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34、番外編 ブレットの物語 夜を探す 9

 消えるって、なんだ?

 向こうへと跳んだのか?

 木や草が生えている場所しかない位置に向かって着地しただろうに、音も何もなかった気がするんだけど?

 

 自分の中で見えたものと見えなかったものとの差を探そうとしても、目の前に残っている情報は『黒い猫は飛び上がって空間に消え、着地した音などしなかった』という事実だったりする。


「見たか、今の、」

 目を何度もぱちくりとさせて、ルビオさんが僕に興奮した口ぶりで尋ねてきた。

「見ました。消えましたよね?」

「そうだよ、消えた…、」

 

 すくっと立ち上がってルビオさんは苔むした石柱へと近寄って行って、周辺の木々の彼方を何度も覗き込んでいた。僕も同じように木々を見上げて裏手に回って陰まで覗いてみたけど、黒い猫のしっぽすらも見つからなかった。


「ちょっと、こい、」

 ルビオさんが手招きした。

「ここを出よう、」

 顔つきも声も、ルビオさんらしくなくて険しい。

 僕は黙って頷いて、ルビオさんと元霊廟があった公園を出た。通りを見回すと、やはり人影などないし、猫もいない。

 柵の傍で腕を組んで動かないルビオさんは、自分の耳と唇とを触って、魔法の効果を確かめた後、僕をじっと見つめた。

「まだ帰らなくてもいいだろ? 歩かないか?」

 辺りは夕暮れ時が近い頃合いになってきていた。ここから店のある区画へ帰る距離を思えば帰った方がいいと判っていても、僕は頷く。

 真顔のルビオさんの表情は思いのほかに張りつめていて、いつになく無言なのがとても怖い。

 ついて歩くだけなのに、伝わってくる空気感から、まるで自ら怒られに行くみたいだと思えてしまった。

 

 ※ ※ ※


 向かった先は火の竜王様の神殿で、ひと気がなく無人で、どちらかというと寂れた印象があった。入り口から覗いた神殿の奥の、祭壇に捧げられた枯れた花の残骸を捨てて壇上を清める者もいないようだ。管理する神官の気配もないのだから全くの無人だ。もちろん竜もおらず、大きな神殿なのに活気すらない。

 だけど、神気と呼ばれる聖なる空気に満ちているので、精霊や(あやかし)と言った邪気を纏う者には恐れ多い場所なままだ。


「ここにしよう。俺らにはここが最上級に安全だ。」

 神殿の正面の入り口の階段の隅に二人して並んで座って、僕たちは誰も来ない通りを見つめる。半妖のルビオさんといろいろ混ざっている僕には、確かにここが限界なのかもしれない。

「なあ、ブレっち、誰に、あの猫を探すように頼まれたんだ?」

 ルビオさんは厳しい表情のまま尋ねてくる。いったい、どうしたというのだろう。

「何かあったんですか?」

「教えろ、ロディス様か?」

「違います。」

 気楽な口調で聞いても合わせてくれないのだから、ルビオさんは本気で怒っている。

「言えないような相手か。」

 嘘を付くのは躊躇われるけど、ビア様だと嘘を重ねるつもりはない。誤魔化したりぼかしたりするのなら許される気がする。

「…お客様です。」

 つい目を逸らしてしまったのは、『お客様』という架空の存在の詳細をこれ以上は言えないからだ。

「どんな客か知らないけど、行動を知りたいと言われたんだよな?」

「…そうです。」

 似たようなものなので、否定はしない。

「あれは、あの黒い猫は恐らく王都の守護精霊だよ。」

「え?」

「多分、あの場所はあの黒い猫の棲み処のひとつだ。」

「はあ、」

 声や表情で、状況がよくわからなくて戸惑っているとあえて伝えてみる。

「俺たちは裏側の仕事だから、旅の先々で協力を仰ぎたくて土地の守護精霊を召喚するようにしているんだ。王都に来てからは何度か挑戦して、その都度失敗してる。この前ブレっちと別れた後も、召喚しようとしていた。わざわざ供物まで取り寄せて、こちらの本気を伝えようとしたんだ。」

 ルビオさんは僕を睨んで、「その客って、ビア様だろ、」と追及してきた。

「え?」

「いいんだ、わかってる。召喚術に成功したはずなのに、実際に現れたのはビア様だった。本当なら王都の守護精霊が召喚されるはずだったのに、違ったんだ。」

 僕は話が見えてこなくて、さらに混乱し始める。ルビオさんたちはビア様と、いつ、接触したんだろう?

