて返事をしてしまった。ラボア様は軽く手を振って、「ま、うまくやれ、多少の失敗など成功の前には些細な擦り傷のようなものだ、」と言ってやりかけだった執務に戻ってしまわれた。

ありがとうございました。

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