「どういうわけか、召喚されたのはビア様だった。どう考えても召喚されたとしか言えないんだよ。」

「ビア様は半妖でも、人間の扱いですよね?」

「そうだよ、だから最初は何かの間違いだろうって思ったけど、『ビア様が守護精霊と契約済みである』という可能性もあると考え直したんだ。契約している者が召喚している最中だから、あえて守護精霊は出てこなかったんじゃないかって、考えたんだよ。」

 僕は呆気に取られてしまって、「ビア様が、ですか?」と聞き直してしまっていた。

「ほら、ブレっちにさっき、つい『そんなに重要だとは思わなかったんだ』って謝っただろ、」

「ああ、そういえば、」

 僕は話の流れを思い出しながら首を傾げた。そうすると、ルビオさんは黒い猫の価値を知っていたとでも言いたいのか?

「あれは、俺っち自身に言った言葉だ。本当にあの瞬間までつながっていなかったんだよ。ビア様が聖堂での任務で王都から出られる前の朝、黒猫と聖堂の敷地内で接触されていたなって事実や、あの時どうして召喚したはずの守護精霊じゃなくてビア様が来たんだろうなって疑問やらが、ブレっちが精霊って言っていたり山猫に化けられるって言っていたり、飼い猫でもない黒い猫をどうして捕まえるんじゃなくてどこへ行ったのかを調べたがっているんだろうなって不思議に思った瞬間、全てがつながって、あの黒い猫が守護精霊だってわかったんだよ。」

 理解できても、僕の中ではまだつながっていかない部分がある。

「王都の守護精霊の姿かたちや名前は知っていたんですか?」

「名前は知っている。だけど、山猫だろうってぐらいしか知らなかった。あとは、ヒト型をとれる大妖だというくらいだ。山猫は黒い猫でもあるよな?」

「僕が黒い猫の行動を調べた理由がよくわからないですよ? 契約しているのなら、ビア様は知っているはずでしょうに。」

「契約していたって契約者と行動を共にしない精霊はいるよ。何か使命を持って果たそうとしている最中か、土地の守護精霊だから動けなかったりするっていう理由がある時だ。現にビア様は王都を離れているのに、あの黒い猫は別行動をとっているだろ?」


「守護精霊だから離れられないんですね? それは判りましたけど、行動を知りたい理由がよくわからないですよ?」

 だいいち、この仕事の依頼主はブルービ様だから、ビア様ではない。前提が間違っている気がする。

 ただ、前提が間違っていても推論は成り立つのかが知りたいから尋ねてみる。


「ブレっちだってロディス様の配下だからって、全部が全部ロディス様に報告しないだろ? 俺たちだって休みの日はロディス様に内緒であれこれやるぞ? それと同じだと思わないか? ビア様が王都を離れている間、ブレっちが守護精霊を探して歩いていたら、ある意味監視している訳だろ? あの黒い猫には依頼主はビア様だっていう事情を知らせずにいたら、ブレっちを警戒して慎重に行動するし身を隠そうとするだろうから、俺らみたいな召喚したい者にとっては召喚の邪魔をしている状態になっているだろ? 結果として大事な精霊を守れるんだぞ?」


「考え過ぎじゃないですか?」

 うまく言えないけど、ビア様はそんなに過保護じゃない気がする。

 ブルービ様がお探しになっている猫かどうかは市場の知り合いたちに頼んだ情報を検証してみて初めて特定できるので、一匹目の段階でこの猫だと思い込むのは早過ぎる。僕が探しているのは魔力を持つ黒い猫なので、候補の一匹なだけなのだ。


「実際にさっき、俺らに気が付いて消えただろ、あの猫、」


「それもそうかもしれないですが、…、」

 僕としては気が付かれていない気がするので、気が付かれたと想定して話を進めていかれるのにも納得がいかない。

「まだ決め手に欠ける気がします。」


「そうか? いい線行っていると思うんだけどな。」

「もし、姿を消した黒い猫がビア様の契約している精霊なのだとして、しかも王都の守護精霊だったなら、ルビオさんたちはどうするんですか?」

「そりゃ決まってるよ。ビア様に頼んで力を借りるよ。」

「任務中なら、ビア様は王都にはいませんよ?」

「そうなんだよなあ。王都の守護精霊がまさか誰かと契約しているとは思ってもいなかったから、それはそれで想定外なんだよ。」


「王都の守護精霊というからには、王城の王族の誰かと契約しているんじゃないんですか?」

 平民で庶民で田舎出身な僕は、王族に会ったことなどない。国の重要施設には今代の国王陛下の肖像画というものが飾られているらしいけど、国の重要施設に行く機会もない。王城では想像がつかない誰かが何かをやっているんだろうなというぐらいの認識しかない。何しろ僕の知りうる限り最高に地位が高いのはロディス様で、最上に美しいのはブルービ様という程度しか貴人を知らなかったりする。


「王族が契約しているのは竜だろ、ブレっち。この国は竜を祀る国(スヴィルカーリャ)だぞ。」

「そうなんですか?」

「たぶん、そうだ。」

 ルビオさんは妙に自信を持って頷いた。

「王都に来てすぐに図書館に資料を探しに行ったら、あそこは竜の気配があった。ブレっち、行ったことあるかい?」


「ないですね。」

 ヴィオティコ爺さんの本屋を連想して、竜は本が好きなのかなとちょっとだけ思ったりする。


「そっか…、そうすると、一旦守護精霊は切り離して考えた方がよさそうだな。作戦を練り直すか。」

 ルビオさんは立ち上がって大きく伸びをすると空を見上げ、「帰るか、ブレっち、」と言って振り返り、僕を見てニヤっと笑った。

「さすがにこんな場所までは妖精はくっついてこないんだな。」

「みたいですね。」

「あの猫、明日も探すのかい?」

 ついでにあちこちを捻ったり伸ばしたりして、体の筋肉をほぐして、手首や足首まで回している。飛び跳ねたりもして、今にも走り出しそうな雰囲気だ。


「まあ…、そのつもりです。」

 僕が頷くと、ルビオさんは「猫の依頼をしたいけど、まずいよな。そうだ、ブレっちがどこへいったのかを後で教えてくれないか。行った場所くらいなら、問題ないだろ?」と言い出した。

「道に迷ったら、答えられないですよ?」

 ブルービ様を裏切るのは嫌だ。

「だいたいでいいんだ。俺っちは魔法使いだぞ?」

 ニヤリと笑い、ルビオさんはポケットから紙の包みを取り出した。

「これ、美味いぞ。今日はありがとな、」

 手に乗せてくれたのは、小指ほどもある柱状の紫水晶(アメジスト)に似た砂糖菓子だ。

「王都は楽しいな、またな、ブレット。」

 ひらひらと手を振って、ルビオさんは軽快な足取りで先に神殿の敷地から出て行ってしまった。


 何かを思いついたんだろうなってわかっていても、それが何かが判らない。ブルービ様もルビオさんも実はとっくに僕にはわからない何かを見つけていて、考えが正しいとする裏付けが欲しいから僕に調査を頼んでいるって感じだなって思えてきた。

 

 僕はルビオさんの後ろ姿が通りの先で消えてしまうのを見送った後、のろのろと立ち上がってそろそろと通りを歩き出した。

 図書館を見てから帰ろうと思いついて王都を南北に走る大通りに向かって歩く帰り道、夕暮れ時ということもあって、人に混じって歩く精霊の姿を何度か見かけた。

 そいつらは僕を見つけて僕と目が合うと、嬉しそうに目を細めてふっと息を吹き付ける仕草をして去っていった。

 その度魔力のこもった風が僕の顔に当たって、まだ頭や肩にくっついていた妖精がどこかへ転げて行ったので、助けてくれたのかなとちょっと思ったりもする。


 図書館はさすがに閉館していて、夕方の市場は家路を急ぐ客や行商人でごった返していて、店員たちともまともに話ができないまま僕は店へと戻った。

 風呂に入って歩き疲れて何も食べたいと思えなくなって、ちょっとだけ目を閉じて思い出そうと椅子に座ると、ほんの数秒で眠りに落ちてしまった。


 ※ ※ ※


 ぐっすり眠ってしまい椅子に座ったまま一夜を明かした僕は、明け方というよりは夜と朝のつなぎ目のような時間に凝り固まった体の痛みと空腹に耐えかねて起きた。朝から薬湯にして風呂に浸かってさっぱりすると、早々に支度して市場へと向かった。今日も籠いっぱいの食材と情報を買うつもりではあるけれど、とりあえず何かが食べたくて仕方ない。思いつくのは焼き串肉とか果物とか、今すぐ食べられるものだ。


 道中で帰り道のジンガを見つけて、「よっ」と声を掛けられたので「やっ」と答え返しておいた。往診用のカバンを持ってくたびれた様子のジンガは、こざっぱりとした格好の男を連れていた。王国人で身なりは商人よりは剣士に思えて、簡素な格好でも貴族の屋敷で働く使用人と言って品の良さがある。

「黒猫、逃がしちゃったんだって?」

 街の噂とは恐ろしい。

「違うよ。頼まれたんだよ。お手伝いしているだけ。」

「どっちでも同じだろ。今度見つけたら捕まえておこうか、」

「ジンガ、猫、苦手じゃなかった?」

「猫が俺を苦手なの。判る?」

 いつになく陽気にアハハハとジンガは明るく軽く笑うので、酔っぱらっているんだってわかる。金が払えなくて安い闇酒一本で誤魔化した患者がいたんだろうなって思った。闇酒はいろんな酒を水に足して作る分安いけど悪酔いする。

「そっちの人は?」

 そわそわと居心地悪そうに落ち着かない様子の男は、話の切れ目を探しているみたいだ。

 ジンガは酔っているし気の乗らない仕事なのだとしたら、この男に合わせて急ぐつもりもないのだ。

「ああ、急患なんだってさ。もう帰って寝るつもりだったんだけど、これから行くんだ。ま、あと一仕事、って奴だ。」

 つかの間正気に戻った後、再び楽しそうに笑いながら歩くジンガを「またな」と言って見送って、僕は市場へと向かう。


 市場ではもう既に開店し朝の営業を始めている飲食店や商店がいくつもあった。入荷した荷物を並べていたり値段の交渉をし始めていた店員や店主たちは、僕の顔を見るなり、「待ってたよ、ブレット、」と手招きして、黒い猫もしくは山猫の目撃情報を教えてくれた。

「ありがとう、じゃ、これをひとつ、」と指さして何かしらを買って、代金と手間賃とを渡して、「もう一日だけ、頼まれてくれないか」と明日の情報も頼む。2日分も情報があれば重なる箇所が縄張りだと想定していて、3日目には僕自身が現地に確認しに行けばはっきりするのではないかと考えていた。そのために今日と明日は仕事を頑張って、ロディス様のお許しを頂いて明後日は一日がかりで確認に行くつもりでもいるのだ。


 帰り道に宿屋コボルダに寄って、前の通りの掃除をしていたミミさんに借りていた籠を返してそれとなく黒い猫の話もしてみる。

「以前、お客さんに頼まれて火の精霊王様の神殿まで案内したことがあったけど、その時に見かけたのは黒猫だったような気がするよ。」

 意外な相手から意外な場所の話をされてしまった。

「本当かい?」

「ああ、黒い猫だったから、最初影が動いたんだと思ったんだよ。皇国(セリオ・トゥエル)人のお客さんがびっくりしてしまってね。『うちの田舎では黒い猫は不吉なんですよ』って言うもんだから、『私も皇国(セリオ・トゥエル)から嫁いできた人間だけどこっちでは聞いたことがないから安心しなよっ』って言ってやったのを覚えているよ。」

 ふっふと得意そうなミミさんに買ったばかりのオレンジや小さな柑橘をお礼に渡して、僕は店へと帰った。


 王都のざっくりとした地図を薬草の包装用の一番大きな紙に描いて、僕は聞いてきたばかりの情報を記していく。ルビオさんに貰った小指ほどの柱状の紫水晶(アメジスト)な砂糖菓子は、印代わりに霊廟の跡地の公園の石柱があった辺りに立ててみる。市場にある琥珀糖の店の夏の限定品だったのを見てきていた。色と味付けはブルーベリーらしい。ベリー好きの僕には嬉しい。

 想定していた以上に王都での黒い猫の目撃情報はあり、多かったのは市場周辺で、現段階での最南端は薬草園の周辺、最北端は僕の見た霊廟の跡地の公園、最東端はミミさんの火の精霊王様の神殿、最西端は意外にも地の竜王様の神殿の付近だった。

 火の精霊王様の神殿って、王都の東側、僕の暮らす区画からは随分と離れている。

 明日で締め切る予定の黒い猫の情報がこの地図にどう足されていくのかはわからない。結構な広範囲なので、目撃された黒い猫がどれも同じ一匹の猫なんだとしたらものすごい健脚だ。ルビオさんの『黒い猫は守護精霊山猫説』が生きてくる。


 ムキムキと筋力の育った大きな猫が王者の風格で王都を守る姿を想像して、昼間見たやせ型の黒い猫と比較してみる。意外とやせ型の黒い猫が実は山猫だったら見かけよりも筋力を減らして弱く見せているって気がする。


 朝食を作り、食べながら地図を眺めているうちに今日は仕事を早く終わらせて下見がてら北東の区画へ行ってみようかなと思いつく。走って追いかけて汗をかくのを前提に着替えや匂いを誤魔化す手段を用意しておいた方がよさそうだとも気が付く。時間の短縮のためにも、乗り合いの馬車も利用して移動するのもよさそうだ。

 帰り道は遅くなるのを想定すれば、暗闇の中の水の精霊王様の神殿へヴァダさんたちと行った夜を思い出す。ひとりで行く夜の散歩も楽しいけれど、ああいう散歩も悪くない。寄ってみようかななんて考えているうちに、ついでに寄ってみたい場所がいくつも思い浮かんできて、すっかり夜通し歩くつもりの計画を立てている自分を自覚してしまう。


 ダメだ、浮かれすぎだろ、僕。

 身震いをして、明日も仕事なのだと気を引き締める。これは楽しいお出かけじゃなくて、ブルービ様のお使いなのだ、挽回するんだって戒め直す。


 ポケットの中にある古銭を取り出して光に翳すと昨日よりも一昨日よりもずっと顔の凸凹とした窪みがはっきりしているような気がしたけれど、気がしただけだと思いたい。

ありがとうございました

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